第20話 四日目③ ドライアド召喚!
「ふわあ。ねむい。呼んでいいとは言ったけど早くない?」
「ごめんごめん。魔王国の様子について聞きたくて」
「わかった。後ろの人達は大丈夫?」
言われて見れば、二人は完全に固まっていて、何が起こっているのか分かっていなそうだった。ドライアドの声が聞こえるかどうか聞いてみると、何か言っているのは分かるが言葉として理解できないと言われてしまった。とりあえず俺が聞いて、後でどんな様子なのかを共有することにした。
「君の声は俺にしかわかんないみたいだけど大丈夫そうだよ、続けて」
「わかった」
まずはあの目の前に見えている村についてだ。ギルドカードで入れるかどうかが知りたい。
「あの村分かる?あそこって簡単に入れそう?」
「だめ。門番が厳しい。身分証がないと商人でも追い返される。ギルドカード?ってやつじゃだめだって、言ってた」
「そうか……うーん」
これは予想になるが、石板カードを出して俺が勇者だと分かったら、俺は真っ先に警戒されて魔王国に入れないどころの騒ぎで済まないのではないかという気がしている。別に魔王を倒そうとは現時点で思ってないし、他のところ同様に大変なら手を貸して助けてあげたいくらいに思っているのだが……。
頭を悩ませていると、ドライアドがこちらに近づき、俺に石板カードを出すように言った。
「……おお。初めてみた。すごく遊ばれてる」
「皆それ言うなあ……満足したら返してね」
「うん。これ、【隠蔽】出来るんじゃない?」
「え?」
カードを返してもらい、じっくりと観察する。石板カード。ステータスの載っている石板をカード状にしたもの。スキル:【隠蔽】でステータスの隠蔽可。出来るかもしれない。
「【隠蔽】したってバレないの?これ」
「ふ、私を舐めないで。精霊なら、そんなの余裕でごまかせる」
「おお!」
「がう!!」
ドヤ顔のドライアドに興奮する俺とコタロー。早速【隠蔽】で目立ちそうな称号やスキルを見えなくする。その石板カードを最後にドライアドが一撫ですればもう完璧。元々のステータスを知らない人は何の違和感もなくそれを受け入れる。
「ありがとう!これで石板カードでも安心だな。そうだ、アル、イグ、二人は石板カードで隠したいところとかない?」
「いや」
「特には」
「じゃあ大丈夫か。了解、次のことを聞くね。」
次は国内の様子か。魔王の様子については知っていても、その外側で起ころうとしている戦争に向けてどう進んでいるのか、どこまで知っているのかも不透明だ。ドライアドなら、人々の声くらい聞いてくれているのではないだろうか。
「この国って今混乱してるってのはこの前聞いたけど、戦争とかって話はしてそう?」
「ううん。魔族は何も知らない。ただいつもより怒りっぽくなってて喧嘩が喧嘩で終わらない。野蛮」
「知らせてないのか……なるほど、他国民に対しての風当たりはいい方?」
「魔族は何もされなければ差別はしない。人間が偏見を持って近付いてくるから面倒に思ってるのが大半。でも魔族に混じって人間も普通にいるし、他国民、人間ってだけじゃ何も言われない」
「それはいいことを聞いた。ありがとう。」
「うん。ふわあ。ねむい……」
「ごめんね。聞きたいことは今のところそれくらいだからもう大丈夫。また呼ぶね」
「うん。おやすみ」
「おやすみ」
ドライアドが木の中に溶けるように戻っていって、後ろの二人が大きく息をついた。どうやら緊張していたらしい。そんなに緊張するほどか?と聞けば、強い精霊特有の圧のようなものを感じていたらしい。
話したことを共有すれば、騎士の中では戦争が近いという警戒感が強まっているのではないかと言われた。もっと厳しくなる前に、明日の朝、早めに入国することになった。
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