第19話 戦後処理

まずは魔王宮を拠点に残党狩りを開始したナギサ達。

ナギサのチート魔法で簡単に蹴散らし、呪いのペンダントを配りまくる。

兵糧はあえてナギサが通販しまくった。

そして、"落ち着いたら農業や漁業の改革をやって、こういうのが食べられるように頑張ろう"と宣言した。

それにより士気は非常に高かった。

ナギサ、帰るのは当分無理だな。

それと同時に街道整備と上下水道の整備をカイン・ロロアに提言していた。


(ロロア魔王国魔王 カイン・ロロア サキュバス)

それをやってくれるのですか?シルフィア様。


(ナギサ)

うん、やるよ。

せっかくだからやっちゃって良い?


(カイン・ロロア)

よろしくお願いします。


(キリア サキュバス)

良いのか?ナギサ?


(ナギサ)

別に良いよ。

行き来しながらやるから。


(キリア)

いや、まぁ……ドラコ王国……


(ナギサ)

ん??


(キリア)

忘れてやんなよ!!


(ナギサ)

まぁ、要望があればね。


(キリア)

絶対あると思うぞ(ため息)



そしてナギサ達は快進撃を続ける。

しかし、ここで反魔王派のギルディラン辺境伯が新国を建国すると宣言した。

その名もギルディラン魔王国。

魔王はエルフのゲイル・ギルディランだ。


(ナギサ)

反魔王派が建国したけど、どうする?

国作っちゃったから無視する?

どうせ反魔王派まで手を差し伸べる気はないけど。


(カイン・ロロア)

そうですね、無視しましょう。

戦争をふっかけてくるなら相手をお願いしたいですが、かなり駆逐しましたし、シルフィア様が手を差し伸べる気が無いなら余計な火種は不要かと。



そこでロロア魔王国はギルディラン魔王国の建国を認め、不要な戦争はしないと宣言した。

そこで日和見派が動いた。

ロロア魔王国かギルディラン魔王国かを選んだんたが……

付き合いの深い日和見派と呪いのペンダントを着けられたのはギルディラン魔王国側、どちらかというと反戦派だったのはロロア魔王国に付いた。

数的にはギルディラン魔王国の方が圧倒的に多かった。

やはり呪いのペンダントが怖かったのだ。

ナギサの圧倒的な火力より、ギルディラン魔王国側に付けば助かると思ったからだ。

逆にある程度自信のあった反戦派は、ナギサの圧倒的火力を警戒して味方に付いた方が得と判断したのだ。

ここでギルディラン魔王国側に付いた日和見派に絶望的な情報が流れた。

ロロア魔王国に付いたものには呪いのペンダントは渡さないと宣言したという情報が入ったからた。

そうなると、ギルディラン魔王国側に付いた日和見派はナギサの圧倒的火力に怯える事になった。

追い打ちをかけたのが、ロロア魔王国は希望する領地にはナギサの異世界の知識を活用して発展させるという情報だ。

今さら寝返りは許されない。

寝返えれば警戒され、恩恵は受けられない可能性が高いからだ。

また、ロロア魔王国とギルディラン魔王国の領地が入り乱れている為、領地交換も議論されたが、領主はやはり難色を示した。

ナギサはそのままが良いのではと進言した。

ロロア魔王国の領地が如何に発展したかを目の当たりにできる為だ。

それを妬んで小競り合いを起こせばナギサが出てくる。

領地は没収、領主は一族郎党皆処刑、たまったもんじゃない。

大人しくしていて、運良ければ交易をしておこぼれをもらう方が賢い。

しかし問題は通行だ、通過する度に国境を越える事が必要になる。

しかしそこはナギサ、ちゃんと打開策を提示していた。

土魔法を使いトンネルを掘り、地下深くを通るのだ。

しかし、これをするには莫大な魔力が要るがナギサには問題ない。

困ったのはギルディラン魔王国だ。

下手に掘って他国の領地に穴を開ければ戦争だ。

それを盾に抗議をし、中止させようとギルディラン魔王国側は動いた。

そこで第二の打開策、そう"転移魔法"だ。

転移させてしまえは問題はない、ロロア魔王国は。

もちろんロロア魔王国側の者のみ転移できる。

ギルディラン魔王国側の者は、通過する度に通過料を払う事になる。

商人は今まで通りだから問題ない。

これだけでも飛び地になるギルディラン魔王国側の領主は頭を抱えた。

ナギサは早速、復興と発展に取り掛かろうとしたが、そこにドラコ王国の使者が来た。


(ドラコ王国使者:男)

勇者様、そろそろご帰還をしていただけないかと……


(ナギサ)

へ?


(使者:男)

忘れないでくださいよ(涙目)


(ナギサ)

あっそうか!


(キリア)

お前な、召喚したのはドラコ王国だ(ため息)


(ナギサ)

忘れてた(テヘッ)


(キリア)

お前な……(ため息)


(ナギサ)

じゃあ準備でき次第、帰還する。

例の調査は上手くいった?


(使者:男)

おそらくは……

可能な限り集め、勇者様の鑑定を待っている状態と。


(ナギサ)

分かった。



ナギサはロロアと話をした。


(カイン・ロロア)

では、早速帰還してやってください。


(ナギサ)

ついでに和平協定も結びましょう。

書面をお願いします。

賠償金は支払わないで良いです。


(カイン・ロロア)

は、はぁ……



書面が出来上がると、それを使者に渡すナギサ。


(使者:男)

これは?


(ナギサ)

和平協定だよ。

賠償金は支払わないけど、その代わりの物は考えてあるから。

まぁ、今回はどっちもどっちだし……

ただ、これはロロア魔王国が、だよ?ギルディラン魔王国は知らない。


(使者:男)

という事は……


(ナギサ)

ギルディラン魔王国とは勝手にやって。

ウチとは関係ない。


(使者:男)

分かりました、必ず国王に進言いたします。


(ナギサ)

お願いね。



書面を持って帰国の途についた使者。


(ナギサ)

では、ウチらも出発しますか。


(キリア)

ウチら?


(ナギサ)

来ないの?


(キリア)

いいのか?


(ナギサ)

嫌なら来なくて良いよ?


(キリア)

絶対行く!



キリアを連れて出発するナギサ。

宣伝の為に、車は魔王宮の前で出した。


(カイン・ロロア)

こ、このような物まで。


(ナギサ)

時間はかかると思うけど、よく似た物は作れると思う。

一緒に作りましょう。


(カイン・ロロア)

はい!



ナギサはキリアを乗せ、出発した。

夜間走行するほど急がなくて良いだろうと、用意したのはタヨト テラクルーザーだ。


(キリア)

行きに乗り換えたゴツいやつじゃないんだな。

夜、見にくいんじゃねぇ〜のか?


(ナギサ)

急ぐ必要はないやん。

これでも使者より早く着くよ。

だから夜は走らない。

一応書面も持ってきたけど。



やはり予想通り、すぐに使者達に追いついた。

そこでナギサの提案により、直接ナギサが届ける事になった。


(キリア)

良いのか?


(ナギサ)

その方が早くロロア魔王国に戻れるでしょ。


(キリア)

そうか。



やはりというか、当然というか、早く着いたナギサとキリア。

早速、国王と面会する。


(ドラコ王国国王)

おお、帰って来たか、勇者よ。


(ナギサ)

お待たせしました。

で、早速ですが……



和平協定書を渡し、事の成り行きを話すナギサ。


(国王)

なっ、賠償金無し……


(ナギサ)

お互い様ですし。

それに焼き肉魔王国は滅亡しました。


(キリア)

ギアラ魔王国な(ため息)


(国王)

しかし10年だぞ、よくこれで……


(ナギサ)

そこはボクが話をつけました。

しかし、あくまでロロア魔王国でです。

ギルディラン魔王国は知りません。


(国王)

では、ギルディラン魔王国に賠償金を……


(ナギサ)

構いませんよ、そこは二国間で話し合ってください。

それに魔王は討伐しました。

ボクの役目は終わり……いや、まだあった!

証拠、ありました?


(ドラコ王国近衛騎士団団長:男)

はっ、ここに。

これが怪しいとされる灰でございます。


(ナギサ)

分かった。

 【リビルド】

どうかな?


(国王)

おお!流石だ勇者よ!



近衛騎士団団長が復活した書類に目を通す。

 

(近衛騎士団団長:男)

こっ、これは……動かぬ証拠です。



国王に手渡す近衛騎士団団長。


(国王)

これで宰相を糾弾できる。

これに関わった連中も一網打尽だ。


(ナギサ)

これでボクはお役御免ですよね。

元の世界に……と言いたいんですが、ロロア魔王国との話があるので、それをしに行きます。


(国王)

ロロア魔王国との話とは?


(ナギサ)

賠償金を取らないように話をつけたじゃないですか。

その後の話もしているので、それをしに行きます。


(国王)

因みにどんな……


(ナギサ)

戦後の復興を手伝う約束ですよ、それでチャラにしましたから。


(国王)

そ、そうか……それなら我が国も。


(ナギサ)

うーん、でもまだ終わってないですよね?それ終わってからにしたら?


(国王)

そうだな。

終わり次第、使者を送るのでよろしく頼む。


(ナギサ)

その時、考えましょ。

不穏因子が残ってるといけないですから。


(近衛騎士団団長:男)

それは任せてくれ。

徹底的に排除する。



話は終わった。

しばらく滞在を勧められ、10日ほど滞在した。


(キリア)

内容、言わなかったな。


(ナギサ)

どうせそのうち分かる。

順番が揉めたら鬱陶しい。



そんな話をしながらロロア魔王国に向かうナギサとキリア。

帰りはゆっくり帰るかどうかで迷った。


(キリア)

ゆっくりで良いんじゃねぇ〜か?


(ナギサ)

そう?ロロア魔王国が気になるんだけど。


(キリア)

お前な、まぁ良いが。


(ナギサ)

今のところ、ギルディラン魔王国からのちょっかいは無いみたいだけど、飛び地が気になる。

ロロア魔王国の飛び地も繋がないといけないから。


(キリア)

それを急いでいるのか?


(ナギサ)

そう、まずは交通網の整備から。

細かい街道整備は後からで良い。

とにかく繋がないと、陸の孤島になったらいけないから。


(キリア)

そうか……なら急ぐか。



ナギサはランチパーマー・レンジパーマー キャメルトロフィー仕様を出した。


(キリア)

夜も走るんだな。


(ナギサ)

ある程度ね。



魔王討伐の時ほどではないが、早くロロア魔王国に戻るようにした。

魔王宮に到着すると、早速ナギサはカイン・ロロアに会いに行った。


(カイン・ロロア)

これは、おかえりなさいませシルフィア様。


(ナギサ)

ただいまカイン、大丈夫だった?


(カイン・ロロア)

はい、特に何事もなく。


(ナギサ)

では、早速、飛び地になってる領土を繋ぐね。


(カイン・ロロア)

はい、しかしどうやって……


(ナギサ)

転移魔法だよ、途切れてる街道をまずは繋ぐ。

街道整備はその後で。


(カイン・ロロア)

しかし、そんな魔力は……


(ナギサ)

大丈夫。

ボクが魔力の尽きない魔法陣を刻む。

そして国民なら普通に通れるように設定する。

他の人は毎回国境を越えてもらう。

元々商人は出入りを繰り返してるから問題ない。

ギルディラン魔王国のが自由に通れないようにするから、あの国民は毎回国境を越える事になるね。


(キリア)

エグい、それだとギルディラン魔王国の連中は移動に手こずる事になる。


(ナギサ)

有事の際を考えると、その方が良いでしょ。


(キリア)

まぁ、そうだが。


(カイン・ロロア)

では早速取り掛かってもらえると。


(ナギサ)

うん、陸の孤島状態は早く解消しないと。



そう言って早速取り掛かったナギサ。

魔素を取り込んで魔力に変える永久機関の魔法陣を作った。

安全のために、とりあえずカモフラージュもして、暴こうとしたら壊れるように細工した。

ただ、このままだとナギサ以外が扱えないので、要改良と考えていた。


(キリア)

どう繋ぐんだ?


(ナギサ)

ん?


(キリア)

考えてないんかよ!


(ナギサ)

ただ繋ぐだけ。

変に転移させたら領主も嫌でしょ?

街道の端と端を繋いだだけ。

これでギルディラン魔王国の領地は通らなくて良い。

ただ、日和見派がなぁ……

一応ロロア魔王国だから発展させるけど、クーデターには気をつけてね。


(キリア)

それはそうだな。

魔王様に進言しとく。



とりあえず全てを繋ぎ終わったナギサは魔王宮に戻る。


(キリア)

魔王様……



キリアはナギサの言った事を魔王に伝えた。


(カイン・ロロア)

分かりました、シルフィア様。

ありがとうございます。


(ナギサ)

いえいえ。

ただ問題が……


(カイン・ロロア)

問題?


(ナギサ)

はい、今はあの魔法陣を壊すのも修理するのもボクしかできません。

魔法陣を暴こうとすれば自壊するようにしているので、盗まれはしないと思います。

しかし、有事などの際、意図的に壊す方法が……

例えばこの魔王宮に水晶なりそれと分かる物を置き、それを作動させると任意の場所の魔法陣を破壊する事が出来るとか。

ボクも世界を行き来する予定ですから、間に合わない時が怖いなと。


(カイン・ロロア)

そこまで考えてくださっているのですね、シルフィア様。

そうですね、では、私の自室に魔法水晶を置こうかと。


(ナギサ)

一応、それも壊れるようにしておきますから気をつけてください。

万が一の保険です。


(キリア)

万が一の保険って……制圧されない限り、要らねぇ〜だろ。


(ナギサ)

その万が一だよ、悪用されないように。


(キリア)

そんな事まで考えてて、よく眠れるな(ため息)


(ナギサ)

やっぱ、これも何かの縁だしね。


(カイン・ロロア)

ありがとうございます、シルフィア様。



という事で、カイン・ロロアの部屋に魔法水晶を置き、任意に転移魔法陣を破壊できるようにした。

ついでに異変が生じた場合も表示される仕組みにした。


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