第11章「最終審判:記憶の扉」

鐘が鳴り終わった後、教会の天井が開き、空に巨大な球体が現れた。

それは、都市の上空に浮かぶ“監視装置”。そして試練を操る“審判者”の目だ。


会場の床が割れ、選ばれし数人だけが別空間へと転送される。

そこにいたのは、悠人、榊翼、柚葉、七海、そして……消えたはずの“仁科レオ”の姿だった。


「ようこそ、“決断の間”へ」

オルタの声が響く。


「この場に集められたのは、日本国民の“運命”を左右する最後の鍵——“意思決定者”たちだ」


——意思決定者。

それは、今回のゲームに隠された“最終目的”だった。


「日本という国家を“続けるか”、それとも“終わらせるか”。その判断を、天城悠人。お前に委ねる」


「……なんだと?」


その瞬間、悠人の意識に、“膨大な記憶”が流れ込んだ。

母の姿。白い研究所。幼い頃に注射される自分。

そこにいたのは——あの仮面の少年。仁科レオ。そしてもう一人、仮面を外した父親。


「君は、国家プロジェクト“ユグドラシル”によって創られた、未来型人類のプロトタイプだ」


「日本の“存続可能性”を見極めるための、最後の判定者。——だから君だけが、特別な力を与えられていた」


動悸が止まらない。

翼が叫ぶ。


「悠人……どうする気だ……!?」


オルタが囁く。


「国家を残せば、ゲームは終わり、全員生存。ただし、君の存在は世界中に暴かれる。

国家を終わらせれば、君の記憶は消され、普通の人生に戻れる。ただし、日本は、消滅する」


悠人は、膝をついた。

そんな選択を、一人に……?


だがそのとき、柚葉が静かに言った。


「答えは、あなたの中にもうある。あなたが生きてきた痛みと、選んできた言葉が——正解を知ってる」


——選べ。


この手に、国の未来と、自分の生き方がかかっている。

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