四題 口ずさむ
あるメロディを夜道で口に出すと、何かが寄ってくる。
何かは「何か」分からないが口にするのもためらわれるほどの恐ろしいものであるらしい。
馬鹿馬鹿しい。
メロディに調子を合わせながら夜道を歩く。
すると後ろから足音が聞こえてきた。
足音が追いかけてくる。
まだ。
思わず早足になった。
足音は横に走ったように聞こえた。
何も姿は見えない。
……追い越した?
前には何もいない。
見えないだけかもしれない。
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