第31話 七日目③ 変わりゆく状況

「アルとイグは何か分かった?」


 二人の話も気になったので聞かせてもらう。二人は顔を見合わせて、何とも言えない表情のまま話し始めた。


「至って穏やかで、何かを起こそうという雰囲気は全く見られなかった。平和そのものだな」

「喧嘩すらないみたいなんだ最近は。魔王の住んでるところに近いほど負の感情が増幅されやすいとは言うが、信じて良いのか怪しい気もするぜ」

「なるほど……何か事情がありそうだね」

「その事情は魔王本人に聞いてみるのが一番良いような気がするのでな、早めに切り上げて休んでたんだ。テディに入国出来たぞって報告もしたかったしな」

「そうだね、しちゃおうか」


 【防音】は忘れずに行い、通信用の魔法陣を展開すると驚いた顔をしたテディのホログラムが浮かび上がる。


『私も丁度通信送ろうとしてたとこ。タイミングばっちりね』

「そりゃ良かった。俺達の報告は魔王国入れたぜって話だから、先そっちでいいぞ」

『あらそう?驚かないで聞いて欲しいんだけど__。』


 テディの口から語られた内容は予想の範疇と言うか、それを超えてきたというか。一つに戦争が本格的に起ころうとしていること。上手く理由をでっち上げて国民に説明する予定らしい。だが、現段階で戦争のことを知らされているのは、戦争に参加させられる騎士や魔術師、兵士たちだけ。先代は戦争を嫌っていたので、戦争のやり方の教育なんて全くもって施さなかったらしい。先王の配慮が裏目に出てしまったのかと悲しくなる。開戦は数日後だと言っているが、どのようなカタチで始まるか、見当がつかない。とにかく、皆には気を付けて欲しいというのが一つ。


それから……。


『私含め女の騎士や魔術師、兵士は仕事辞めて国を出ることにしたの。戦いに身を置くよりも身近に身の危険を感じてね。大半は伝手のあるエルフの里に。私みたいな追手が来ても手加減しなくていいなら身を守れます!みたいな人は自由に何処かに行く予定ね。ってことで、私も魔王国を目指すことにしたわ。合流できたら合流しましょ』

「了解。あとでドライアドに会ってくれるように頼んどく」

「気を付けて来いよ」

『大丈夫よ、心配しないで。で、そっちの話は?』

「俺達の話は魔王国内部の話だ」


 アルとイグが先程していた話をテディにすると、テディも違和感を覚えたようで、何かしら事情がありそうな気がした。


『不思議ね。まあともかく、魔王と謁見出来たらまた通信頂戴。私も頑張って追いつくわ』

「ああ。じゃあ、おやすみテディ」

『おやすみ~』


 通信が切れると、皆それぞれため息をつく。言いたいことが沢山あったものの、今のテディに聞けるほど無神経ではない。とりあえず、明日にでもドライアドに会わなければ。


「一難去ってまた一難だな……」

「ああ……」


 美味しいご飯を食べたりお風呂に入ったりしても気分が落ち込んだままで、今日もアルの抱き枕にされて眠った。

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