第31話 推しグッズとダイソン

調査を終えたナギサ達はギルドに帰還する。

あの魔法陣は魔道士達が専門的に調べる事になった。

ダンジョンといえば、魔物が付き物だ。

廃神殿がダンジョン化したのだから、魔物も発生する。

ダンジョンには魔素が溜まり、それが魔物を生み出すからだ。

下位層に行くほど強い魔物が生まれるのは、魔素が濃くなるからだ。

15階層でドラゴンだった。

100階層となると何が生まれるか分からない。


(クラン王国王都クラン ギルドマスター ミレンナ:男装)

ナギサ。


(ナギサ)

頑張れ(微笑み)


(王都ギルドマスター ミレンナ)

お前がな。


(ナギサ)

えぇぇぇっ!!!


(王都ギルドマスター ミレンナ)

あのな(ため息)

考えてみろよ、15階層でドラゴンだぞ、100階層になると何が生まれるか分かったもんじゃない。

そこでだ、魔物が発生しだしたら、調査に行ってほしい。

討伐じゃない、調査だ。

何が居るかだけ見てきてくれたら良い。

下手に討伐しても処分に困る、スタンピートでも起こりかけてから討伐で良い。


(ナギサ)

分かった、居たのはドラゴンキングだ。


(王都ギルドマスター ミレンナ)

まだ行ってねぇ〜だろ!

しかもドラゴンキングって何だよ!


(ナギサ)

じゃ、行ってくる。


(王都ギルドマスター ミレンナ)

まだ魔物、発生してねぇ〜よ!

この前調査したばっかだろ!



という事で、魔物の発生まで待つ事になった。

なんだかんだで3つの世界を行き来しているナギサ。


(早乙女 椿)

師匠(上目遣い)


(ナギサ)

断る!


(椿)

まだ何も言ってないじゃないですか!(涙目)


(ナギサ)

なんだよ。


(椿)

そろそろ推しのグッズが発売されているかと。


(ナギサ)

で、連れてけと。


(椿)

はい!(輝く目)


(ナギサ)

仕方ないなぁ……


(椿)

師匠!(キラキラした目)


(ナギサ)

5年後な。


(椿)

師匠おぉぉぉっ!!(泣)


(ナギサ)

じゃ行くか、キリアとアンナに声をかけて。


(椿)

はい!(嬉)



ドラコ王国の勇者がロロア魔王国の魔王宮の中を走る。


(サキュバス)

おい、アイツ!


(ダークエルフ)

あゝ、椿とかいうヤツだろ?

放っておけ。


(エルフ)

ナギサ様の弟子だ。

下手したらナギサ様が抹殺する。


(サキュバス)

なら良いか。



なんかもう、椿はスルーされていた。


(椿)

キリア!


(キリア サキュバス)

わっ!!なんだよ!って、どこ来てんだよ!!


(椿)

推しグッズ、買いに行くよ!!


(キリア)

はぁ……


(椿)

ファミレスもコンビニも行くよ!


(キリア)

それを先に言え!行くぞ!!



大慌てでナギサのところへ走ってくる椿とキリア。


(ナギサ)

早いな(笑)


(キリア)

当たりめぇ〜だ!ファミレスとコンビニ行くぞ!!


(ナギサ)

はいはい、じゃ、クラン王国ね。



クラン王国のギルドに寄るナギサ達。


(キリア)

アンナ、ファミレスとコンビニだ!


(クラン王国王都クラン ギルド職員 アンナ:女)

えぇぇぇっ!!!今、仕事中なんだけど……


(ナギサ)

じゃ、アンナの休みの日にしよう。


(椿)

師匠!!(涙)


(ナギサ)

別にいつでも買えるだろ?


(椿)

ダメなんです!期間限定なんです!!


(ナギサ)

なら、終わってから行こうか。


(椿)

師匠!!(泣)


(王都ギルド職員 アンナ)

はぁ……じゃあ行ってあげて。

私は休みの日に連れてって。


(ナギサ)

分かった。



ナギサは椿が下手な事が出来ないように"スマホ"に細工していた。

クソ世界の情報が取れないようにしていたのだ。

ナギサに通話とメールだけは出来るようにしていたが、あまりに多いので、通話は着拒否していた。

メールも迷惑メールに登録していたが、そうなると手紙を送ってきた。

破って捨てていたら、本人が乗り込んできた。

そこで推しグッズ等、グッズ情報だけは調べられるようにしたのだ。

それで少しはマシになったが……椿、お前、領地経営、大丈夫か?


(椿)

グッズ♡グッズ♡推しグッズ♡


(ナギサ)

予算は100円な。


(椿)

何も買えません!!(流涙)


(ナギサ)

見るだけ。


(椿)

ヤダ、ヤダ、ヤダぁ〜!



道に寝転がって駄々をこねる椿。

通行人が引いていた。


(ナギサ)

はい、20万あったら足りるだろ。


(椿)

師匠!愛してる!!(嬉)


(ナギサ)

オエぇぇぇっ!!


(椿)

なんでですか!(泣)



両手で抱えるほど推しグッズを買う椿。


(椿)

師匠ぉ〜。


(ナギサ)

自分で持て。


(椿)

はい(涙目)



そしてファミレスに行く。


(キリア)

今日はカルボナーラとマルゲリータの気分だな。


(ナギサ)

えーっと、肉野菜炒め定食だな。


(椿)

私、海藻サラダ……


(キリア)

なんだお前、食わないのか?


(椿)

いや、その……


(ナギサ)

太った(笑)


(椿)

師匠ぉ〜!!(涙)


(ナギサ)

だからダイエットか。

そんなもん、ロロア魔王国とドラコ王国の行き来を歩くか軽く走れば良いやん。

運動して痩せろ、食事制限は身体に悪い。


(椿)

ううっ……そうします(涙)

師匠はなんで太らないんですか?


(ナギサ)

クラン王国では冒険者だ。

"ホルモン"の納品もあるから狩りに行くからな。


(椿)

じゃあ、私も……


(ナギサ)

領地経営な、領主様。


(椿)

はい……(涙目)



ファミレスで食事をし、コンビニで買い物をするナギサ達。

意外とブランド品には興味がないみたいだ。

そこで100均のダイソンに連れて行った。


(椿)

そっか!ダイソン忘れてた!


(キリア)

なんだこれ、変わったもんが多いな。


(ナギサ)

これ、ほとんどが100円。

違うのもあるけど。


(椿)

消費税入れて110円だよね。

あっ、これ書類保存に欲しい!


(キリア)

これ帽子か、これ良いな。


(椿)

この書類立て使える。


(キリア)

これ靴か?変わった靴だな。



流石ダイソン、品揃えが半端ない。

ガンガンカゴに入れていき、入らなくなったからカートを取りに行った。

ダイソンで2人で5万円って相当だぞ。


(椿)

師匠ぉ〜(涙)


(ナギサ)

これやるよ。



"ストレージ"のハンドバッグをあげた。


(椿)

流石師匠!もう濡れちゃう!


(ナギサ)

漏らしたのか?


(椿)

違ぁ〜う!



というわけで、ロロア魔王国に帰るナギサ達。


(椿)

師匠、お茶。


(ナギサ)

自分でな。


(椿)

はい、これですか?


(ナギサ)

あゝ、それだな。



メイドがナギサにお茶を持ってきた。


(椿)

師匠ぉ〜!!


(ナギサ)

なんだよ、自分でやれよ。



渋々、自分で入れた椿。


(椿)

オエぇぇぇっ、苦い……


(ナギサ)

そりゃあ下剤だからな。


(椿)

師匠ぉ〜!!(涙)

うっ……トイレ……


(ナギサ)

即効性だ。


(椿)

わああぁぁぁっ!!(半泣)



半泣きでトイレに走る椿。


(椿)

ふぅ……スッキリ……あっ……ダメだ!



3回トイレを出たり入ったりした椿。


(椿)

ううっ……お尻痛い……


(ナギサ)

痩せたろ(笑)


(椿)

そんな簡単に痩せません!


(ナギサ)

まぁ、コレやる。


(椿)

なんですか?


(ナギサ)

腸の調子を整える薬だ。

便秘も治るやつだから、使ってみろ。


(椿)

はい!腸活ですね、師匠。


(ナギサ)

そうだよ。



というわけで、やっと帰った椿。


(ナギサ)

こっちはどうだ?


(キリア)

順調だ、何も問題ないな。


(ナギサ)

特に投入する物とかも無さそうか。


(キリア)

そうだな、特に聞いてない。


(ナギサ)

それは良かった。

じゃあ、どうするかな。


(キリア)

クラン王国はいいのか?


(ナギサ)

まぁ通常運転だね。

ダンジョン化した廃神殿があるけど、まだ魔物が発生してない。

発生してから、魔物の調査だ。

今度は100階層まである大迷宮だ、何が発生するか分からんからね。


(キリア)

100階層って、大迷宮なのか?


(ナギサ)

大体10階層で、この前スタンピートが起こりかけたのが"ダンジョンの成長"で15階層になったな。


(キリア)

ふーん……こっちじゃ100階層なんて普通だけどな。


(ナギサ)

じゃあ最高ランクは?


(キリア)

Sランクだ。

伝説ではUランクだが、それは勇者ぐらいでないとなれねぇ〜よ。


(ナギサ)

Sランクなら最深部まで行けるの?


(キリア)

ああ、スタンピート対策に、時々Sランクが間引きしてるわ。


(ナギサ)

どんなのが居るんだろ?


(キリア)

100階層にはドラゴンだ、あれが地上に出てきたらやべぇ。

まだ小竜のうちに定期的に狩ってる。


(ナギサ)

なるほどね。


(キリア)

まぁ、お前が居れば大丈夫だ。

ドラゴンどころかヒュドラでも大丈夫だろ。


(ナギサ)

ヒュドラなんて発生したん?


(キリア)

記録ではな。

突然変異だったらしい。

王都が崩壊して国が滅んだ記録があるな。


(ナギサ)

そうか……ヒュドラって何?



ゴン!

机で頭を打つキリア。


(キリア)

知らねぇ〜のかよ!!


(ナギサ)

身体がドラゴンで首が9つあるヤツ?


(キリア)

知ってるじゃねぇ〜か!


(ナギサ)

いや、適当に言ってみた。


(キリア)

適当かよ!!

でもよ、お前、ドラコ王国からも要請くると思うぞ。


(ナギサ)

なんで?椿が居るだろ。


(キリア)

あゝ、まぁ、そうだけどな……なんか危なっかしいんだよな。

俺が思うぐらいだから、国王あたりも思ってんじゃねぇ〜か?


(ナギサ)

うーん……

面倒くせぇ〜。


(キリア)

魔物狩りなら同盟国に援軍要請できるからな。


(ナギサ)

まぁ、その時はその時か……



椿を連れてきただけに、嫌とは言えないだろうなぁ……と思うナギサだった。

しばらく経つと、ギルドから魔物が発生したと報告がきた。

まだ発生したばかりなので、しばらく様子をみてから調査を頼むと打診があった。


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