第47話 エピローグ

 王討伐から一ヶ月が過ぎた。


 世界は平和になり、私たちの日常も穏やかなものになった。


 今朝も、いつものように三人で朝食の準備をしている。


「遥香ちゃん、今日はパンケーキにしましょうか」


 結さんが優しく提案してくれる。


 「はい。かなちゃんの好きな、甘めのシロップも用意しますね」


 私が答えると、かなちゃんが嬉しそうに微笑んでくれる。


 そして、かなちゃんが結さんの首筋をさらりと撫でて、何か小さく囁く。


 結さんが少し身を震わせて、すぐに笑顔を見せる。

 仲良しだなぁ、と私は微笑ましく思う。

 二人の愛情は、本当に深いんだ。


 朝食の準備中、結さんが髪を指で弄りながら、どこか考え込むような横顔を見せる。


 「結さん、どうかしましたか?」


 心配になって声をかける。


 「ん? ああ、何でもないよ。ちょっと考え事してただけ」


 結さんが微笑む。

 でも、その笑顔はいつもより少し疲れているような気がした。きっと、最近の任務で疲れが溜まっているのかもしれない。カバーできるところは私が頑張らなくっちゃ。


 パンケーキが焼き上がると、三人でテーブルに向かう。いつものように、私がかなちゃんの隣に座り、結さんが反対側に座る。


 「いただきます」


 三人で声を合わせて、食事を始める。


 「美味しいね、遥香」


 かなちゃんが褒めてくれる。


 「ありがとうございます。結さんと一緒に作ったんです」


 「結も上手になったよね」


 かなちゃんが結さんを見つめる。

 その視線に、結さんが少し頬を染める。


 本当に、二人とも可愛い。


 食事を終えた後、かなちゃんが私を引き寄せる。


 「遥香、こっち来て」


 「なあに、かなちゃん」


 私は素直にかなちゃんに近づく。


「いつも頑張ってくれた、ご褒美」

 

 そう言うと、かなちゃんが私の頬に手を添えて、そっと唇を重ねてきた。舌を絡ませる大人のやつだ。


 突然だったけど、かなちゃんにキスされて嬉しかった。少しえっちな気分になっちゃいそう。


 キスが終わると、結さんの方を見る。


 結さんは、そんな私たちを見て、目を細めて笑ってくれているみたいだった。


 結さんは、いつも私たちのことを温かく見守ってくれている。


 「みんなで一緒にいられて、幸せだね」


 かなちゃんが言う。


 「そうですね。私も、とても幸せです」


 私が答えると、結さんも頷いてくれる。


 「私も…幸せよ」


 結さんも幸せを噛み締めて搾り出すようにな声で同意してくれる。


 午後は、三人で近くの公園を散歩した。

 桜の季節で、薄桃色の花びらが舞い散っている。


 「綺麗だね」


 私が言うと、かなちゃんが頷く。


 「本当に。でも、遥香の方が綺麗だよ」


 そんなことを言われて、私は照れてしまう。


 「もちろん結だって綺麗だよ」


 かなちゃんが今度は結さんを見つめる。


 結さんが微かに身を震わせる。

 そして、かなちゃんが結さんの手を取って、優しく握る。


 まるで、絶対離さ無いぞ、と言うばかりにキツく握りしめている。


 結さんも、かなちゃんの手を握り返している。

 二人の指が絡み合う様子を見ていると、胸が温かくなる。


 ベンチに座って休憩していると、かなちゃんが結さんの首筋にある、小さな痕を親指でそっとなぞった。


 結さんが一瞬、息を呑む。


 でも、すぐにいつもの笑顔に戻る。


 虫に刺されたかなにかだろう。かなちゃんが心配して確認してくれているんだ。


 優しいなぁ、と思う。


 「今度の休日は、どこに行こうか」


 かなちゃんが提案する。


 「どこでも、三人で一緒なら楽しいです」


 私が答える。


 「そうね。三人で一緒なら、どこでも…」


 結さんが言いかけて、少し口ごもる。

 そして、遠くを見るような表情を見せる。


 でも、すぐに笑顔に戻った。


 「ごめん、ちょっとぼんやりしちゃった」


 「疲れてるんじゃない?」


 かなちゃんが心配そうに言う。


 「大丈夫よ。ただ…」


 結さんが唇を軽く噛みしめる。


 何か言いたいことがあるのかな、と思ったけれど、すぐに笑顔になった。


 「何でもないの。本当に幸せだなって思ってただけ」


 その言葉に、私も嬉しくなる。私も幸せすぎて言葉が出なくなっちゃう感じ、よくわかるから。


 結さんも、私たちと一緒にいることを幸せに思ってくれているんだ。


 夕方、家に帰ると、三人で手を繋いだ。


 いつものように、真ん中にかなちゃん、右に結さん、左に私。


 かなちゃんの握る手が、いつもより少し強い。


 きっと、今日一日楽しかったから、興奮しているんだろう。


 結さんの手は、少し冷たくて震えている。


 疲れているのかな、と思って、私も少し強く握り返す。


 「ありがとう、遥香ちゃん」


 結さんが小さく呟く。


 夕食の時間、三人でテーブルを囲む。


 「今日も楽しかったね」


 かなちゃんが満足そうに言う。


 「はい。毎日こんなふうに過ごせたら、最高ですね」


 私が答える。


 「毎日…そうね」


 結さんがどこか遠い目をして呟く。


 「結?」


 かなちゃんが結さんの名前を呼ぶ。


 「ん? ああ、ごめん。本当に、毎日幸せね」


 結さんが慌てたように笑顔を作る。


 でも、その笑顔が少し無理をしているように見えた。


 やっぱり疲れが溜まってるのかな? 明日にでも、こっそりかなちゃんに相談してみよう。


 


 就寝前、三人でベッドに並んで横になる。


 いつもの配置で、真ん中にかなちゃん。


 「おやすみ、二人とも」


 かなちゃんが言う。


 「おやすみなさい」


 私が答える。


 「おやすみ…」


 結さんの声が、少し震えているような気がした。


 暗闇の中で、かなちゃんが結さんの方に身を寄せる音が聞こえる。

 小さな囁き声も聞こえるけれど、何を言っているかは分からない。


 きっと、愛の言葉を交わしているんだろう。なんだかそれがとってえっちで、いけない気分になってくる。


 でも、二人がとっても仲良しで、私も幸せな気持ちになる。


 結さんの息遣いが、少し荒くなったような気がした。


 もしかして、もう始まっちゃってるのかな?

 ドキドキしてくる。


 でもドキドキしていたくせに、あっと言うまに眠ってしまった。


 翌朝、いつものように私が一番早く目を覚ました。


 隣を見ると、結さんがまだ眠っている。

 でも、その顔に涙の跡があるような気がした。


 私が眠ったあと、どんなことしてたんだろう。いつか私も混ざれたらいいなぁ。


 


 かなちゃんも、結さんの髪を撫でながら静かに眠っている。


 本当に、結さんのことを大切にしているんだなぁ。

 私は静かに起き上がって、朝食の準備を始める。

 今日も、三人で素敵な一日を過ごそう。


 キッチンで料理をしながら、私は心から幸せを感じていた。


 王討伐という大きな任務も終わって、平和な日々が戻ってきた。


 毎日、かなちゃんと結さんと一緒に過ごせる。


 笑い合って、支え合って、愛し合って。


 こんな幸せな毎日が、ずっと続けばいいのに。


 朝食ができた頃、二人も起きてきた。


 「おはよう、遥香」


 かなちゃんが爽やかに挨拶してくれる。


 「おはようございます、結さん」


 結さんにも挨拶する。


 結さんは少しぼんやりした様子で、「おはよう…」と小さく答える。


 まだ眠いのかな、やっぱり。


 でも、すぐにいつもの優しい笑顔を見せてくれた。


 「今日も、三人で楽しく過ごしましょうね」


 私が言うと、二人とも頷いてくれる。


 かなちゃんの笑顔は、いつものように温かくて優しい。


 結さんの笑顔も、とても綺麗だ。


 時々結さんは考え込んでいることがあるけど、かなちゃんへの愛が、あまりにも大きくて、結さんでも持て余してしまうんだなぁ。


 私にも、そんな気持ちが分かる。


 かなちゃんのことを愛しすぎて、どうしたらいいか分からなくなることがある。


 でも、それも愛ゆえのこと。


 結さんも、私も、かなちゃんを愛している。


 そして、かなちゃんも、私たちを愛してくれている。


 この三角形の愛が、私たちの絆を強くしてくれる。


 朝食を食べながら、私は今日の予定を考える。


 午前中は買い物に行って、午後は三人でのんびり過ごそう。


 夕方には、また公園を散歩するのもいいかもしれない。


 何をしても、三人で一緒なら楽しい。


 「ねえ、今日は何をしましょうか」


 私が聞くと、かなちゃんが考えるような仕草を見せる。


 「何でもいいよ。遥香と結がいてくれれば、それだけで十分」


 その言葉に、胸が温かくなる。


 私たちがいることを、こんなに喜んでくれているなんて。


 「私も、二人がいてくれれば何でも幸せです」



 朝食が終わると、三人で今日の予定を相談する。


 結局、特に決めずに、その時の気分で行動することにした。


 自由で、のんびりとした時間。


 それが、私たちらしい過ごし方だと思う。


 計画に縛られず、お互いの気持ちを大切にしながら過ごす。


 そんな日々が、私は大好きだ。


 午前中、三人で近所を散歩した。


 春の陽気な天気で、気持ちがいい。


 道端に咲く花を見つけて、写真を撮ったり、小さなカフェで休憩したり。


 何気ない時間だけれど、とても充実している。


 カフェで、かなちゃんが結さんの手を取って、優しく握る。


 私も、そんな二人を見ていて幸せになる。


 愛し合っている人たちの側にいるだけで、世界が美しく見える。


 午後は、家でゆっくり過ごした。


 三人でソファに座って、本を読んだり、テレビを見たり。


 時々、お互いに話しかけたり、笑い合ったり。


 平凡だけれど、かけがえのない時間。


 こんな日常を、ずっと大切にしていきたい。


 夕方、かなちゃんが突然立ち上がった。


 「写真を撮ろう」


 「写真ですか?」


 私が聞くと、かなちゃんが頷く。


 「記念に。三人の今を残しておきたい」


 その提案に、私も結さんも賛成する。


 三人で寄り添って、カメラに向かって笑顔を作る。


 でも、シャッターを切る直前、かなちゃんが結さんの腰に手を回す。


 結さんが小さく息を呑むけれど、笑顔を保っている。


 写真が撮れると、かなちゃんが満足そうに微笑む。


 「いい写真が撮れたね」


 「はい。素敵な記念になりますね」


 私が答える。


 結さんも、「そうね」と小さく答える。


 でも、その声が少し震えているような気がした。


 三人での思い出を残せて、嬉しいんだ。


 夜、就寝前の時間。


 三人でベッドに横になって、今日一日のことを振り返る。


 「今日も楽しかったね」


 かなちゃんが言う。


 「毎日が楽しいです」


 私が答える。


 「これからも、ずっとこんな風に過ごしていけたらいいね」


 かなちゃんの言葉に、私は心から同意する。


 「はい。ずっと、三人で一緒に」


 「結はどう思う?」


 かなちゃんが結さんに聞く。


 結さんが少し間を置いてから答える。


 「…ずっと、一緒にいられたら…いいね」


 眠いのかな? 少し聞き取りづらかった。

 でも、結さんも、私たちと一緒にいることを望んでくれているはず。


 電気を消して、暗闇の中で横になる。


 かなちゃんの穏やかな寝息、結さんの静かな呼吸。


 三人で過ごす夜の時間が、私は一番好きだ。


 明日も、きっと素敵な一日になる。


 三人で一緒に、新しい思い出を作ろう。


 そんなことを考えながら、私は幸せな気持ちで眠りについた。


 これからも、三人でずっと一緒にいられたらいいな。


 かなちゃんも結さんも、今日もたくさん笑ってくれた。


 私はそれだけで、本当に幸せ。


 こんな日々が、いつまでも続きますように。


 心の底から、そう願いながら。


 私は深い眠りの中へと落ちていった。


 三人の愛に包まれて。


 永遠に続く、幸せな朝を夢見ながら。

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