第7話 ルルイエの解放 - インスマスの影
秋人たちが暗黒の王との壮絶な戦闘を繰り広げ、ついにその王を倒した瞬間、ルルイエの呪いが解ける。周囲に漂っていた重苦しい空気が少しずつ晴れ、夜の闇が薄れ始める。しかし、闇が消えた先に待っていたのは、さらに大きな陰謀と恐ろしい現実だった。
「これで終わったのか?」
秋人が剣を振り下ろし、息をつく。
「いや、まだ終わっていない。」
ミカが眉をひそめる。
「実は、この暗黒の地を支配していたのは、あの王だけではない。彼はただの駒に過ぎなかった。」
突然、周囲の景色が歪み、目の前に現れたのは――
ルルイエの最深部で、暗黒の王を倒した後、地下の古びた石造りの通路が開き、その先には何か異様なものが潜んでいた。地面が震え、静寂の中に奇妙な音が響く。その音は、まるで無数の足音が一斉に動き出したかのようだ。
「これ、何だ?」
秋人が感じた異常に、仲間たちも警戒を強める。
その時、天井から降りてきた影。それはインスマスの影と呼ばれる、異形の生物だった。インスマスは、かつて異世界に存在した都市「インスマス」の名前を冠する恐ろしい存在で、彼らはかつて地底深くに眠っていたが、暗黒の王を操ってこの地を混乱に陥れていた。
「インスマス…そんな名前、どこかで聞いたことがある…」
秋人は冷や汗をかきながらも、何か記憶の片隅にひっかかる感覚を覚える。
「インスマスとは、失われた都市に生きていた邪悪な存在。その血は、魔法と邪教で染まっている。」
リリスが冷静に説明を始めた。
「彼らは人の姿を持ちながら、異形の魔物へと変貌する。いわば、人間と魔物の融合体。彼らの目的は…」
ノアが言葉を引き継いだ。
「世界の支配だ。暗黒の王は、その前に立つ盾に過ぎなかった。インスマスの影が、この地を支配している。」
インスマスの影が、まるで生き物のように動き出す。その姿は、巨大な触手を持つ人型の怪物で、皮膚は鱗のように硬く、目は無数にあり、夜の闇に溶け込むようにうごめいている。
その姿が完全に現れると、地中深くから響く声が耳に届いた。
「これが…真の姿か。」
その声の主は、インスマスの元凶とも言える存在、古の神々の使徒だった。かつてインスマスの街を支配していた神々は、長い眠りから覚め、地底から再び世界を支配しようとしている。
「お前たちは、我々の復活を阻止できると思っているのか?」
古の神々の使徒が低く語りかける。
「この地、そして世界の支配者となるのは、我々の意志で決まっている。お前たちの力など、我々には及ばない。」
秋人はその言葉に歯を食いしばりながら答えた。
「この世界の運命を、お前たちの手に渡すわけにはいかない!」
「私たちが世界を守るわ、インスマスのような存在に、世界を支配させてたまるもんですかっ!」
リリスも力強く言い、手に魔法の力を込める。
ノアも一歩前に出て、私たちが立ち向かう!と言った表情で、どこか覚悟を決めたような顔を見せた。
インスマスの影が、無数の触手を一斉に放ちながら攻撃を仕掛けてくる。その力は圧倒的で、秋人たちの身体を幾度となく貫こうとする。触手が地面に打ち込まれる度に、周囲の岩が崩れ落ち、暗黒のエネルギーが地上に漏れ出す。
「くっ…!やっぱりただの魔物じゃない!」
秋人は剣を振るうが、触手の一撃をかわしきれずにその衝撃で体が吹き飛ばされる。
「みんな、気をつけて!」
リリスが叫び、魔法で触手を焼き払う。その火花が周囲に広がり、触手がしばしば切断されるが、すぐに新たな触手が生え出す。
「私の力で、結界を張って!」
ノアが魔法の結界を展開し、触手の攻撃を一時的に防ぐ。
「これじゃ、キリがない…!これで倒さないと、永遠に続く!」
秋人は、仲間たちを見ながら思う。
その時、ミカが目を閉じ、深く息を吸い込んだ。
「私が…試すべき力がある。」ミカの言葉に、仲間たちが振り向く。
「ミカ、何をしようとしているんだ?」
秋人が心配そうに問いかける。
「私の力を、全てこの地に解き放つよ」
ミカが深く呟き、手を掲げる。その瞬間、ミカの体が光を放ち、全てを包み込む光の柱が立ち上る。その光は、異世界の神々の力を借りた強大なエネルギーで、インスマスの影を一時的に封じ込める。
「これが…私の力だよ!」
ミカが言った。その光は、触手を一つ一つ消し去り、インスマスの影を弱めていく。
「今だ!」
秋人が叫び、仲間たちと共に一斉に攻撃を仕掛ける。リリスは魔法で火球を放ち、ノアはエネルギー弾を撃ち、秋人は剣を振るってインスマスの影を突き刺す。
ついに、インスマスの影がその力を完全に失い、倒れ込む。その姿が消え去ると共に、地下の暗黒の力が静まる。
インスマスの影が消え去り、ルルイエの呪いが完全に解けると、秋人たちはその場に立ち尽くす。周囲はかつての死者の地の静けさを取り戻し、夜の闇もようやく晴れる。
「やった…」
秋人は息をつき、肩を落とした。
「でも、これが終わりじゃないよ。これでインスマスの陰謀は打破したけど、世界にはまだ多くの秘密が残っている。私たちは、この先も進み続けなければならないよね?」
秋人は仲間たちを見回し、笑顔を浮かべた。
「うん、まだまだ冒険は続くんだな。」
そして、新たな力と絆を胸に、彼らの冒険は続いていく。
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