第3話 オレゴンでのおれごん

 おれごんのオレゴンでの執筆環境はキャンプチェアに座って太ももにキーボードでしてね。そのキーボードがソーラー発電での駆動だったのです。これがまあ不便で。


 日本ならわけない室内照度も、外国ではそうはいかない。お部屋の中央の天井にあるメイン照明が、まるでホテルほどの明るさ。例えるならムーディーな間接照明くらいしか明るくない。

 目にやさしいんですよ、端的に暗い。睡眠への導入を一切妨げない。これが実にありがた迷惑でしてね!


 おれごんは夜行性だったのです当時。夜な夜な朝までの執筆なのに、夜中はずっと薄暗い。おれごんはヒト科なので耐えられました。ところがキーボードが並走してくれなくて。

 3時間くらい使うと日中に貯めた電力が底をついてしまうんです。昼間に天日干ししていれば、もう1時間くらいはがんばってくれるのですが足りない。ソーラー電卓とかがまさにそうですけど、リアルタイムで得る電力こそが大事。


 立ち上がれば照度が足りる。だから立ってキーを打つ。

 そんなんじゃひと晩は越せても続かないですよ。


 急場しのぎ。懐中電灯を点灯状態でソーラー電池部分にオン。身動きをすると床に落ちるのでガムテープでとめて。

 は!? おれごん? おまえは?


 急いで間接照明を導入。おれごんの手元を照らすためだけの灯り。

 おまえは? なにを? している?


 なんだったんでしょうアレ。非ソーラーのキーボードを買えば足りた話。でも負けたくなくて。この環境で生き抜いてやるって。

 郷に入っては間接照明。反骨おれごん。いつだってただで負けてやるもんかの精神です。

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