第21話 店員さんは慣れています

 カップルで来られたお客様。

 彼女さんは、楽し気に選ばれています。


 彼氏さんは、不慣れ?

 女性用水着売り場に来られてドギマギしてらっしゃる?

 そんな初々しさに微笑みつつ、彼氏さんの方へ声をかけてみます。


「もし、お客様」


 あ、これは、殿方が此処にいる事を咎められると思われたのでしょうか?

 焦り気味の彼氏さんに、安心できる様優しくお声掛けします。

「先程一緒にいた彼女さんのを、お選びですよね。でしたら、向こうの方がよろしいかと。こちらでは、小さいかと、思いますよ」


 彼女さんのは、サイズ的にもカップ的にもこの辺りのでは、厳しそうです。

 最近多い、カップルでの試着。

 なのでプライベート・フッティングルームの事も案内します。


 赤くなって。本当に初々しいです。

 何せ、酷い方々は何も言わずに入っていったり、中で如何わしい事をされる方もいらっしゃったりしますので。

 カップルでのご利用は、一声かけていただく様、入口にもあるのですがね。


 そうこうしているウチに、彼女さんが来られましたね。栗色の髪に碧い瞳。外人?いや、ハーフの方なのでしょうか。美人さんで、本当に胸の大きな方です。


 プライベート・フッティングルームの事を彼女さんにも案内します。

「どうする?ユキヤ」

「入るわけねぇだろ」

「残念」

 仲睦まじく、それでいて高校生でしょうね。年相応の初々しさがあって…。

 彼女さんの方が、積極的ですね。


 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


「まだ、3着選んでないんだ」

「いや、あっち見てたら、サイズ的にもこの辺りって言われてさ。こういうのって、ヒモで調整じゃないの?」

「そのヒモって、ダミーも多いんだよ。それじゃ解けた時大変でしょ。グラビアなんかで着るのとは訳が違うんだから。あれは、ホントに用なんだよ」

「なるほど」

「後、カップもね。それともユキヤはハミ乳が好み?なら、こうご期待!」

「やな予感しかしねぇんだけど」

「何でよー!」


 金井カナブンのヤツ。

 マジで凄いエロいのを選んでそうだな。


 ふと見ると、ビキニタイプなんだけどフリル付きとかのヤツが目に付いた。

 これなら露出は減るか?

 でも、やっぱ金井カナブンはカワイイ系よりセクシー系だよなぁ。

 そう思って、でもあまり過激でない普通っぽい、黄色系のビキニを手に取る。

 後は、スクール水着とか競泳用とは違うにしても、ワンピースタイプのもあるよなぁ。

 何となく、白いのを手に取っていた。


「3つ選んだぁー⁉︎」

 俺は、選んだ水着を金井カナブンに渡す。

「ほほう。これがユキヤがアタシに着せたいエッチな水着ね」

「何でだよ」


 ケラケラと笑う金井カナブンは、それらを持って試着室に入る。

 勿論、1人用だからね。


 カーテンが閉まり、中でゴソゴソやり出す。


 外で待ってる野郎って、なんか間抜けっぽい。

 やがて、ちょい開き顔だけ出すと。


「いっくよー!ジャーン‼︎」


 カーテンが開け放たれる。


「どぉ?」

「わぁ!」


 似合ってはいる。いるけど…、胸が!


 三角の布が全然足りて無い。

 上下処か、周りがはみ出てる!


「ご期待通りの"ハミ乳"だよー!」


 さっきのだと、こうなるのか?やべぇよ。


「勿論、室内鑑賞用だよ」

「いや、そう言うの要らないから」

「次も、乞うご期待!」


 そう言ってカーテンが閉まり、再び開いた時には、更に過激になってて。


「どぉーだ!」

「それ、トップしか隠れてないんじゃ?」

「嬉しいでしょ。ユキヤ、おっぱい星人だもんねー。勿論、コレも室内鑑賞用ね」

「外で着るのを買おーよ」

「ちなみにコレ、後ろも凄いよ」


 くるりと後ろを向く金井カナブン

 それ、上が少し出てない? オシリ。


「コレがホントの大サービスね!」

「オヤジギャグかよ」


 デカくはないにしても、十二分に魅力的な丸いお尻をペシペシと叩くと、振り返りってケラケラ笑う。


「次は、ユキヤが選んでくれたヤツね」


 再びカーテンが開いて。


「どぉ?」

 白いワンピースタイプの水着。

 でも、少し薄い?色のせい?

 何か、透けて見える気が…。

「こういうエッチなのが好みか」

「いや、普通にワンピースを見てみたかったんだけど、何か違う」


 再びカーテンが閉まり、そして開いて。


「どぉ?」


 俺が選んだ黄色系のビキニ。

 ハミ乳は無いけど、谷間は丸見え。


「いいよ、うん、か…文香、黄色系似合う」


 くるりと回ってポーズ。


「うん、アタシも気に入った。ありがと、ユキヤ」


 次は、最初に選んだセパレートタイプ。


「どぉ?」

「いいんじゃない?」


 少なくとも俺は似合いと思う。


「うーん、祐美と被りそう」

「別に、一緒に行く訳じゃないだろ?」

「あん、そう言う話もあるの。クラスライン見てない?」


 あった。

 クラスのみんなで「れじゃすぱ」に行こうって。

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