第50話 初習得(最遅)

 5種類の欠片系アイテムは、まぁ、第一印象の通りごみだったらしい。という事はつまり、相応に汚れているって事だ。

 だから私は「買取所」の小部屋での作業を諦め、「洗い桶」(20DP)を購入して「安全地帯」の水場の近くへ移動した。ついでに「移動式パーテーション」(1千DP)を使って自分を囲んだ状態にしたので、うっかりサイちゃんやミシェリーが私の姿を見てしまうって事も無い。

 カーテンもついていたんだが、元々被っていた方のカーテンはパーテーションの角の所を塞ぐのに使ったので、無駄にはなっていない。


「ん?」


 で、まずは布製品から、と「何らかの布の切れ端」からじゃぶじゃぶ洗ってた訳なんだが。

 何と言えばいいのか……目の前の雑多な布の切れ端というか、残骸というか、千切れた部分というか。これ穴が開いただけの服だな? っていうものから、元が何だったのかさっぱり分からない刺繍がびっしり入った端切れみたいなものまである布系の何かを、特に区別する事無く洗ってた。

 そうしたら、そういうのがこう……パズルのピースというか。そういうのに見えてきたんだ。組み合わせによって別の形もしくは本来の状態に戻せる、ある種のグループ分けというか。


「んん……?」


 「何らかの布の切れ端」を洗えば洗う程その感覚は強くなっていったというかくっきり見えるようになってきたし、実際その組み合わせのものを「ダンジョンメニュー」のアイテムボックス的なところに入れると、8桁の英数字の組み合わせにハイフンと分数みたいな数字がついて別枠になっていた。

 じゃぶじゃぶと水で洗い、汚れた水を捨て、新しい水を入れて、また洗う。それを繰り返しているうちに、ひとまとめになっていた「何らかの布の切れ端」は、結構な数が単品の別枠として表示されるようになっていた。


「で、これをどうすれば?」


 ……まぁたぶん、こう、裁縫系のスキルとか、修復系のスキルがあれば、直せたんだろうけど。そういうのは一切ないので、英数字の組み合わせが同じもの順に並ばれても困るのだ。

 まぁ英数字と仮に呼んだが、何かたぶん違う文字だなこれ。記号にも見えるけど単なる記号でもなさそうだし。だから、26文字+10文字が8桁(重複あり)ではないかも知れない。多少前後したとしても十分すぎる数があるんだけど。

 しかしこれをどうすればいいんだ……。と、考える事しばらく。一旦「何らかの布の切れ端」を全部仕舞って、「洗い桶」の水を入れ替え、「何らかの陶器の欠片」をその中に入れて、洗ってみた。こちらも8桁の英数字の組み合わせにハイフンと分数みたいな数字がついているのを確認し、「万能接着剤」(1千200DP)を購入。


「えーと、これが多分こう、これはこっち……これがこの間か」


 相変わらずやたらと手に入る「タオルセット」の一部で綺麗になった「何らかの陶器の欠片」の内、分数みたいな数字が全部あるものをふいて水気を取り「万能接着剤」で断面をくっつけて、元の形に戻してみる事にした。

 どうやら私はこういう作業が得意だったのか、それとも確認できないだけでステータスが上がっていたのか、2から18ぐらいのパーツに割れたらしい「何らかの陶器の欠片」を元の形に戻していく。

 とはいえ、真っ二つになったお皿みたいなものも隙間が空いていたし、細かすぎる欠片は抜けたままだ。それでも黙々と、完成させられそうなパーツが無くなったら「何らかの陶器の欠片」を洗い、アイテムボックスに戻し、欠片が揃ったやつをタオルでふいてくっつけて、という事を繰り返してみると。


『スキル「修復」を習得しました』


 あの、不思議な抑揚の声が聞こえた。スキル取得したら通知するの、この声なんだ。というかスキルを取得したらこうなるんだ。初めて知った。まぁ、私がここまでやってた事って、だらけてたりガチャを回したり野草を集めたり蝶を捕まえたりしただけだもんな……。

 ……でもそれならキャンプに来てる人達が目的にしてる3つのスキルぐらいは入って良かったんじゃないかな? とも思ったが、たぶん普通の人とダンジョンマスターでは条件が違うんだろう。何しろスキルガチャなんてものがあるぐらいだし。

 それはそれとして、新しいスキルで、どうやらこれはMPを使うタイプのようだ。


「[魔力をもって欠けを補え、リペア]」


 で、細かい穴が開いていた花瓶みたいなものを持ってスキルの使用を意識すると、口から勝手に言葉が出てきた。詠唱だ。……思ったより短かったな?

 まぁでも花瓶は綺麗になった。で、それを「買取所」の景品の所に入れてみる。


「「報酬チケット」で3千枚……1千DPか」


 結構良いものだなこれ。スキル的にもDP的にも。

 インテリアガチャとどっちが効率良いかな?

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