『銀貨へ転生する』、先ず以てこの時点でインパクト大!!
いくら前世の記憶を持つとはいえ、こちとらコインの身。
やれる事は限られる……
と言うより、いったい何がやれるのかと、皆さん一様に思う事でしょう。
戦争、暴力真っただ中に放り込まれ、まさに手も足も出ずな状況を憂う主人公。
しかし当然ながら、憂うだけでは終わらない。
肉体が無い代わりに、悠久を手に入れた。知識はいくらでも詰め込める。
言語を学び、国家を学び、魔法を学び……長き年月を掛け、ゆっくりとじっくりと。
全て硬貨の肉体だからこそ出来る事。
人として転生していたならば、恐らくこの国では何一つ成し得ない。
みんなお金なら大切にするもんね、それ程までに厳しき情勢です。
金でも銅でもなく『銀』と言うのが本当に秀逸。
持ち主を変え舞台を変え、盗まれ取引され、時には自ら行動?し。
主人公の行く付く先はこれ如何に――
先が気になる、その一言に尽きます。
「たかが硬貨に、いったい何を為し得るか」と疑う貴方に、是非!!
まずこの作品が面白いかですが、『めっちゃ面白い』です。
最初は銀貨に転生ってどういうこと?といった感覚で読み進めてましたが、その時見える主人公視点の世界観が常に説明されているため、情景も頭に浮かべやすいです。
途中に少し人を選ぶようなエピソードがあり、私はそこでちょっとブラバしようか迷いましたが、そこを乗り切ればさらにこの作品の世界が広がっていき、最終的には読み進めてよかったと思えました。
ストーリーのテンポは序盤はかなりスラスラと潤滑油塗り滑り台のような速さですが、大体20話辺りで主人公以外にもスポットが当たってくる話が始まり、そこからさらに面白くなっていきます。
ぜひこの作品、読んでみてください!