第29話 ご参パイ、タァ〜イム!

「おおおおー!」

「ひゃっほー!」

「よかったー、生きててよかったぁー!」

「この世の春が来たァー!」


 いや、夏だろ。

 危うく声に出しそうだったが、亀沢は何とか心の中だけで突っ込む事に成功した。


 どうしても、着替えは男子の方が早い。

 更衣室から出てプールに向かった俺達は、数ある中の1番大きな中央のプールで女子達を、どんな水着を着ているか、想像しながら待っていた。

 平日とは言え、そこそこ賑わっているプールは、夏休みとあって子連れのスタイルのいいビキニママや、ビキニOLを見てはワイのヤイのやってたんだけど。


「おっ待たせぇーっ!」

 テンション高くやって来たのは、真っ赤なビキニに身を包んだ巨乳デカ尻の絵里エリー・神崎。

 流石のデカさ。

 スク水でも、そのデカさは注目の的だったが、ビキニだと迫力が違う。ちょいハミ乳気味。

 アクセサリーを外し、スッピンなのを見るとプールに入る気なんだと思う。


 いや、何しにプールに来てる、と突っ込まれそうだけど、中には確かにいるんだ。化粧にヘヤアクセ、ネックレスとかしてるOLとかが。


「絵里ったら」

「はしゃぎ過ぎだよ、もう」


 前原も黒ビキニで、グラビアアイドルにも負けないプロポーションを見せつけてる。

 金井カナブンは約束通り、俺が買った黄色系ビキニ姿。誰もが目を惹く巨乳は圧倒的。

 兎波は紫系のセパレートタイプ。胸のボリュームはともかく、長身スレンダーの彼女は、その足の長さをとても活かしたスタイルになってる。

 原囿もセパレートタイプだ。彼女も黒い水着で快活さが出てるし、意外に胸のボリュームを出してる。

 いつもはモブと言える河島も、今日は充分主役級だ。そう思える程青いビキニが映えてる。

 望月はワンピースタイプ。でも、清楚系知的メガネとはイメチェンしてるって思う。うん、やっぱどうしても胸が残念って思うのは失礼なんだけどさぁ。

 そして宮本は、青と白のストライプ柄ビキニ。スク水時より、スタイルの良さが出てる。

 今回、日程変更でテニス部部活が休みの日となり参加できる事になった星野ヒカリも、その名の如き輝かんばかりのプロポーションだ。白地に青ラインのビキニが、スポーツマンらしさも出してる。


 感涙に咽ぶ柳谷の横目に、金井カナブンは俺の横に来ると、再び腕組んでくる。


 むにゅ。


 それだけでも、充分、俺の二の腕に柔らかな感触が伝わってくるんだ。


「くっ。この際はいい。まだ、俺にはこんなにも希望がある!」

「そうだ!あの2人は、もう高校生の恋愛じゃねえから。俺達は清く正しく交際しよーぜ!」


 俺達は清く正しくねぇーのかよ?


「どの口が言うんだよ。なぁ、陽介ゴン宮本ムサシも言ってやれ!」

「…」

「…」

 顔を見合わせる三嶋と宮本。

「お、お前ら、まさか?」

 崩れ落ちる柳谷。前原も首をかしげると、

「ムッちゃん?」

 聞いてくる。

「その、…まぁ…、私がだ…。2度と『元カノ』と呼ばれないように、そう思って…、」

「それで?」

「だから、その、今、私が陽介の女だと、その証…絆…を、この身にしっかりと刻み込んで欲しい、そう懇願したんだ」

経験済なやっちゃったワケね」


陽介ゴーン!しれっと裏切ってたのかぁ?」

 改めて血涙流す柳谷や、の男共。

「いや、もう、身の危険感じたし」

「元はと言えば、陽介が私を"元カノ"呼ばわりしたのが悪い」


 頷く女子達。

「勝手に『元カノ』としたのは重罪だよ。女の子にとって、生きる希望すら失っちゃうんだから」

 兎波が責め立て、やっぱ女子が頷く。


「つまりは、彼女は大事にすべきって事だな」

 櫻井の言葉に、これまた頷く女子達。


「言ってるよね?大事にしてね❤︎」

 とっても柔らかな胸をグイグイ押し付けながら金井カナブンが微笑む…けど、目が全然笑ってないぞ。


 とにかく、プールに入ろっか!

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