第3話 最初で最後の
(公園)
//SE ブランコをこぐ音
「ふふっ、久しぶりだなぁ、ブランコなんて」
(少し乱れた息と共に)
「周りから見たら、勝手にブランコが動いてるように見えるんだろうねっ」
//SE ブランコをこぐ音が徐々に小さくなり、ブランコが停止する
「久しぶりにやってみると楽しいね」
「次は滑り台! 君も一緒に滑ってね?」
//SE 足音(滑り台へ移動)
「うーん……今見ると、全然高くないなぁ」
//SE 滑り台を滑り終え、砂場に落ちる音
「でも、悪くないね、うん」
//SE 砂場の砂を無造作に叩く音
「幼稚園の頃とかは、砂場でもよく遊んだなぁ……」
「子供の日に写真あげてたの見た? 本当君、私が大好きだね」
「そうだよ。私、幼稚園の頃も可愛かったの」
(寂しそうな声で)
「本格的にオーディションとか受けるようになるまでは、本気で自分が超可愛いって思えてたなぁ……」
「……ありがとう。そう言ってくれる君の言葉だけ、信じられたらよかったな」
//SE 立ち上がる音
//SE 足音
(公園を出る)
「この公園の前でもね、デビュー当時は何度もビラを配ったの」
「全然受け取ってもらえなくて、辛かった」
(楽しそうに)
「でも、ビラを受け取ってくれた人が本当にライブにきてくれたこともあって……本当に、幸せでたまらなかったな」
「……初期からずっと、ライブにきてくれてた人だっていたの」
(泣きそうになりながら)
「本当、私って馬鹿……」
(焦った声で)
「あれ? なんか君、顔色悪くない?」
「もしかして今日暑いとか? ごめんね、私、そういうの分からなくて」
//SE 肩に手を置かれる音
(心配そうな声で)
「本当に顔色悪いよ? とりあえず水でも飲んだ方がいいって!」
「ちょうど自販機あるし!」
//SE 自動販売機で水を買う音
//SE ペットボトルのキャップを外す音
//SE 水を飲む音
「……落ち着いた?」
「私? 私は大丈夫。っていうか、私、飲んだり食べたりはできないの」
「ダイエットなんて気にしなくていいし、いっぱい食べよ! って思ったのにね」
「甘い物も脂っこい物も、大好きなの。太るのが怖くて、全然食べられなくなっちゃったけど」
(辛そうな声で)
「意外でしょ? 食いしん坊なんてただのキャラだったの。SNSの撮影用にいっぱい食べた次の日は、ほとんど何も食べないでバランスとってた」
「……うん。大変だったよ、本当に」
(急に明るい声で)
「ごめんごめん! せっかくのデートなんだから、楽しい話しなきゃだよね」
//SE 手を叩く音
「そうだ! 私はもうなにも食べられないけど、物には触れるし、料理はできると思うの」
「君になにか作ってあげようか?」
「ううん、作らせてほしいな。こうやって、私とお話してくれるお礼!」
「なにがいい? ご飯も、お菓子も作れるよ?」
「……チョコレート?」
「好きな子に手作りチョコをもらうのに憧れがあるから?」
「いいよ、作ってあげる」
(耳元で)
「君はきっと、めろんの手作りチョコを食べる、最初で最後の男の子だよ」
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