第二十二話「イストの町へ」
スターレットの村の東門前。早朝の澄んだ空気の中、ナオ、シエル、フィオ、クレス、ラディ、リンジーの六人は、三台の馬車を前に集合していた。それぞれの表情には、新たな依頼への期待と緊張が入り混じっている。フィオはどこか不機嫌そうに腕を組み、クレスたちは頼もしい先輩冒険者たちと思っているナオらとの旅に胸を高鳴らせていた。
やがて、馬車の影から一人の男が現れた。細身で背が高く、身につけた上質な服は、彼の裕福さを物語っている。歳はナオと同じくらいだろうか、しかしその顔にはどこか疲労がにじみ出ていた。男はナオたちをじっくりと見定めると、口を開いた。
「あなたがたが、今回の護衛を引き受けてくださる冒険者の方々ですね?私は、この隊商を率いる商人、エルドールと申します」
エルドールはそう言って、ナオたちに深々と頭を下げた。
「俺はナオ、こっちはシエルとフィオ」
「自分はクレスです。こちらはラディとリンジー」
「今回は二つのパーティーが合同で依頼を受けました。ですが事前の打ち合わせで、問題が発生した時は俺が全体の指揮をとることになっています」
ナオの説明にエルドールは頷く。続けてナオが質問を一つ投げかける。
「これからイストの町まで片道四日の旅と聞きました。街道は整備されているとはいえ、安全性が担保されているわけではありません。何か変わったことはありませんか?」
「いえ、特には。ただ、最近は街道を荒らす賊がいるという噂も耳にしました。普段であれば恐れる必要もないですが、この馬車には非常に高価な積荷が積まれておりまして……」
エルドールは不安そうに積荷の馬車を見つめた。ナオは、彼の不安を和らげるように穏やかに語りかける。
「ご安心ください。私たち六人で、必ずあなたと積荷をイストの町までお送りします」
その言葉に、エルドールの顔にわずかな安堵の色が浮かんだ。しかし、ナオはエルドールの視線が、他の冒険者たち、特に一番年下のリンジーに向けられていることに気づいた。ナオは、彼の不安を拭い去るため、それぞれの役割を説明し始める。
「先頭はクレスとラディ。中央にリンジーとフィオ、後列に俺とシエルという配置につきます」
「分かりました。よろしくお願いします。ではみなさん、準備はいいですか? 今日の目的地は、街道沿いにある小さな宿場町です。日が沈む前に到着できるよう、出発しましょう!」
エルドールの号令で、六人の冒険者と商人の旅が始まった。彼らは、スターレットの村から南東へ伸びる街道へ足を踏み入れる。
その道のりは、平穏なものばかりではないだろう。しかし、ナオの心の中には、この旅で仲間たちとの絆を深め、錬金術師としての自分をさらに成長させたいという、確固たる決意が芽生えていた。
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