第2話 ダンジョン配信悪役令嬢(仮)1

(ダンジョン配信悪役令嬢(仮)プロット)

物語の主役は悪役令嬢です。


冤罪で王子から婚約破棄を言い渡された悪役令嬢が王都の地下に広がるダンジョンに逃げ込みます。


悪役令嬢は迷宮伯爵の娘です。迷宮伯爵とはダンジョンから魔物が出て来ないよう王都を防衛している守りの要です。


ダンジョンには各所にカメラが設置されていてダンジョン内の様子をリアルタイムで配信しています。


王子は悪役令嬢を指名手配しダンジョンに追跡の兵士たちを送り込みます。


悪役令嬢は幼い頃からダンジョンを遊び場にしていたのでダンジョンの地理に明るく兵士たちの裏をかいてダンジョン内を逃げ回ります。


悪役令嬢はとても強くて魔物も一撃で倒せます。


逃走途中で悪役令嬢は様々な理由で困っている探索者たちに遭遇しますが見過ごせずに助けます。時には追手の兵士すら助けます。


「逃亡者」という映画の無実の罪を着せられて逃げる医師のような活躍です。


悪役令嬢が人助けをする様子は王国中に配信されています。


誰もが悪役令嬢は王子が言うような悪い人間ではないと確信しますが嘘をついた王子も引っ込みがつきません。


さて、どうなる?



(AIさんへ)

という、プロットを考えました。


私は売れない小説家です。主にカク〇ムで活動をしており時には作品がジャンル週間一位を取ることもありますが、まだどこの出版社からも声がかからず書籍化はできていません。私の考えでは私の作品は編集者が思うところの売れ線には当たらないためだろうと考えています。


如何にもベタなタイトルで読者の興味を引き、読んだら確かにタイトルに嘘はないのだけれど読者が想像していた内容とは違う。


というのが私の狙いであり売りだと思っています。


おそらくその分だけ、売れ線からずれてしまっているのでしょう。


そこであなたに相談があります。どうしたら私の小説が売れる小説になるかを一緒に考えてください。あなたが編集者の役割です。


売れる小説とはズバリ、コミカライズされてアニメ化もされる小説です。


作品を売れ線に寄せようと悪あがきをして、ダンジョン、配信、悪役令嬢という売れる作品ぽいテーマを集めて考えたのが先ほどのプロットです。


試しに第一話も書きあげました。


以下のとおりです。



(ダンジョン配信悪役令嬢(仮)第一話)

「シモーヌ・ローランフォルジュ。クリスチーナ・ブロイラに対する君の卑劣な暴力の話を本人から聞いた。うんざりだ。君との婚約を破棄する。そして新たに今この場で、ぼくとクリスチーナとの婚約を発表する」


 場所は王国舞踏会館。一階と二階の間にある毛足の長い赤い絨毯が敷かれた階段の踊り場からマルリウス王国第一王子フィリッツ・マルリウスが、階下のあたしを見下ろしながら衆目監視のもと宣言した。鼻からふんすと荒く息を吐いている。フィリッツの隣にはフィリッツに腰を抱かれた新婚約者のクリスチーナ嬢も立っていた。


 フィリッツは王位継承権序列第一位だ。現在国王と王妃は外遊中のため今この瞬間に限って言えば王国で一番高位の人物となる。この先、何もやらかさなければ将来の国王間違いなしだろう。この先、何もやらかさなければ、だ。大切なことなので二回言いました。


 あたしことシモーヌ・ローランフォルジュは舞踏会場の幅の広い階段の下に立ち舞踏会の開始を待っていた。


 普段は着ない舞踏会用の派手なドレスなんか身に着けている。紫の地に金糸で流れ星が刺繍されていた。星はローランフォルジュ家の象徴だ。


 本来であればフィリッツにエスコートされて二階から降りてくるのはあたしの役目なのに今日に限って一階に一人放置されていたのはフィリッツがこれをやりたかったためだろう。


 煙と何とかは高いところが好きというけれども、わざわざ見下ろして大声を上げる必要があるかしら?


 フィリッツ・マルリウスとあたしは幼い頃に親同士が勝手に決めた許嫁の関係だ。


 二人とも現在は十七歳。


 ローランフォルジュ家としては消極的だが、王家がぜひにと懇願したらしい。


 数少ないS級探索者を引退したあたしの父親を王国に留めておくには、一代貴族として『迷宮伯』の爵位を授与しただけでは不足と判断したようだ。姻戚関係を結びたいらしい。


 ガサツなあたしに将来の王妃の職務など務まるわけもないので婚約破棄は望むところだ。遅かれ早かれいつか言われるに違いないし、言わせようと思っていた言葉でもある。


 だから婚約破棄はいいのだけれど、あたしはくだんの新婚約者クリスチーナ・ブロイラ嬢に暴力を振るった覚えはない。


 ブロイラ? 苗字からすると宰相の娘かな? 少なくとも、あたしは初めて見る顔だ。


 新顔だとすると十五歳? もしかして今日が舞踏会デビューだったりして?


 だったら、いつどこでフィリッツをたらし込んだのだろう?


 クリスチーナはフィリッツにしなだれかかりながら、うっとりとした目で王子の顔を見上げていた。


 フィリッツはイケメンだ。おつむが少し足りな、げふんげふん、ところさえ目を瞑れば、何処に出しても恥ずかしくないほど容姿だけは整っている。口を開かなければ完璧だ。


 一方、クリスチーナ嬢の右目の周りにはパンダの目の周りの様に丸くくっきりとした青痣ができていた。まるで殴られた跡のようだ。見ていて痛々しい。


 え、なに? その青痣をあたしがやったって言ってるの? 会ったこともないのに?


 会場にいる他の人たちからのあたしを見る視線が冷たい。


 あたしならやりそうという目で見られていた。


 これじゃ、すっかりあたしが悪役だ。まるで悪役令嬢じゃない。


「見たまえ。君は本気でクリスチーナ嬢の顔を殴ったそうだな。いつもは跡が残らないように腹を殴るところきょうが乗ったのか今回ばかりは証拠を残してしまったな」


 フィリッツは一体何を言っているのだろう? あたしの本気パンチを貴族の御令嬢が受けて無事で済むわけがないじゃない。それくらい知っているでしょうに。


「階段から突き落としたり噴水に投げ込んだり誰も見ていないところで随分悪逆非道な振る舞いをクリスチーナ嬢に繰り返して来たそうだな」


 フィリッツは、あたしに余罪を追加した。


 優しいまなざしでクリスティーナ嬢を見下ろして問いかける。


「間違いないね?」


「ございません」


 弱々しく囁くように答えたクリスチーナ嬢がパンダの青痣のある顔をはっきりと晒して脅えたような目であたしを見た。パンダのような滑稽な顔を晒せば晒すほど、あたしの悪役が引き立つ。そういう作戦か?


「このままではいつか殺されてしまうのではないかと怖くて怖くて」


 あたしの周囲にいた人たちが一斉にあたしから離れて行った。


 あたしは見下ろすフィリッツとクリスチーナ嬢の顔を階下から見上げた。


 ずんずんと階段を登って二人に近づいていく。


 あたしのほうが二人よりも背が高い。二人が立つ踊り場の三段下でクリスチーナ嬢と、一段下でフィリッツ王子と顔の高さが同じになった。同じ高さに立って二人を見下ろした。


 あたしは王子の背中に隠れようとする、よくかれたクリスチーナ嬢の金色の髪を無造作に左手で掴むと彼女が爪先立ちになるまで持ち上げて顔を上向かせた。


 顔だけで判断するならばフィリッツとお似合いのお人形さんのように可愛いお嬢さんだ。


 但し、痛々しい青痣がコミカルでシュールでもある。


 あたしは唇の端を吊り上げると牙をむいて舌を舐めた。


 いや、比喩よ。本当は牙なんか生えてない。


はじめまして・・・・・・。クリスチーナ・ブロイラさん」


 あたしはクリスチーナの顔を見下ろした。


「シモーヌ・ローランフォルジュよ。あなたはその青痣をあたしがやったっておっしゃっているの?」


 恐怖からかクリスチーナの目尻には涙が溜まっていた。


 涙の水滴に青痣が若干滲んで溶け込んでいた。


 あたしはウエストサイドのポケットから真白いハンカチを取り出すと、


「泣いては可愛いお顔が台無しですわよ」


 ハンカチでクリスチーナの目尻の涙をぬぐい、そのまま右目の周りをやすりで擦るように強く拭き取った。


「痛い」とクリスチーナ嬢。


「ごめんなさい。でもほら、これでお綺麗よ」


 クリスチーナの顔のあたしが拭いた部分から青痣が消えていた。


 代わりにハンカチにべったりと青痣を描いていた顔料がついていた。


 二人の内どちら側の発案だろう。つまらない小細工だ。


 あたしはハンカチを階下に投げ捨てた。


 ハンカチはひらひらと階下にいる他の舞踏会参加者たちの間に落ちた。


 見れば青痣が何であったかはわかるだろう。


 フィリッツがクリスチーナの髪を掴むあたしの手にとりついて声を上げた。


「何をするか! 衛兵! 衛兵!」


 クリスチーナは青痣が目立つ顔は晒していたくせして今は両手で顔を覆って隠していた。


 あたしはクリスチーナの髪から手を放した。


 クリスチーナは顔を隠したまま、その場でよろけた。


 フィリッツが咄嗟にクリスチーナを抱きかかえる。


 あたしはフィリッツに向きなおった。


「フィリッツ様、婚約破棄の件につきまして承知いたしました。けれども、あたしがクリスチーナ嬢に本気で暴力を振るったというお話は撤回ください」


 あたしはステップを踏むようにくるりと回転すると固く握った右の拳で踊り場の壁を思いきり殴りつけた。もちろん無詠唱で身体強化を付与している。


 壁は爆発したように外側へ砕けて大きな穴が開いた。穴から外の街並みが見えていた。


 壁の上のほうにかけられていた国王の肖像画が落ちてきて床にぶつかり額縁が割れた。


「あたしの本気パンチは青痣なんかじゃすみませんことよ」


 クリスチーナがへなへなとその場に崩れ落ちた。


 顔を隠しているけれども指の間から見ていたのだろう。怖がらせ過ぎて失禁おもらししちゃってないわよね?


 舞踏会の参加者たちから悲鳴が上がった。


 王子の命令で呼ばれた衛兵たちが会場へ駆けこんできて、わらわらと階段へやってくる。


「シモーヌを捕らえよ」とフィリッツ王子。


 それは御免被りたい。


 王子の命令があったというのに衛兵たちは、すぐにあたしに駆け寄ろうとするわけでもなく遠巻きに及び腰だ。あたしと殴り合ったらどうなるか壁の穴を見るまでもなく身に染みて承知しているのだろう。日頃、戦闘訓練と称して彼らをボコしてきたわけではない。


「冤罪よ」


 あたしは階下の聴衆に向かって声を張り上げた。事実、冤罪だ。


 かといって衛兵全員を殴り倒してしまうわけにもいかないだろう。


 上司があんなだとはいえ職務に忠実にあろうとする人たちに対してそれは忍びない。


 ひとまず逃げよう。


 あたしは壁の大穴を背にして派手なドレスの裾をつまんでチョンと足を引くと貴族令嬢のたしなみ、カーテシーで優雅に挨拶をした。


「皆様ごきげんよう」


 あたしは振り向きざまに壁の大穴から庭へ飛び下りた。



(AIさんへ)

それなりに面白い第一話になったと自負していますがここで筆が止まってしまいました。


理由は明白です。


私自身が配信にあまり興味がないので配信の描写ができません。


実際の掲示板もまったく見ないので視聴者側のコメントも表現できません。誰かの小説の掲示板回で得た知識だけです。


要するに無理やり売れ筋に寄せようとしてはみたけれども私には合わない設定でした。


けれどもこの第一話は悪くありません。


この時点では物語中に配信の「は」の字もでていませんし、まだダンジョンに逃げ込んでもいないので当初のプロットなどなかったことにして話を進めることも可能です。


設定、目的、キャラクター、舞台、ここから何をどのように足したり引いたりして進めたら、この作品は売れる小説に化けるでしょうか?


少しは可能性がありますか?


私に知恵を貸してください。

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