最後の1万

稲佐オサム

第1章「選ばれし者たち」



空が裂けたのは、東京上空でのことだった。

黒く渦巻く亀裂から現れたのは、人類の想像を超えた“異質”だった。


その日、日本中のテレビ、スマホ、ビルの電光掲示板に一斉に現れたのは、銀色の仮面をかぶった存在——自らを“オルタ”と名乗る者だった。


「地球の命運をかけた試練を開始する。ルールは簡単。我々の提示する“ゲーム”を、選ばれし1万人の代表がクリアせよ。制限時間は72時間。失敗すれば、日本という国を、消滅させる」


その瞬間、全国からランダムに選ばれた1万人の名前が、空中に映し出された。中には小学生も、老人も、刑務所にいる者もいた。——そして、俺の名前もそこにあった。

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