第4話 もうちょっとだけ
(スーパー帰り)
//SE 足音
(楽しそうに)
「お家に帰ったら、最高に美味しい生チョコ作ってあげる!」
「売り物より美味しくてびっくりしちゃうかもね?」
(からかうように)
「これからどんな女の子にチョコをもらったとしても、一生、私のチョコを忘れられなかったりして」
//SE 立ち止まり、足音がとまる
(拗ねた声で)
「……ちょっと、なにか言ってよ」
(驚いた声で)
「大丈夫!? また顔色悪くなってる。汗もすごくかいてるし、息も荒いし……」
「……もしかして、私のせい?」
「……前に一人で外へ出た時より、私、動きまわれてる気がするの」
(泣きそうな声で)
「私が、君のエネルギーを奪っちゃってるのかな……」
「え?」
「めろんちゃんのエネルギーになれるなら幸せすぎるから問題ない?」
(笑って)
「君ってもう……本当に、私のこと好きすぎ!」
//SE 手を繋ぐ音
「そんな君に、めろんちゃんからご褒美! 倒れちゃわないように、私が家まで手を繋いでてあげる」
◆
(家に到着)
//SE 玄関のドアを開ける音
「ほら、君はベッドで寝てて」
//SE ベッドに横たわる音
「その間に、私はチョコ作っておくから」
「だーめ。無理は禁物だよ?」
「言うこと聞いてくれないと、めろんちゃん怒っちゃうからね?」
「うん。いいこいいこ」
(耳元で)
「おやすみなさい」
//SE 台所から、がさごそと荷物を漁る音
//SE チョコレートを刻む音
(チョコレートを刻む音が、だんだん遠くなっていく)
◆
//SE 水で濡れたタオルを絞る音
//SE 濡れタオルを額に置かれる音
(眠っていると思っている主人公に配慮し、小声で)
「家に帰ってから、ちょっとずつ顔色はよくなってる気がするけど……」
「やっぱり私が、エネルギーを奪っちゃってるのかな」
(辛そうな声で)
「……ごめんね」
「でも私、君に出会えてよかった」
「私が見える人にやっと会えて、しかもそれが私を推してくれてる人だなんて……こういうのを、奇跡っていうのかな」
「今日一日ね、本当に楽しかったの」
「変装もしないで、普通の女の子みたいに君とデートができて……」
「……きっとアイドルをやめて、普通に生きる選択肢もあったんだろうね」
「でも、あの時は選べなかった。辛くて逃げ出したかったのに、アイドル以外の道を選ぶ自分が許せなかった」
(溜息を吐いて)
「……『めろんちゃん』じゃない私は、弱虫で面倒くさい女の子だったの」
「だけど私、アイドルが本当に好きだった。それは嘘じゃないよ」
(泣きそうな声で)
「君が緑色のペンライトを振ってくれるところ、ステージの上から見たかったな」
「君とチェキを撮って、いつもありがとうって書きたかったな」
(泣きながら)
「君が好きになってくれた『めろんちゃん』で、君に、好きだって言いたかったなあ……」
(泣き止んで)
「……ごめんね」
「私、自分のことだから分かるの。きっと、ずっとこのままじゃいられない」
「だから……」
(耳元で)
「……いなくなるまで、もうちょっとだけ、私のこと、大好きでいて」
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