ー2章ー 16話 「舗装部隊、爆誕!ゴブリンと巨人と道の魔法」

次の日の朝。


村の道の入り口に、わらわらとゴブリンたちが集まってきた。

その少し後からドスン、ドスン、と地響きのような音が響き、現れたのは──


【リュウジ】「……でかっ!!」


身の丈3メートルはあろうかという巨大なロックゴーレムだった。

あの小学生サイズだったロックゴーレムが、わずか一晩でこんなに……!?


【リュウジ】「お、お前……なんか変わりすぎてない!?」


慌てて問いかけると、ロックゴーレムはどこか誇らしげに答えた。


【ロックゴーレム】「昨日、約束通り岩壁を撤去した。そのとき、食べた岩で元の力取り戻した」


リュウジは思わず考える。


(ってことは……あの巨大な壁、こいつ自身の体の一部だったのか?)


なんという……自己犠牲の結晶だ。

それを知ると、ロックゴーレムのことがちょっと愛おしくすら思えてきた。


──そんなことを思っていたその時。

ゴブリンたちが舗装を始めた道の途中に、ゴツゴツした大きな岩が埋まっているのが目に入った。


【リュウジ】「……これ、絶対ウルフ車通れないやつだな」


人は避けて通ることが可能だが、ウルフ車が通るには致命的。

リュウジはロックゴーレムに頼んでみた。


【リュウジ】「なぁ、あの岩、なんとかできないか?」


ロックゴーレムは「簡単だ」とあっさり答え、

巨体に見合った太い腕で──ドゴォッ!と一撃!


岩は見事にバラバラに砕け散った。


【リュウジ】「えええええぇぇぇ!!?」


【ゴブリンたち】「おおおおぉぉぉ!!」


一同、あまりの破壊力に大興奮。

ただ、あまりの破壊力に少し地面に穴が空いてしまった。


【リュウジ】「……ま、まぁ埋めればいいか」


ゴブリンたちに土を運ばせて穴を埋める。

そしてロックゴーレムに踏み固めてもらおう──としたところで、タケトが手を挙げた。


【タケト】「待った! リュウジ、これ、岩の破片を使えねぇか?」


【リュウジ】「え?」


タケトは素早く指示を出す。

砕けた小さな岩をまんべんなく撒き、その上からロックゴーレムに踏み固めさせた。


──結果。


【リュウジ】「お、おおおっ……!!」


荒れた道は、まるで天然の石畳のように、しっかりと固まった。

見た目も頑丈さも、異世界とは思えないクオリティ!


【リュウジ】「おいおい、アスファルトもないこの世界で……スゴい道が出来たぞ!!」


【タケト】「ははっ、たまたま思いついただけだけどな。しかしお前ら……中々やるじゃねぇか!」


タケトの顔にも自信と笑顔が浮かぶ。


【リュウジ】「よし!これなら快適な道が作れそうだ!」


【タケト】「お前たち!舗装の道のりは長い。気合い入れていくぞ!」


【舗装部隊】「はい!!タケト様!!」


【タケト】「ってか、俺も”様”付くのかよ!」


──こうして、

ゴブリン、ロックゴーレム、タケトの道舗装部隊は、

意気揚々と工事を開始するのだった。

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