トラック2 ノックしても返事がありません。足音も二人だけ……です。

//SE 廊下を靴で歩く音、二人分 鳴る


//緊張している感じ

「はぁっ、はぁっ……はぁっ、はぁっ」


//SE ドサッと何かが落ちた音


「きゃぁっ!? な、なにぃ!? 何が起きたの? せ、せんぱぁぁぃっ……うぅぅっ……だ、大丈夫? 変なの、い、いません?」


//恐がりながらも不機嫌そうに唸る

「……うぅぅぅっ……うぅぅぅぅ」


「……げせぬ」


「先輩、どうして平然としてるんですか。さっきは、ナヨナヨで可愛かったのに……はぁっ!? ボクがビクついてるの見て、平気になった? うざっ! うざいんですけど、先輩!」


「しょうがないじゃん! 暗いし! 嫌な感じするし! 先輩が鈍感なんですよ! 鈍感! にぶ男! ……きゃっ、やだっ、見られてる気がする……気のせい?」


//恥ずかしさもこみ上げて不快感を込めて唸る

「……うぅぅぅぅっ」


「ひどい。ひどすぎる……先輩が悪い。先輩の……いじめっ子」


「こんなの、ボク、道化じゃん。ピエロですよぉ。外だとあんな、ついてきなムーブしてたのにぃっ、こんな」


//SE 廊下を靴で歩く音、二人分 鳴る

//SE 風で窓ガラスが鳴る音


「きゃぁぁぁっ!? あ、あぁぁぁっ……ぁぁぁぁぁっ」


//「うぇぇぇんっ」の部分、本気で泣かない感じで

「もうやだぁぁぁぁっ……うぅぅっ、どうしてこんな……いや、ボクが言ったんですけどぉぉっ、うぇぇぇんっ、せんぱぁぁぁいっ」


「だって……いや、害がありそうな怪談じゃなかったですし」


「先輩、聞いた事ないですか? ネットだと有名ですよ。山奥にある廃墟学園の噂」


//SE 廊下を靴で歩く音、二人分 鳴る


「昔、ここは女子校だったらしいんです。厳格なとこだったみたいですよ。

 だから、恋愛御法度的な、今じゃ漫画でしか見ないような校則もあって」


「それで、長年生徒の不満がたまっていたらしいです。ある日、女子生徒の一人が交通事故で死んじゃって……彼氏もできずに死ぬなんて! という想いが、幽霊になって怪談になってしまったんだとか」


「え? ちゃんと話してませんでしたっけ? ……ご、ごめんなさい。だって、その。全部話しちゃうと、その……この怪談、達成すると幽霊からプレゼントがあるらしくて、その」


「え? いや、試練があるらしんですよ。学園内にある七不思議にまつわるチャレンジにクリアすると、幽霊からプレゼントがあるっていう。……い、いや! ボクも変な噂だと思いましたよ!?」


「でも、その。実際に行った配信者いましたし。その人、怖くなかったけど本物だったって言ってたから、その」


//SE ドサッと何かが落ちた音


//割とガチめの悲鳴

「ぴ、ぎゃあああああああああああっ!?」


//今度はほんとに泣き出しそうな感じで

「あ、ぁぁぁぁぁっ……も、もうやだぁぁっ、うぇぇぇぇんっ」


//泣く

「ぐすっ、うぇっ、やだっ、なにこれぇ、い、いません? だってこんな、こ、こわいよぉっ、うぇぇぇぇぇんっ……ぐすっ……ぐすっ」


「うぅぅぅぅっ……先輩……あ、ありがとう……」


//小声

「ありがとう……ございます」


「……あ、頭なでなくて、その、子供扱いしないで……でもその、ありがとう」


「……やっぱり、頭なでてください」


「その、今パニックだからボク。その……うぅぅぅぅっ」


「先輩のくせに、頭なでるのうまい……うぅぅぅぅぅっ」


「……あ、ありがとうございます」


「……ふん! ま、こんなの最初から余裕でしたけどね! もう楽勝ですよ。先輩の方こそ、大丈夫ですかぁ? えへへっ、怖かったらボクに泣きちゅいてもいいでちゅよー?」


//SE 廊下を靴で歩く音、二人分 数回鳴る


「実は、校門も七不思議の一つだったんですよね。そして、廊下にも七不思議がある。……で、これが三つ目ですよ? 三階南のトイレの噂」


「……ふ、ふふっ。大丈夫ですか、先輩? ビビっちゃってるんじゃ、ないですか? ふんっ、ボクならもう余裕です。余裕のよっちゃん、ちゃんですね」


「噂では、誰もいない個室から返事があるらしいですよ? ふっ、ふぅーんって感じですよね」


「ノックすると、ノックが返ってくる。いますかー? と聞くと、いますよーって返事が来るらしいんです……ふっ、ふふふっ、こ、怖くないですね」


「そもそも、いるわけないですよね! ね!? 先輩も! そ、そう思いますよね? ……ね!? 思うよね、先輩!?」


//SE ノックの音 数回


「……ほらね。ノックの音帰って来ないし」


「……あはははははっ! なーんだ。心配して損しちゃった」


「いえいえ、いないのは分かってましたけどね。でも、ほら、怖がった感じ出さないと、先輩だって拍子抜けでしょ? えへへへっ、やーいやーい、いるなら返事してみろよー」


//SE ノックの音 数回


//本当に驚愕してる感じでお願いします

「……え?」


「……え……あ、あの……き、気のせいかな?」


//SE ノックの音 数回(強め)


「きゃぁぁぁぁぁっ!? や、やだっ。いるの? ……あ! やだっ、先輩!」


//SE 廊下を靴で走る音、二人分 鳴る


「はぁっ、はぁっ、はぁっ……はぁっ、はぁっ、ぁっ、ぁぁぁぁっ……そんなっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ……」


「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ……ぁぁぁぁぁっ……はぁっ、はぁっ、ぁぁぁぁっ……」


「な、なに今の? ……ぁぁぁぁっ、き、気のせい。気のせいだよね? あ、あああああっ」


//涙こもった声

「……せんぱぁぁいっ……ぐすっ」


「手、握ってくれて……あ、ありがと……ございます……ぐすっ


//SE 廊下を靴で歩く音、二人分 鳴る


「……先輩。なんか、頼もしいですね。……ずるいな。さっきから、ボクの好感度稼いじゃってさ」


「先輩は……先輩……女の子には、こうやって、優しいの?」


「みんなに? ……そ、それとも……ボクだけ?」


//SE 廊下を靴で歩く音、二人分 鳴る


「あ、いや、なに言ってるんだろボク。あははははっ、き、気にしないでください」


「あはははっ」


//SE 廊下を靴で歩く音、二人分 数回鳴る


//SE 廊下を靴で歩く音、一人分 数回鳴る


「……え?」


//SE 廊下を靴で歩く音、二人分 数回鳴る


//SE 廊下を靴で歩く音、一人分 数回鳴る


//後から自分たち以外の足音が聞こえて、説明しながら徐々に恐怖がこみ上げてくる感じで

「……七不思議の一つ。ろ、廊下を歩いてると……一つ、余計な足音が聞こえるって……せ、せせせ、しぇ、しぇんぱい……ぁ、ぁぁぁぁぁっ」


//SE 廊下を靴で歩く音、二人分 数回鳴る


//SE 廊下を靴で歩く音、一人分 数回鳴る


「あ、あ、あああ、ぁぁぁぁぁっ……」


//SE 廊下を靴で歩く音、二人分 数回鳴る(早足気味)


//SE 廊下を靴で歩く音、一人分 数回鳴る(早足気味)


「やだあああああああああああああああっ! だ、だれかああああっ! きゃああああああああああああっ!? しぇんぱい、た、たしゅけて! きゃあああああああっ!」

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