第3章「生きるための5人」
人の波をかき分けながら、俺は必死に動いた。選択を誤れば、終わる。躊躇は命取りだ。
そんなときだった。人混みの向こうで、冷静に周囲を見渡す一人の青年と目が合った。
「お前、一緒に組まないか」
彼の名は榊 翼(さかき つばさ)。24歳。元自衛官。短く切られた髪と鋭い目が印象的だ。
すぐさま、彼の背後から柔らかな声が響く。
「こっち、あと二人いるよ」
そう言って微笑んだのは、看護師の雨宮 紬(あまみや つむぎ)。27歳。長い髪を後ろで束ね、冷静に仲間の状況を見ていた。
その後ろには、まだ幼さの残る少年と少女。
日向 光(ひゅうが ひかる)、14歳。小柄な体に、恐怖を押し殺した瞳。
橘 ルナ(たちばな るな)、12歳。真っ白なワンピース姿で、震えながらも紬の手を握っていた。
「5人だな」翼が言った。
カウントが残り20秒を切る。
俺たちは手をつなぎ合い、なんとか成立した。
その瞬間、ドームの床が揺れた。
「——では、第一試練に進んでもらおう」
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