第34話 紙の投入
やはり世界を渡りまくるナギサ。
ロロア魔王国にはレトルト食品や冷凍食品も持ち帰っている。
味を再現するための見本だ。
別にポチれば良いんだが、なんか勢いで買って帰っていた。
(ナギサ)
今日は何買って帰るかな……
(早乙女 椿)
ポチらないんですか?師匠。
(ナギサ)
見て買った方が楽しいなぁ〜と。
(王都ギルド職員 アンナ)
たしかに言えるわね。
こんなに種類があるんですもん。
あの"れとると"っていうシリーズ、美味しいし手軽ですよね!
お湯で温めるだけでできるなんて。
(キリア)
"れいとうしょくひん"とかいうのも凄ぇ〜ぞ。
だれでも簡単に店の味だ。
(椿)
あれ、導入するんですか?師匠。
(ナギサ)
したいが出来るか?
凄い工場がいるぞ。
(椿)
あゝ……でも、機械をポチれば……
(ナギサ)
料理人達と慎重に考えよう。
店の売り上げにも影響出るからな。
(椿)
そうですね、師匠。
(ナギサ)
今日はコンビニのプライベートブランド、攻めるか。
(椿)
良いですね!"金のシリーズ"とかですよね!師匠。
(ナギサ)
一通り買おう、コンビニ回るよ。
でも……
(椿)
フェラチマート、ラーソン、セブンハイで充分かと。
(ナギサ)
まぁ、そうなるよな。
ナギサ達はコンビニを回り、プライベートブランドだけを買った。
(ナギサ)
後はと……
(王都ギルド職員 アンナ)
野菜、果物、肉、魚!
(ナギサ)
"ブランド"のヒント用か。
(椿)
私も良いですか?
(ナギサ)
いや、"ブランド"はウチがやってる。
下手な争いは避けたい。
(椿)
分かりました、師匠。
料理の再現は……
(ナギサ)
それは良い。
美味いもん食わせてやってくれ。
(椿)
加工はやめた方が良いですよね。
(ナギサ)
こっちが落ち着くまでな。
その後は協力しよう。
ドラコ王国にしか無い料理を輸出できるだろ。
基本仕様はウチがやる。
と言っても、ドラコ王国独特の味なら両方楽しめるから良いがな。
(椿)
分かりました、師匠。
ナギサ達は野菜、果物、肉、魚を一通り買う。
(ナギサ)
またダイソン行くか?
(椿)
やったぁ〜!ちょうど書類入れや仕分け用の袋が欲しかったんです。
(ナギサ)
いつも通り……
(椿)
紙禁止、ですよね、師匠。
例によってカートを取ってくる3人。
(椿)
電卓は……
(ナギサ)
無理だろ?
そろばんなら作れるが。
(椿)
ですよねぇ……
(ナギサ)
時期をみて、魔動具として導入する。
輸入してくれ。
(椿)
じゃあ……
(ナギサ)
輸入なんだ、権利金は要らない。
その方が安いだろ。
(椿)
なるほど!
(ナギサ)
そして次はレジな。
ただし、有人だ。
無人レジは防犯上、無理だろ。
(椿)
ですよねぇ……
(ナギサ)
タブレットは相談しよう。
注文用だけのな。
ただ、トラブルが多発しそうだから、今の方が良い気がするが……
(椿)
タブレットはやめましょう、師匠。
そこまでしない方が良いと思います。
(ナギサ)
やっぱりそう思うか。
(椿)
ええ。
(ナギサ)
だよなぁ……
(椿)
です。
(ナギサ)
で、そっちの識字率はどうなんだ?
(椿)
なんとか事情を説明して、学校と塾を始めましたが、なかなか予算が……
やはり貴族の特権意識が強いですね。
(ナギサ)
なら、"本喫茶"をやる。
こっちの識字率はほぼ100%だしな。
そうすれば焦るだろう。
"本喫茶"はそっちでも権利金もらってやるから、椿が仕切れ。
(椿)
了解です!
タイミングは師匠の指示で。
ロロア魔王国で"本喫茶"の投入が決まった。
そして今回も山積みの買い物をした3人だった。
1人カート2台、総額10万円のお買い上げ。
ダイソンで10万いったか……
レジのおば……ゲフォゲフォゲフォゲフォ……お姉さん、引き攣ってたぞ。
アンナを送ってからロロア魔王国に戻るナギサ達。
(椿)
またです、師匠!
(ナギサ)
来なくて良いよ。
(椿)
師匠!!!(涙)
ナギサは"本喫茶"の準備に取り掛かる。
まずは1店舗、王都に頃合いな店舗を買い、準備を進める。
(ロロア魔王国魔王 カイン・ロロア サキュバス)
シルフィア様、"本喫茶"というのは?
(ナギサ)
その名の通り、"本喫茶"
貴族の財力誇示の本を低価格で読める喫茶店。
軽食も飲み物も出すんだ。
識字率も上がった、そろそろ頃合いだよ。
盗難防止と破損防止に魔法をかけておくから安心だよ。
これで庶民も本が読める。
新しい娯楽だよ。
しかしこれは伏線、その先があるから楽しみにしてて。
(キリア)
"こすぷれ"だろ?
(カイン・ロロア)
シルフィア様、"こすぷれ"というのは?
(ナギサ)
本にハマると、好きな登場人物ができる。
その登場人物に成り切りませんか?
という娯楽。
そういう服を作って売る。
購入者は、それを着てお茶するイベントだよ。
好きな登場人物同士、物語仲間、集まって成り切ってお茶会を開く。
最終的には、色々集めて一大イベントにする。
その後は紙を安く作れる技術を開発する。
今度は誰でも物語を書けるようになる。
それを一大イベントで売ったりするんだ。
服も自分好みにアレンジしたりと面白くなるよ。
その第一歩が"本喫茶"だよ。
品物やイベントの開催は、お抱え商人と相談して導入する。
(カイン・ロロア)
なにか凄く楽しそうです!私も是非参加します!
(ナギサ)
その為にも段階を踏んでいきましょう、カイン。
(カイン・ロロア)
はい!シルフィア様!
で、"コスプレ"にどっぷりハマったカイン。
魔女王様も大変なんだな。
となると、紙の開発だ。
ナギサはとりあえず"和紙"の製法に取り掛かった。
材料の、いわゆる、楮、三椏、ガンピなどとよく似た植物は見つかった。
機械をポチり、技師達に指導していく。
詳しい作り方はGoogleで。
(技師 熊獣人)
こんな方法で紙が作れるのか!
(技師 狐獣人)
これだと、今までとは比べものにならないぐらい安く紙ができるぞ!
それと同時に"上質紙"の開発にも取り掛かる。
木材から作れるからだ。
パルプの抽出などは魔法陣でやってしまい、機械はポチる。
更に安い紙の出来上がりだ。
詳しく知りたい人はGoogleで。
(技師 狐獣人)
き、木から紙ができるのか!
(ナギサ)
"和紙"は"和紙"の良さがあり、"上質紙"は安くできる。
使い分けたら良いからね。
(技師 狼獣人)
なるほど、これなら庶民も紙が使える!
当然、この事はドラコ王国にも知れる。
商人が持って来るからだ。
(ドラコ王国国王)
なっ、なんと!紙が安い!しかも書きやすい!!
(椿)
流石、師匠!
早速ロロア魔王国に行ってきます!
国王の返事も待たずにロロア魔王国に向かう椿。
(ナギサ)
準備は?
(椿)
バッチリです!師匠!
(ナギサ)
国王はなんて?
(椿)
えっ?
"紙が安い!しかも書きやすい!!"って。
(ナギサ)
投入して良いのか?
(椿)
えーっと……
(ナギサ)
聞いとけよ!!
(椿)
まあまあ、とりあえずドラコ王国に来てください。
権利金はいつも通りで。
(ナギサ)
いや、今回のは半額で良い。
庶民にも行き渡る方が良いからな。
(椿)
流石師匠!(輝く目)
という事で、とりあえずドラコ王国に向かう椿とナギサ。
カインは呆れて笑っていた。
(ドラコ王国国王)
これはナギサ様、よく来られた。
あれ?"ナギサよ"って言ってなかったか?
もはや"様付け"になっていた。
(ナギサ)
国王様、紙の導入はいかがなされます?
(ドラコ王国国王)
もちろん我が国にもお願いしたい。
(椿)
今回の権利金はいつもの半額で良いって。
庶民まで幅広く使って欲しいからって。
(ドラコ王国王妃)
なんと!それはありがたい。
庶民の事まで考えてくださるとは、もはや聖母!
ありがたき幸せに存じます。
なんかえらい低姿勢だな、おい!
早速技師達が集められ、指導に入る。
(技師:男)
こんな方法で作るのか!
たしかにこれなら安く作れる!
(技師:男装)
しかもこっちの紙は更に安く作れる。
木から紙が作れるとは……
(椿)
流石師匠!凄いです!(誇)
そんな裏では……
(国王)
椿の戦闘力は尋常じゃない。
持ち込む物も未知の物ばかりだが……
(王妃)
ナギサ様の方が数段上ですね。
師匠と懐いてくれているのが唯一の救いです。
(国王)
ロロア魔王国とは長い付き合いになるな。
(王妃)
椿ともです。
弟子である以上、何かあれば師匠が出てきます。
そうなれば我が国は……
(国王)
我が国は終わるな。
繁栄を望むなら、椿の扱いには重々神経を払い、嫌われぬようにしないとな。
(王妃)
我が国に見切りをつけ、師匠を慕ってロロア魔王国にでも行かれたら……
(国王)
そんな恐ろしい事は考えたくもない。
ある意味"腫れ者"、ある意味重用する事が決まった瞬間である。
まぁ、前から重用はしていたが。
(ドラコ王国王女)
お父様、忘れています。
ナギサ様は死んだ人を生き返らせる事ができます。
(王妃)
あっ!なら、使い捨てのように扱い処刑したり、刺客に暗殺されたりでもしたら……
(ドラコ王国王子)
生き返らせ、その罪を我々に問う!
(国王)
それ以上言うな、頭がおかしくなる。
身の安全も今まで以上に確約された椿だった。
そんな事とはつゆ知らず、領地経営の合間にはロロア魔王国もとい、ナギサの元に入り浸る椿。
(ナギサ)
お前な(ため息)
(椿)
なんです?師匠。
(ナギサ)
ドラコ王国の勇者がロロア魔王国に入り浸って良いのか?
(椿)
なんか問題あります?師匠。
(ナギサ)
大アリだよ!(ため息)
(椿)
ええぇぇぇっ!!!
(ナギサ)
ドラコ王国の立場も考えてやれよ(ため息)
(椿)
考えてますよ?
今度、なんか伯爵に昇格するんです、なんでですかね?
(ナギサ)
そりゃ、お前の功績だろ?
(椿)
師匠の功績ですよ?
師匠が色々教えてくれるから出来るんですよ?
(ナギサ)
まぁ、ドラコ王国の代表が子爵じゃカッコつかないんかな?
回りの目もあるから、なんかあればまとめて功績を集めて昇格させてんのかもな。
(椿)
最近、しつこく付き纏っていた貴族達が居なくなって清々してるんですよ。
(ナギサ)
ソイツら処刑かもな。
(椿)
なんでそんな物騒な事、言うんですか?
(ナギサ)
お前に愛想尽かされない為じゃない?
(椿)
うーん、そうかなぁ……
たまに付き纏われて辛い、師匠のところに行くって言って抜けてくるから?
(ナギサ)
お前、それ、相手にとって致命傷だわ。
そんなところは鈍い椿だった。
鈍い椿はさておいて、着実に計画を進めるナギサ。
それについてくる椿。
紙が安くなった。
それにつれて"私も小説が書きたい!"という人も増えてきた。
中には絵付きで書く人も居る。
そこで"マンガ"を提唱した。
今までと違い、絵が中心。
セリフ中心で進んでいく新しい形式だ。
紙の質が誤魔化せるので、クソ世界からいくつか"マンガ"を持ち込んだ。
しかも物語の最初だけ。
これがヒットした。
"私なら続きはこう書く!"と、いわゆる"同人誌"がブームになった。
1つの話がいくつにも広がる、新しい娯楽が出来上がる。
そこへ"コミケ"の投入だ。
各々、作品を持ち込んで売り出した。
しれっとカインも名前を変えて、参加していた。
なんか大人の恋愛のキワドイ話らしい。
溜まってますな、女王様。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます