第8話 闇属性




 エステル先生の最初の授業の後、世間に広まっているアッシュの噂を聞いた。


 その世間に広まっている噂は、ロズベルク公爵家の嫡男は悪徳貴族というものだった。


 少し記憶を辿ってみると貴族の社交界でアッシュは色々やらかしていた。


 ぶつかったから死刑だの、相手は小さい子供相手なのにアッシュに対して敬語を使ってないから不敬罪だの、と社交会という素晴らしい場をめちゃくちゃにした、という記憶がある。


 自分のせいで社交会の場が凍りついたのだが、全くそんなことに気付いてなかった。


 アッシュは公爵家の嫡男。ちょっとした発言1つ1つが周りの人間を困らせた。


 しかも、凄い傲慢だったせいで、公爵家の嫡男という地位にいながら社交の場にいるのに全然声をかけられなかった。だから、社交の場では自分から声をかけていたらしい。


 そのことにとても不満だった記憶もある。どうしてこおも不運なんだろうと。


 いやお前のせいな……自業自得だよ。

 社交会に呼ばれなくなって無いのに全然不運じゃないぞ。


 運良いぞ、お前。


 こんなふうに将来、俺に確実に害が及びそうな程、この国の貴族にはやばい奴と認識されているみたいだ。


 大規模な社交会は国中の貴族が集まり、公爵家という凄く身分の高い者は絶対に出なければいけない。


 ちょっとずつ良い印象に変えていかなければ。


 学園に入学するまでには昔と違う良い奴って感じのイメージを貴族全体に持ってもらえるように頑張ろう。

 子供だけど地位は高いからね、いくらでもチャンスはある。


 それから、エステル先生がどうやって魔力の操作を覚えたのか聞いてきた。


 誰かに聞いたわけでもないので独学で習得したって言った。

 ちょっとカッコつけてみた。

 嘘じゃないしいいよね?


 すると先生は信じられない物を見るような目で僕を見ていた。


 何故このタイミングでそんな顔をするのかは分からないが俺の印象はやばいことは分かった。


 強くなるのと同じくらい頑張って印象を良くしょう。





 ────────────





「これから授業を始めます」


 ミラル先生の授業が始まった。


「宜しくお願いします」


「そんな畏まらなくていいですよ。これからほぼ毎日授業があるんですから」


「分かりました」


 7日に1回しか授業が無い日が無い。最初はもう少し授業が少ないようにされようとしてるところに俺は待ったをかけた。


 俺が生きている間にちょっとでも強くなるためには毎日授業でもいいくらいだ。でも、父様が心配してくれていたので休みが1日になった。


 9時から12時までエステル先生の授業。ちなみに休み時間は15分1回。1時半から3時半までミラル先生の授業。休み時間はたったの10分。日本の学校みたいだ。


 授業以外は本を読んで少しでも勉強しようと思っている。


「アッシュ君、あなたの魔法属性教えてもらっていいですか?エステルから聞いたんですけどあなたの口からも聞きたいな、と」


「ああ、そうですよね…疑いたくなるくらい魔力属性多かったですからね。私の魔力属性は闇、音、火、風で後4つはさっき言った4つの属性の上級属性です。」


「確か1番得意なのは闇でしたね?」


「はい」


「それにしても魔力属性8つですか…私は化け物を育てることになったんじゃ…」


 何かぼそぼそ言っている。

 というか、今日も大きいがくまある。先生は2人とも内の屋敷にこれから泊まることになったんだが、昨日の夜何かしていたんだろうか?


 質問したい。だが、授業中だ。後にしよう。


 生徒は俺だけだし。先生を独り占めできる。


「闇かー」


「闇がどうかしたんですか?」


「得意属性ってその人の性格によって決まると言われているんですよ。皆ではないですけど」


「もし、アッシュ君の性格から得意属性が決まったのなら将来はとんでもない程の犯罪者になるでしょう」


「え?犯罪者?」


 予想外の単語が出てきた。


「はい。今まで性格から決まって、得意属性が闇だったものは大体が極悪犯罪者になりました」


「極悪?」


「はい。ただの犯罪者ではなくて極悪です。だいだい人を万単位で殺してます」


「ええっ?まるで魔王じゃないですか」


 あっ!やべっ!前世の創作物の見過ぎで魔王っていう単語が!


「魔王、知っているんですか?」


 大きいクマのある顔を俺の顔に近づけてきた。目を見開いている。


「は…はい。」


 あまりの迫力に気圧されてしまった。


 っていうかミラル先生のあの反応、その世界に魔王何ているのか?


「おかしいですね。この国の信用され、凄い研究者しか知らないはずのことを……」


「もしかして研究所に忍び込んで盗み見た?いや、6歳が見て分かる程、簡単に書いていない。それに、そんなことを見るメリットがあまり浮かばない。もし、研究所に忍び込んで何か大きいことをするつもりなら、魔王という単語を私に言う訳がない」


 何かめっちゃぼそぼそ言っている。エステル先生やミラル先生はめっちゃぼそぼそ言っている。


「今は疑っておくだけにしよう」


 考えるのをやめたらしい。

 しかし、何を考えていたんだろう?


「話が逸れましたが、貴方の得意属性な闇です。何か悪いことをすれば容赦しませんからね」


 するわけ無いだろ。俺は安心安全に暮らしたいだけだ。自分から安心安全な将来を捨てるわけないだろ。


 それに、暫くエステル先生はこの屋敷で過ごすことになるから俺が悪いことをすればどうなるか……想像もしたくない。


 まあ、悪いことをしても罪は公爵家の嫡男だから、普通の人より、軽く済むだろうけど。


 公爵家の地位ばんざ〜い。


 あ、いや、でもミラル先生の正義感はめっちゃ強いっぽいから、俺でもただじゃ済まないかも。


 大人しくしておこう。


「よし!それじゃあまずは、アッシュ君の魔力属性のことについて教えましょうか」


「はい!お願いします」



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