第9話 スタンピート寸前
翌朝。
(ナギサ)
うーん……ん?
うわぁ……垂れ流れ出てぬちゃぬちゃになってる。
(クラン王国王都クラン ギルド職員 アンナ:女)
おはよ♡ナギサちゃん♡よく眠れた?(微笑み)
(ナギサ)
なんかスッキリして清々しい自分が怖い……
(王都ギルド職員 アンナ)
良いじゃない!そう言ってくれたら嬉しいわ!
もう、ナギサちゃん。
私達、身体の相性バッチリよ♡
じゃ、お風呂♡
お風呂に連れて行かれ、身体を綺麗にされたナギサ。
そしてその夜。
(王都ギルド職員 アンナ)
ナギサちゃん♡これ着よ♡
アンナが持ってきたのはRUBBER製の服だった。
(ナギサ)
あるんだ、RUBBER衣装……
(王都ギルド職員 アンナ)
あれ?ナギサちゃん知ってるの?
(ナギサ)
うん、あったからね。
これ、密着感が凄くて第二の皮膚みたいだよね、匂いも好き……あっ……
(王都ギルド職員 アンナ)
ナギサちゃん!!(鼻血・血走り目)
(ナギサ)
はひっ!(怖)
(王都ギルド職員 アンナ)
この良さ分かるの?
そう、これはね……
RUBBERがいかに凄くて気持ちいいかを力説するアンナ。
その迫力は凄まじかった。
(ナギサ)
分かった、分かったから。
じゃ、楽しもうよ。
(王都ギルド職員 アンナ)
うん♪
散々楽しんで、失神させられたナギサだった。
そんな平穏?な日々が続いていたのだが……
(冒険者:男)
ギルマス!スタンピートだ!スタンピートの兆候だ!
(クラン王国王都クラン ギルドマスター ミレンナ:男装)
なんだと?!どういう状況だ。
(冒険者:男)
迷宮の魔物の様子がおかしい。
下層階に居たはずの魔物が上層階に上がって来てる。
下から押し上げられてるみたいだ。
(王都ギルドマスター ミレンナ)
魔物は溢れてるのか?
(冒険者:男)
まだそこまではいってねぇ。
ただ、高ランクまで上層階の討伐に協力してもらわないといけない状態だ。
(王都ギルドマスター ミレンナ)
最近、下層階の魔物の納品が減ってたから気にはなってたんだが、そろそろきたかな。
(冒険者:男)
前のスタンピートから、もうそんなに経つのか?
(王都ギルドマスター ミレンナ)
記録では、いつきてもおかしくない時期だ。
討伐隊を組もう、本来の状態に押し戻す。
ナギサがギルマスに呼ばれた。
(ナギサ)
そろそろですか。
(王都ギルドマスター ミレンナ)
そろそろだ。
で、討伐隊を組む、参加してくれ。
(ナギサ)
分かった、頑張ってね。
(王都ギルドマスター ミレンナ)
お前がな。
(ナギサ)
えぇぇぇっ!!!
(王都ギルドマスター ミレンナ)
お前が切り札だろ!
(ナギサ)
で、配属は?
後方支援だよね?
(王都ギルドマスター ミレンナ)
そうなるな。
いざという時は……
(ナギサ)
逃げる!
(王都ギルドマスター ミレンナ)
逃げねぇ〜よ!逃げるなよ!戦えよ!!
(ナギサ)
で、どうするん?
(王都ギルドマスター ミレンナ)
そうだな、後方で怪我人の治癒だな。
それと物資を運んでくれ。
(ナギサ)
食糧は?
こっちで用意できるよ?
その代わり、料金払ってね。
できれば先払いで。
足りなくなったら請求するし。
(王都ギルドマスター ミレンナ)
例のスキルっつうか、魔法か?
そうだな、食糧は頼むか。
街から徴収しなくて良いなら、それにこした事はない。
(ナギサ)
物価に影響出ない方が良いよね。
(王都ギルドマスター ミレンナ)
そうだな、生活に影響出ないのが一番だ。
(ナギサ)
で、予算は青天井で良い?
まぁ、高級料理は出さないけど。
(王都ギルドマスター ミレンナ)
まぁ、そうだな。
それなら良い。
前金で金貨100枚渡そう、余ったら返してくれ。
(ナギサ)
分かった。
運ぶのある?
武器とか薬とか。
(王都ギルドマスター ミレンナ)
そうだな、頼む。
お前が居れば治癒士もポーションも要らんだろうが、それをやればバレる。
オレも同行するから指示に従ってくれ。
(ナギサ)
分かった。
出発は?
(王都ギルドマスター ミレンナ)
今から召集をかける。
集まり次第出発だ。
ギルマスの召集により冒険者が集められる。
ナギサは既にギルドの裏で、必要な物を収納していた。
(ナギサ)
さてと、トンズラするか。
(王都ギルドマスター ミレンナ)
誰がトンズラするって?
(ナギサ)
えっ?
(王都ギルドマスター ミレンナ)
今、言ったよな、"トンズラ"って。
(ナギサ)
何の事かな?"トンカツ"の聞き間違いじゃない?
(王都ギルドマスター ミレンナ)
どうだか(ため息)
まぁ、頼んだぞ、食糧とか。
(ナギサ)
お金。
(王都ギルドマスター ミレンナ)
さっき渡したろ、金貨100枚。
(ナギサ)
えっ?
(王都ギルドマスター ミレンナ)
お前、バラすぞ。
(ナギサ)
嘘です、お父ちゃん。
(王都ギルドマスター ミレンナ)
誰がお父ちゃんだ!オレは女だ!
(ナギサ)
えっ?
(王都ギルドマスター ミレンナ)
教育してやりたいが、今は時間が無ぇ〜。
問題の迷宮に行くぞ。
(ナギサ)
行ってらっしゃい。
(王都ギルドマスター ミレンナ)
お前もだよ!!
お決まりをやったところで、ナギサはギルマス達と出発した。
問題の迷宮に到着する。
(王都ギルドマスター ミレンナ)
様子はどうだ?
(冒険者:男)
上層階に魔物が溢れている。
このまま地上に出てくるのも時間の問題だ。
(王都ギルドマスター ミレンナ)
死亡者も遺体を回収しろ。
救護所に連れて来い。
ただし無理はしなくて良い。
(冒険者:男)
遺体も……ですか?
(王都ギルドマスター ミレンナ)
そうだ、ただし無理はするな。
(冒険者:男)
分かりやした。
この事は冒険者全員に伝えられた。
不思議に思う者も居たが、ギルマス命令という事で従った。
怪我人達が救護所に運ばれてくる。
(ナギサ)
手伝います。
ナギサは"ヒール"と言いながら"ギガヒール"をかけて回る。
重症者を担当したが、あまりの治りの速さに治癒士達は疑問に思ったが、今は言ってられないので後で聞くことにした。
魔物の襲撃はなかなか止まらない。
迷宮から溢れてくるんだ、そう簡単にはいかない。
(王都ギルドマスター ミレンナ)
手の空いた者から飯を取れ、長期戦になるぞ。
そこでセツナは簡単に取れる自販機を設置した。
カップラーメン、パン、粉物、ドリンクの自販機だ。
混むと時間がかかるので、複数台並べた。
(冒険者:女)
なんだ、これ?
(ナギサ)
これはこうやって好きなボタンを押すと出てくるから、食べて。
飲み物と食料の2種類あるから。
(冒険者:男装)
こ、こうか?あっ、出た。
これで良いのか?
しかし、見た事の無い物ばっかりだ。
(ナギサ)
どれも美味しいよ?これ食べて英気を養ってね。
(冒険者:男)
あ、ああ……
とりあえず適当に押して食料を取る冒険者達。
(冒険者:男)
うっ、美味ぇ〜!なんだこれ!
(冒険者:女)
こんなの食べた事ないよ!しかしこんな美味しいの食べたら、もう食堂では食べれないよ。
(ナギサ)
非常時だからね。
あっ、ゴミはここに持ってきてね。
(冒険者:男)
おお、分かった。
ナギサは消去魔法陣を刻んだゴミスペースを用意して、ゴミ回収の協力をお願いした。
(王都ギルドマスター ミレンナ)
お前ら、その辺に散らかしたらもう食わせないからな!
(冒険者一同)
えぇぇぇっ!!!
(王都ギルドマスター ミレンナ)
嫌ならそれぐらいしろ!
(冒険者一同)
はい……
やはり魔物の数が多い。
長期戦に縺れ込むことは確定した。
負傷者がどんどん運ばれてくるが、ナギサはあえて"ギガヒール"までしか使わなかった。
終わってから"テラヒール"で完全回復すれば良いかと考えていたからだ。
ギルマスからも指示が出ていない。
故に欠損するほどの傷は欠損したままにした。
(ナギサ)
ギルマス!
(王都ギルドマスター ミレンナ)
まだ良い。
理由は後から何とでもつけれる。
そのままの治療を続けてくれ。
(ナギサ)
了解!
瀕死の冒険者達は助かった事に喜んで気づいてないが、治癒士達は気づいている。
"そこまで瀕死の患者を一瞬にして治す事は不可能だ"と。
本人は"ヒール"と言っているが、威力は"ハイヒール"以上、噂される神級ではないかと疑っている。
手当が間に合わず死亡した者も居る。
ナギサ達の元に届いた時には既に死んでいたり。
しかし、その者は別場所に集めて並べている。
たしかに犠牲者は弔う、だからそれについては不思議には思われなかった。
治癒が不自然でも、さすがに死んだ者を生き返らせるとは想像していなかったからだ。
魔物の襲撃が一旦止まる。
全員、休憩と食事を取る。
(王都ギルドマスター ミレンナ)
ナギサ、やってくれ。
(ナギサ)
はい。
じゃあ、まずは欠損している人から。
【エリアテラヒール】
欠損していた冒険者達の身体が元に戻る。
(冒険者一同)
おおぉぉぉっ!!
(ナギサ)
次、死んだ人。
【エリアリボーン】
死んだ冒険者達が生き返る。
(冒険者一同)
えぇぇぇっ!!!
(冒険者:男)
お、オレは……
(冒険者:女)
死んだと思ったけど……
(王都ギルドマスター ミレンナ)
お前ら、死んだよ。
で、このナギサが生き返らせた。
(生き返り冒険者一同)
えぇぇぇっ!!!
(冒険者 シラヌイ)
シュリ!!(涙)
(冒険者 シュリ)
あっ!皆んな!
(シラヌイ)
良かった!生き返って(涙目)
(シュリ)
やっぱり私、死んだんだ。
まぁ、あんなの食らったらそうよねぇ〜(笑)
えっ?
(シラヌイ)
死んだけど生き返ったんだよ!
(シュリ)
はは……そうなんだ……ははははは……
ギルマスが号令をかける。
(王都ギルドマスター ミレンナ)
分かったか、お前ら、死んでも大丈夫だ、気合い入れていくぞ!
(冒険者一同)
はい!!
(冒険者:男)
ギルマス、でもなんで今なんです?
(王都ギルドマスター ミレンナ)
これをするには大量の魔力が必要だ。
小出しして潰れたら意味が無ぇ〜。
(冒険者:女)
なるほど、最後の砦を小出しには出来ないわね。
(王都ギルドマスター ミレンナ)
って事だ。
だから、死んでも運んでこい。
それと、この事は他言無用だ、外に出したら取り合いになって王都には居れなくなるからな。
(冒険者一同)
はい!!
今回は後方支援に徹する事になったナギサ。
食事の手配、治癒、蘇生。
攻撃には一切関わらさなかった。
ギルマスはどちらかのリミッターを外すのは仕方ないとして、両方のリミッターを外すのはマズいと考えたからだ。
それなら後方支援の方が重要だと判断したのだ。
そのうちバレるだろうが、できるだけ先延ばしにした方が良いだろうと。
まぁ本音は即バレして取り合いだの、指名だのが殺到したらウザいので、隠したかっただけだが。
しかし甘いな、死者を蘇らせた時点でガッツリ目をつけられたと思うぞ。
まぁ、一応緘口令は敷いたがな。
いつまでもとはいかないと思うぞ。
今回の討伐には10日かかった。
(王都ギルドマスター ミレンナ)
では確認に行こう。
お前ら、中に残ったヤツも回収するから、回収班もついて来い!
(冒険者一同)
はい!
迷宮に突入する一行。
(王都ギルドマスター ミレンナ)
ナギサ、これが回収して欲しい行方不明者だ、できるか?
(ナギサ)
できるよ。
同じ名前が見つかったら、どちらか判断してね。
(王都ギルドマスター ミレンナ)
分かった。
奥に進んで行くと、犠牲者が見つかってくる。
それを1体づつ回収班が回収していく。
(ナギサ)
居た。
でも2人居る。
どっちかな?今、映像化するね。
そう言うと、骨から当時の姿を立体映像で映しだした。
(王都ギルドマスター ミレンナ)
お前、凄ぇ〜な……
(ナギサ)
どっち?
(王都ギルドマスター ミレンナ)
こっちだ、右だ。
(ナギサ)
左は?
(王都ギルドマスター ミレンナ)
知らんな。
特に何も聞いていない。
(ナギサ)
悪い人じゃないなら、無縁墓地に埋葬する?
(王都ギルドマスター ミレンナ)
そうだな、特に追放とかの記録は無い。
自殺……最悪、犯罪絡みかもしれん。
埋葬してやるか。
(ナギサ)
じゃ、これは収納するね。
【ストレージ】
そのまま順調に進んでいくのだが、2階層を調査していたら斥候の冒険者が戻ってきた。
(冒険者:男)
ギルマス、3階層にはウジャウジャ居ますぜ。
(冒険者:女)
しかも5階層に居るはずの魔物に占拠されてますね。
(王都ギルドマスター ミレンナ)
押し上げられているか……
(ナギサ)
迷宮だから、一定期間が過ぎたら再設置で魔物も鉱物も戻る無限ループだよね。
(王都ギルドマスター ミレンナ)
そうだ、迷宮や神殿などダンジョン化したらそうなる。
(ナギサ)
なら、一度狩り尽くしても良いんだよね。
(冒険者:男)
は?お前、何言ってんだ?
(王都ギルドマスター ミレンナ)
ナギサ、出来るか?
(ナギサ)
良いの?
(王都ギルドマスター ミレンナ)
仕方ない、背に腹はかえられん。
お前ら、これから起こる事は忘れろ、他言無用だ。
(冒険者一同)
はい。
(ナギサ)
ではいきます。
【マッピング】
ここは15階層か。
(王都ギルドマスター ミレンナ)
は?何言ってんだここは10階層だ。
(ナギサ)
なら増えてる、ほら。
【プロジェクト】
(冒険者:男装)
マジか……15階層ある。
(王都ギルドマスター ミレンナ)
"迷宮の成長"か。
スタンピート確定だな。
今のうちに食い止めるぞ。
(ナギサ)
ではいきます。
【マーキング】
【ロックオン】
【ライトニングアロー】
【ライトニングスピア】
次々マークが消えていく。
(冒険者:男)
何が起こってんだ?
マークが全部消えた。
(ナギサ)
終わったよ。
色々回収に行こうよ。
(王都ギルドマスター ミレンナ)
そうだな、お前ら行くぞ。
(冒険者一同)
は、はい……
(ナギサ)
これ、迷宮の地図。
(王都ギルドマスター ミレンナ)
助かる。
周りはポカンとしていたが、調査が必要な為、ギルマスと共に進んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます