第29話
ドンドドンッ!ドンドンッ!
学園裏で沢山の鮮やかな花火が打ち上がっていた。それは学園祭の時報であり、盛り上げる為でもあった。学園には生徒の保護者や街からの客、更には海外からの客も遊びに来ていた。また、5年前の事件の事もあり、学園には厳重な警備が敷かれていた。
「うわあ!綺麗ー!」
「あぁ、昼間だってのに明るいぜ...。」
ユリは満面の笑みを浮かべながら花火を見ていた。隣に居たラクザンカも目を輝かせながら花火を見ながら2人は手を繋いでいた。その2人の少し後ろにミザァとシュンランが模擬店で買っていた料理を酒と共に嗜んでいた。
「シュンランさん、お酒は程々にして下さいね?」
ミザァがシュンランに釘を刺した。するとシュンランは一旦グラスを置き、ニヤリと笑う。そしてグラスを空にかざすとゴクッと一口飲んだ。
「ンッ……フフフッ!な~んじゃ~!?このぐらいの酒で潰れるアタシじゃあないわー?」
そう宣言してまた一気に飲み干すシュンランだが明らかに頰が赤くなっており、先程よりも饒舌になっていた。そんな彼女を見て溜息をつくシュンランであった。そんな様子を見てミザァはまた小さく溜息をついた。
「全く……もっと自制して下さいよ?」
「う~ん……スマンな!」
そんなやり取りをしている最中、ユリとラクザンカがミザァ達の居る方にやって来た。そして買ってきた料理を一緒に食べ出した。
「アム、モグモグ...しかし本当に賑やかだなぁ。アタシが居た闘技場よりも騒がしいかも。」
「うんうん!それに色んな人も来てるね!有名な貴族や多種族の人、それに遊びに来た冒険者も沢山来てる!本当に凄いね!」
「あぁ、そうだな。……アタシはユリが祭りを楽しんでる姿を見れて良かったしな。」
ラクザンカはユリの頭を撫でて微笑んだ。
「ンッ……!もう、ラクザンカったら……//」
2人のそんな様子を見てシュンランとミザァは呆れていた。しかし2人共その目は優しく、まるで親が子を見るような眼差しであった。
「全く……このバカップルめ!」
「フフッ!本当に仲がよろしいですね♪」「ハッ!せいぜい、お幸せにな~?」
そう囃し立てる2人。ラクザンカとユリは赤面して俯いてしまった。その2人の反応に更に揶揄う2人。
そんな時だ。スモネアが数人の生徒会員を連れてラクザンカ達の前に来た。
「皆さん、学園祭は楽しんでくれてますでしょうか?」
「はい!もう、色んな催しもあって凄く楽しいです!」
ユリが答えた。するとスモネアはニッコリと微笑んだ。
「それは良かったです……ただ、ごめんなさい。ネモネアはまだ書類仕事が掛かりそうなので、まだお返す事が出来ません。」
「なんじゃ、あやつまだ溜め込んでいたのか。しょうがない奴じゃ。」
シュンランがやれやれと溜め息混じりに頭を振ってるとスモネアは申し訳無さそうに頭を下げた。
「ごめんなさいね?でも、必ずお渡ししますから……。」
「分かりました。じゃあスモネアさん、ネモネアさんに早く仕事終えて祭りを楽しみましょうと伝えておいて下さい。」
「フフッ、ありがとうございます。では私達は学園の見回りを続けますので。どうぞごゆっくりお楽しみ下さい。」
そう言って微笑むとスモネアは他の生徒会員と共に去って行った。そしてラクザンカがふと何かを思い出したかのようにミザァに話し掛ける。
「……そう言えばネモネアとスモネアってなんか姉妹とは言え似すぎじゃないのか?双子なのか?」
ラクザンカは二人が年の差や性格もあるのに顔がよく似ており、まるで双子のように見えたと感じたのだ。
「あぁ....実はネモネアさん妹さんの事とか詳しく教えてはくれないんです。姉妹だと言うこと以外は特に....」
ミザァがそう言うとシュンランは酒瓶をグイッと煽る。
「まぁ、そうじゃろうな……あやつも色々あったしなぁ。」
「……そうですね……」
2人は何か知っているのか少し暗い表情になった。
「あの、そのネモネアさんの事ってもっと詳しく聞いても大丈夫ですか?2人が知ってることだけでもいいので!」
ユリが恐る恐る聞くと2人はフッと笑った。そしてミザァはユリ達の方を見た。
「それくらいならいいですよ。そうですね...なら私達がネモネアさんとパーティーを組んだ事から話しましょうか....」
「ネモネアとパーティーを組んだのはアタシらがあの街だとまだ駆け出しだった頃じゃ....」
2人は懐かしそうに話し始めた。
―――――――――――――――生徒会室で仕事を死ぬ気で終えたネモネアとスモネアが走ってラクザンカ達の方に向かって行った。「チックショ~ッ!アイツらあたいが生徒会長なの知ってたのかッ!?仕事を強引に押し付けやがって~ッ!!」
「そっちがバカばっかりやってるからでしょ。自業自得....因果応報....!」
走りながら文句言ってネモネアに対してスモネアが冷たく返す。そんな様子に更に腹が立つネモネアはスモネアに殴りかかろうと手を出すが難なく躱されてしまった。
「アン……このッ!」
「ンッ……!暴れない……!」
そのままスモネアから卍固めを繰り出されネモネアはギブアップした。
「ウグッ!……分かった、あたいの負けでいいから!」
ネモネアがスモネアの腕に叩きながら敗けを認め、スモネアは仕方なく拘束を解いた。
「ンッ……分かればいい……。」
「フゥ、フゥ……!この…本当可愛くねぇな…!」
ネモネアはそう吐き捨てるとスモネアはムッとした。そして2人は睨み合い始めた。だがそんな2人の前に1人の荒っぽい男が割って入ってきた。
「まぁまぁ待ちなぁさいよぉ。学園の代表さんがこんな所で喧嘩するんじゃあねぇよぉ。」
「「ッ!?!?」」
だが2人はこの男が一瞬でこの学園の人間じゃないことを察した。そしてまともじゃないことも察していた。2人は警戒しながら距離を取り、スモネアは懐から銃を取り出して構えた。
「あなた、何者?」
「……オレはねぇ?しがない情報屋さぁ……名前は名乗らねぇがな。」
「情報屋……」
スモネアはそう呟くとネモネアに耳打ちした。
「コイツ……強いよ。多分だけど、私達でも勝てるか怪しいかも……。」
2人の会話を聞きながらも男はニタニタと笑っていた。そして男は2人に向かって言ったのだ。
「なぁ一応、聞くんだがよぉ?あんたらが持ってる最高級の魔法石、譲ってくれないかぁ?」
「は?何...魔法石だと....?」
ネモネアがそう聞くと男はニヤリと笑い、2人に向かって言った。
「あぁ!それを使って再びオレ達が世界の天下をとるのさッ!」
「!....てめぇまさか、“アイツら”の生き残りかッ!」
「フフフッ、ご名答。あんたらに敗れて以来、ずっと復讐の時を待ってたのさッ!」
男はそう言うと懐から黒い魔法石を取り出した。その魔法石の輝きはかつて学園で披露されていた例の魔法石とは全く違っていた。
「ッ!……まさか、“アレ”を!?」
スモネアがそう叫ぶと男はニタァッと笑ったのだ。そして男は魔法石を上に掲げた。すると男の身体から黒いオーラが溢れ出したのだ。そして2人の前から姿を消したのだった。
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