第39話

「あれれ〜、和彦ちゃんと麗花ちゃん、ナニかあった〜?」


 ⁉︎


 週末が明け、仲を深めた和彦と麗花が登校すれば、開口一番萌花ママがそう言った。

 麗花は平然とした様子で、ママにバレた和彦こどもは思わず反応してしまっていた。


「やっぱり〜」


 としたり顔になるママである。


 ーーえっ、えっ、これどうなんの? というかクラスの中で言うのはやめて欲しい。


 幸いにも萌花の声は、自分たちにしか聞こえてはいなかったらしい。流石にこうしたことは、ママは配慮してくれるらしい。


 しかし、勘の良いクラスメイトは、聞こえずとも彼らの雰囲気で、


『まさか俺の拳の出番なのか?』


 と、自分の拳を磨き始めたりしていたのだが。


「ふふふ〜」


 と慈愛の籠ったママの瞳が恐ろしい。


「じゃあ、今日のお昼ご飯は、あの場所で、ね?」

「……はい」


 和彦に拒否する余地はないのであった。

 そしてーー。


「……シテ、コロ、シテ……」


「それでね、おしゃぶりされていた時のかず君ったら可愛くって」

「それでそれで〜?」

「なあ、いくら払ったらアタシにもやらせてくれるんだ?」


 麗花は、和彦との情事を赤裸々に二人に語ったのであった。


 ーーなんで、れーちゃん、暴露なんで⁉︎


 彼女たちの間では情事とは共有されるものらしい。

 これでは本番など失敗できないではないか。ーーいや、失敗なんてするつもりはないのだけれど。

 まだ本番はシていなかったから、その内容は共有しようがないので、ひとまずは助かったと言えようか。


 と、和彦が呆然としていれば、萌花と麗花の間で不穏な会話が交わされていた。


「いいな〜、麗花ちゃん、和彦ちゃんのミルクを呑めて〜。じゃあ、次は萌花ママのミルクを和彦ちゃんがちゅっちゅしようか〜」

「そうね、まずは私があげた後ならば良いわよ」

「じゃああげちゃって〜。今ここであげちゃう〜?」

「良いわね」


「ちょいちょいちょーい! 待って⁉︎ 止めよう! 学校では!」


 と、和彦は言ってしまった。

 途端、麗花と萌花が舌舐めずりをした。


「……へぇ、学校じゃなければ良いのね」

「これ〜、言質とったって言うんだっけ〜?」

「じゃあ、今からホテルとってくるか」


 と、立花がスマホを取り出す。


 ーー駄目だ、この三人、俺の手には負えない。


 そんなの分かっていたことじゃないか。


 麗花と恋人としての仲を深めれば、それが他二人にも筒抜けで、和彦の包囲網が狭められる。いったいナニの包囲網なのだろう?

 だが、ここで押されっぱなしではないからこその和彦だ。


「いやっ、俺はれーちゃんの彼氏なんだから、流石に二人とは……」


「かず君……」


 ズきゅぅん。


「止めよう、れーちゃん。学校で下腹部を押さえないで?」


 TPO、お客様の中にTPOを弁えさせられる方はいらっしゃいませんか?

 だが、この場には和彦たちしかいないため、TPOを弁えていると言えば弁えてはいるのだが。


「えぇ〜、和彦ちゃん、ママのことをちゃんと萌花ママって呼んでくれるし、ハグも受け入れてくれるのに、今更そんなこと言うの〜?」

「んぐぅッ!」


「アタシの金は受け取ってくれねぇけどな。……ま、もうあれは予約してあるけれど……」

「ちょっ、立花⁉︎ 何だ、何を予約しているんだッ⁉︎」

「和彦が悪いんだぜ? アタシのお金好意を受け取ってくれねぇから」


 ニチャア……。

 あっ、この顔、麗花がしたのを見たことがある。


 と、和彦の意識は一気に宇宙に飛びそうになった。


 どうやら外堀を埋めるのは麗花の専売特許ではなかったらしい。

 こいつらはカースト番外位、高嶺の花の皮を被ったアウトローだったが、しっかりと優秀な少女たちでもあった。


 この調子の立花も含め、性欲でブーストされた鬼神麗花に勉強をさせられた和彦よりも、三人とも成績は上だった。

 麗花は当然の如く学年一位である。


 ーーお、俺はれーちゃんの彼氏でいたいだけなのに……。


 真摯に紳士でありたいだけなのに、周りの美少女たちが許してはくれない。ーー彼女を筆頭として。

 周りから見ればただただ羨ましいだけだろう。

 だが、節度を守って常識的であろうとすればするほどに、SAN値は削られる。


 和彦はいつまで理性を、正気を保っていられるのだろうか。


「じゃあ、ここじゃあ駄目なら、かず君のお家で、ね?」

「わ〜、和彦ちゃんのお家、行きたーい」

「リフォーム、興味ねぇ?」


「え、え?」


「じゃあ、今日は皆でかず君のお部屋にイきましょう」

「「さんせーい!」」


「え、え?」


 ーーそういうことになったらしかった。


「ーーえ?」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ママにバレないわけがなく……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る