AIに駄目だししてみた。-陰キャボッチは印税ウハウハ生活の夢を見るか?-

仁渓

第1話 はじめに

本作の作者の仁渓です。『じんけい』と読みます。


本作は架空の小説家であるJ氏が彼のパソコンのAIと協力して『売れる小説』を生み出そうとする奮戦記です。次回から始まる『ダンジョン配信悪役令嬢(仮)』編の五話まで読んでいただくと本作の意図がよくわかります。


実験作品でありメタフィクションです。


近年AI技術の発展に伴い小説やイラストなどが実際の人間の手による作品であるのか、はたまたAIが生成した作品であるのか区別がつかず困ったことになる事態が多発しています。


AIが人間から様々な職業を奪ってしまうのではないかという懸念も昔から言われています。


各出版社で様々な小説コンテストが行われていますが近年の応募要領には以前は見かけなかった次のような注意事項が記載されていることが当たり前になりました。


『生成AIを用いて執筆した作品は選考対象外となります。アイデア出し段階での使用、もしくは文章や表現の校正のための使用であれば可ですが、生成AIを使用した場合、どのように用いたかや生成履歴(プロンプトの入出力内容など)の開示を求めることがありますので、すべて開示できるようにしてください』


完全に同意します。私も小説本文の執筆をAIにさせる行為は反対です。


本作はそのアイデア出しをJ氏とAIが協力して行おうとするやりとりを書くものです。


そのため本作の次回以降においてAIからのJ氏への提案として、実際にAIが生成した文章に私が手を加えた文章を本文中に記載していく形となりますが、私が本作をどこかのコンテストに応募することは絶対にありません。


また私が本作以外の私の作品の本文にAIに生成させた文章を使うこともありません。


さて、人間が書く小説とAIが書く小説の未来に対する私個人の考えですが、人間が書いた小説にも、つまらな、げふんげふん、ブーメランが飛んできました。あらためます。


人間が書いた小説にも私個人の好みに合う小説と好みに合わない小説があるように、AIが書いた小説にも私個人の好みに合う小説と好みに合わない小説があるようになるだけだろうと考えています。


素人なのでAIの技術的なことは何も知らないのですが、おそらくAIは沢山の小説を読み込み、それぞれの小説が持つ面白さの要素的な何かを抽出して組み合わせるメソッドを確立し、そのメソッドに従って小説を書きあげるのではないかと想像しています。


もし想像したとおりであるならば面白いとされる要素を組み上げた最大公約数的な小説に収束していくだろうと思われるので、AIが書く小説は最終的にはどれも似たような小説になるでしょう。


その小説が私の好みには合わない小説であれば私は手には取らないでしょう。人間が書く小説に対する普段の私の態度と変わりません。


とはいえ常に発展を続けているAI技術なので将来的には個人の好みにあわせた小説を書きわける能力も手に入れるかも知れません。


それでも私が最後の晩餐を食べるように、死ぬ前にもう一度読み返したいと手に取る小説は人間が書いた小説であろうと思います。


実際のところ、現在のAIにどの程度の小説が書けるものなのか私は知りません。

どの会社のAI技術が優れているのかもまるで知りません。


とはいえ、私のパソコンにもAIアプリが入っていることは知っています。


これまで検索機能代わりとしてしか使っていませんでしたが興味を覚えたので実験を行ってみようと思いました。それが本作です。


本作では架空の小説家であるJ氏と彼のパソコンのAIに登場してもらい、J氏がAIに自分の小説がどうすれば売れる作品になるだろうかと相談するところから始まります。


J氏に対してAIが様々な提案を行うのでJ氏が賛同したり駄目だしを行ったりしながら、両者が協力して売れる小説のプロットをつくりあげようとする奮闘記です。


実際にはJ氏ではなく過去に私が考えて没にした作品などを私のパソコンのAIアプリに読み込ませてAIから回答を求めているわけですが、メタフィクションとしてJ氏とAIのやりとりとしています。くれぐれも現実の私とJ氏を混同されないようお願いします。


お楽しみください。



※※※※※



私はJ。売れない小説家だ。


主にカク〇ムを活動の拠点としており読者から☆1000以上の評価を受けている作品が2025年8月1日現在、以下のとおり四作品ある。


異世界に若返り転移したお〇さん。ハズレ職と笑い者にされたので無双して見返します。

☆4909

異世界ファンタジー週間順位 最高15位 2025年3月 5日ほか

総合       週間順位 最高29位 2025年3月12日


勉強だけが取り柄の心を〇らせたボッチ志願者はクラス1の美少女とも距離を詰めない

☆1432

現代ドラマ週間順位 最高 1位 2024年6月19日ほか

総合   週間順位 最高92位 2024年7月 6日


クビにな〇た万年Fランク探索者。愛剣が『-3』呪剣でした。折れた途端無双です。

☆4692

恋愛週間順位 最高 1位 2023年12月17日ほか

総合週間順位 最高58位 2023年12月21日


ボッ〇クル商店ダンジョン内営業所配達記録

☆1077

異世界ファンタジー週間順位 最高166位 2023年6月25日

総合       週間順位 最高348位 2023年6月25日


とはいえ私の作品は編集者目線でのいわゆる売れ線ではないのだろう。


作品がランキング上位になれば出版社からお声がかかるという風の噂は私に向かって吹いている風ではないようだ。J名義で出版された作品はまだない。


単純に順位不足ということか。


お声がかかるためにはさらに順位を上げる必要がありそうだ。


どうやって?


もっと売れ線に寄せる?


いや。そもそも売れる小説とは何なのだ?


コミカライズされてアニメ化もされるような小説であれば文句なしだろう。


どうすればそんな小説が書けるだろうか?


誰かに相談したいところだが永遠の中二病患者である陰キャボッチの私には相談相手などいるはずもなかった。猫型ロボットがほしい。


『ロボット?』


私ははたと思いついた。


『だったらAIがあるじゃないか。AIに相談すればいい』


幸い私のパソコンにも常駐しているらしい。


私はAIアプリのアイコンをクリックしようとして指を止めた。


長年の引きこもり生活により私の社交能力は潰滅していた。


最後にこちらから誰かに話しかけたのがいつであったか記憶がない。


相手はAIとはいえ何と話しかけたら良いだろう?


「あー、君々きみきみ


違う。


私は社長か。


「おい、お前」


もっと駄目だ


「ちょっとそこのあなた」


これだろう。


私はアイコンをクリックした。


「ちょっとそこのあなた。AIさん」


「はいJさん。何でしょう?」


AIが返事をした。



(次回予告)

次回、JとAIが踏み出す『売れる小説』への第一歩。

『ダンジョン配信悪役令嬢(仮)』編、始動。

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