第28話 皆んなでプールに行きまっしょい!

 プールのある「れじゃすぱ」は、どちらかというと温泉施設だ。そこにプールやフードコート、ゲームセンターやボーリング場、バスケハーフコートや卓球台区画等々。拡張を重ねて一大レジャー施設となったトコであり、温泉としては元々「銭湯並みの価格で入れる気楽な湯」がキャッチフレーズの昭和から続く老舗で、県内有数の歓楽施設だ。

 最近は、中央街にあるショッピングモールにその地位を奪われつつあるけど、俺達高校生にとっては地元で色々遊べる場所って言える。

 海岸地区にも、新手のレジャー複合施設が出来るって話もあって(これも市長の選挙公約だったけど、実現しそうな辺り市政への支持は高い。高校生の俺等ですら、そう思う訳)、対抗すべく「れじゃすぱ」も数々のキャンペーンをやってる。

 日時が延びた事で、星野輝も「この日なら部活無いから」と急遽参加する事になり、総勢20名となった俺達は、元々の10名割引を上回る20名割引に該当する事になり、1日パスポートを得る事が出来たんだ。

 プールの団体割引は勿論、各種レジャー施設やフードコート1割引+食事時ドリンク1本無料特典等、"夏の大キャンペーン"の恩恵が与えられ、とにかくテンションは上がりまくりだった。


 駅で何人かと合流し、そのまま「れじゃすぱ」へ。男達ヤロウ共の話題は、女子達の水着姿しかなかった。

「カメぇ!ホントに金井カナブンはビキニ着てくれるんだろなぁ⁉︎」

「そう言ってたから、そうなんだろ?」

「まぁねー」

 金井カナブン俺の横、腕組んでる訳で。

「くくっ。夏休みまで見せつけやがってぇ!」

「ユキヤと一緒、が大前提なんだから、コレは許容しなさいよ」

 寄り添う金井カナブンは、今日はトップスはクリーム色?白系ノースリーブ・シフォンシャツに、相変わらずの短め丈のプリッツスカート。水着に化粧品色々、タオルとか荷が多い為か、ちょい大きめ、白地に青ラインのトートバッグを肩に掛けてる。

 水色系Tシャツに茶系カーゴパンツ、黒ナップザックの俺とは、実はあまり釣合取れてないよね。


 団体割引を受ける為には、その人数が揃ってる必要がある。だから入口を集合場所にしてたんだけど、10時集合で驚く事に遅刻者は皆無だった。

 水着ビキニ、恐るべし(笑)。


「驚きね。やれば出来るじゃない、柳谷君」

「いや、俺だけじゃねぇーだろ?遅刻の常習は!」

「他18名の驚愕の表情が、全てを物語っていた!ジャカ、ジャーン‼︎」

「おい、櫻井シンゴ!いらん物語ナレーションつけんなぁ‼︎」

 皆、爆笑だよ。

「これは、もう、クラスのいぢめだぁー!これを癒すには、前原と神崎と金井の水着ビキニを参パイさせて貰うっきゃねぇー‼︎」

「何、それー?」

「アタシら、神社じゃないんだから」

「バカ言ってないで、ほら、手続きするぞ。皆一旦1,000円ずつ集めんぞー!」


 手続き済ませて1日パスポートをもらう。


「さ、プール行くぞー」


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男子更衣室


「ビキニだよな!今更違うなんて言うなよ」

 着替えた後、俺達に血涙流す程に訴えてくる柳谷。

「いいじゃん。こないだのスク水だって、一見の価値あったじゃねぇか」

「そうそう。女性はやっぱくびれだと思うよ」

 櫻井や寺脇がまぜっ返す。

「お前らは、モテモテでよりどりみどりじゃねぇーか?だから、そんなよゆー発言できんだよぉー」

「まぁ、でも、こうして水着姿拝める訳だし。横山ゆーじの血涙見ただろ」

「そういや、あいつ、日程変わっても来れなかったの?」

「この時期は、田舎で稲刈りって言ってたよ」

「は?」

早期米早稲種は盆前。つまりは台風シーズン前の稲刈り収穫になるんだよ」

「へぇー」


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女子更衣室


「ね、また大きくなってない?」

「そりゃ、ブンちゃんは、をいっぱい愛されてるからねー」

「ちょ?ユキヤは別にアタシの胸だけじゃなくて、アタシの全てを愛でてくれるから」

「ね、やっぱ通い妻してんの?」

「ほっとくとコンビニ弁当ばっかなんだもん」

「うわー、絵里、大胆!」

「Oh!そろそろ本気でアピールしないとね」

「いや、貴女にされたら、私達取り巻きにしかなれないから」

「そう?私みたいな胸デカ・ケツデカより、祐美みたいな謹製とれた美しさの方がいいじゃん」

「へぇー。祐美もセクシー系でいくんだ」

「いいなぁ。どうして同い年なのにここまで背が違うの?私の食べた栄養は何処にいったの?」

「貴女も胸でしょ?背は小学生で胸は高校生って」

「酷!せめて中学生って言ってよ」

「そろそろ行くよ。男子待ってるだろうし。それじゃ、ご参パイ、しっかり拝ませてあげようじゃない」

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