第22話 今、できることを
ドン!ドン!ドドン!!
タタタタタタッ ……
和磨が島へと帰って来た日、夜中に何度も爆発音と銃声が鳴り響いた
特別耳の良い和磨で無くとも、気付くだろうその爆音のせいで、結局朝までまともに寝る事は出来なかった
「おはようございます、和磨さん!良い朝ですね」
恐らく夜通し敵の侵入を防いでいたであろう佐伯二曹は、何事も、無かったかの様に爽やかな笑顔で挨拶して来た
地味に凄えな特戦群
フィジカルモンスターばかりとは聞いてたけど
「毎日こんな具合なんですか?」
「まさか!和磨さんが戻って来たからですよ」
汗まみれの体を海でサッパリさせた佐伯二曹が笑顔で答える
「島の周囲には指向性散弾を張り巡らせて、24時間体制で警戒してますから、安心して下さい」
日本は対人地雷禁止条約を批准していなかったっけ?
「戦時下で一々それ気にします?建前上では " 遠隔操作 " ならOKって事になってますから」
余りにも爽やかな笑顔で、当たり前の様に答えられると何も言い返せなくなる
ていうか、独りで全て頑張り過ぎじゃないかな
「まさか!今、この島に居るのは、和磨さん含めて全員自衛官ですよ」
「え?皆どうしたの?」
「本島へ避難して頂きました、ここ、最前線ですからね」
道理で昨日島へ着いた時も、誰とも合わないなぁと思ったんだ
「気になるなら、僕の小屋へご案内しましょうか?」
「え、良いの?」
「潜水艦部隊は口が固いんでしょう?」
そう笑いながら、お招きに応じて小屋を覗いてみると、そこは完全に前線司令部だった
30以上のモニターやPCと、島の地形図が壁面を覆い尽くし、通信機や武器類がこれでもかと山盛りである
端のほうに、申し訳程度のトイレとシャワーが備わって居たが、トイレの中にもモニターとライフルが置いて有るのには驚いた
小屋の外には工事現場で使う様な大型発電機やプロパンガスボンベ、偵察用小型バイクに40mm自動投擲砲や.50口径重機関銃まで有る
どれもこれも潜水艦には無縁な装備品ばかりなので、物珍しく見てると佐伯二曹が驚く発言を追加投入してくれる
「此処は、和磨さんの家を集中して護る為の拠点ですけど、島の中央には分隊司令部が設置されて対空対艦ミサイルも置いてありますよ、後で案内しましょうか?」
人の故郷を勝手に要塞化するなよ防衛省
「食料とかの補充は毎日ヘリで運んでますから不自由はありませんよ、北東部の拓けた場所にヘリポート敷設しましたので、
丘の上から観察すると、島の真ん中辺りにレーダーアンテナが見えた
「直接侵入しようとする人間なら完全に防げるんですけど、ドローン対策用に新装備の実戦評価の場にも為ってますね、ここ」
「新装備?」
「正体不明のドローンに対して、自動的に迎撃するシステムですね、あ、これ以上はちょっと部外秘なんで …… 」
祖父と暮らしたのどかな離島は、今や完全に要塞と化してしまっていた
出来れば知りたく無かったなぁ
島の変化に一抹の淋しさを覚えつつ、自宅へ戻ると、ラジカセからビートルズを流し海辺に座る
何もせず、潮風に当たりながら打ち寄せる波を眺め、居なくなってしまった彼女に想いを馳せる
こんな自分を守る為に、24時間体制で奮起してくれてる彼等には申し訳ないが、せめて感傷に浸らせてくれないかな
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます