第2話蒼い空と流星群

「もうムリだっ。っは……暑いっ。っはぁなんでこんなに暑いんよっ……」

ジリジリと身を焦がすような暑さに気が滅入る。

長い坂を徒歩でヨロヨロと上る。ったく何が一肌脱ぐだよ。脱ぐ前に干からびて死ぬわこんなん。

「そんな簡単に死なないっての。相変わらずどんくさいな」

あっさり追い抜かれ、真横を颯爽と駆け上っていく、日に焼けた肌と白いTシャツ。この猛暑でもっと暑苦しいヤツが現れるとは。

「ストーカーには言われたくないですー」

「ひとりごとが大きすぎるんだよ。いい加減気づけって」

苦笑まじりにこちらをからかってくるこいつは、私の友だちというかマブダチというか相棒というかまあそんなところだ。

「そういえば一佳はどこいくとこ?いつもゾンビみたいに日中外には出てこないくせに」

「一言多いわ!っはぁ……スーパーで買うものがあるの」

「へー。ちゃんと財布持ってきた?」

「っはぁ、そんなの言われても……あ」

やっぱりと言わんばかりに、ヤツはにまにまとした笑いを浮かべている。いつもならしばき倒すところだが、もはやそんな余裕すらない。

「……まじで詰んだ」

もうこうなったら一旦引き返すしかないか。でもまたこの坂を上るのか。絶望に身を包まれ、ただでさえ重症だったのに今や瀕死状態だ。さすがに不憫になったのか、

「ったく仕方ないな。今回は貸しイチで」

「ありがとうございます。本当に感謝しかないです。I will do anything for you 」

「なにそれ」

「英語で赤点くらった私が唯一覚えている英文です。ありがたく受け取れ」

「ありがとう……?ってなんでこっちが感謝しなきゃいけないんだよ」

道中はくだらない話と愉快な笑い声で溢れていて、いつしか暑さも気にならなくなっていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る