第5話 模擬戦 アルベールの評価
先日の模擬戦はかなりショックな結果に終わった。
まさか戦闘に関してはただの一般人に魔力を使わずして倒されたのだ。
俺は前世平和な日本にいたので剣とかは使ったことがなかった。なので自分でも知らないだけで戦闘の才能があるのではないかと期待していたのだが全然そんなこともなかった。
魔力もたいしたことないのに剣術もたいしたことないとはなんて弱い人間なんだ。
俺この世界で老衰死できるのだろうか?
普通に町中を歩いているチンピラ達にやられないだろうか?
まあ、これから頑張ろう。
力がないからって悲観しても強くなれるわけじゃないし。これからは死ぬ気で鍛錬を積んでやる。
何が何でも老衰死してやる!
よし。本気で家庭教師を雇ってもらえるように父様に言ってみよう。
魔法使いと魔導師の家庭教師をつけてもらおう。
魔法使いは家庭教師は実戦形式の授業や魔法での戦い方、強くなるための知識を教えてくれる。
その人の魔法の使い方や属性のタイプを調べてくれてひたすら実技。
魔導師の家庭教師は魔法のこと全般の知識を教えてくれる。自分以外の属性のタイプよことも教えてくれたりする。
魔導師と魔法使いの家庭教師を雇ってもらって、少しでも強くなるぞ!
───────────────────
我ながら凄いと思った。自分の息子アッシュのことが。
模擬戦が始まる時、手加減しなければアッシュが死ぬだろうと思い、魔力を使わずに、そして剣術も手加減して戦おうと思っていたのだが……
しかし、その考えは甘かったと思い知らされた。
──────
模擬戦が始まった瞬間にアッシュが駆けてきた。いや、一飛で私のめ前まで来た。
何でこんなに速く動ける?
びっくりしたがなんとか剣で受け止めた。
重い。なんだこの一撃は?
瞬間、アルベールは切り替えた。
剣は本気で振ろう。じゃないと勝てない。
手加減していてもここで私が負けるわけにはいかない。何故なら、この試合を観ている人達が多いからだ。
私は十数年前、帝国との戦いで凄い活躍をしたとかで、王国の
私はただ友達の王子アインハルトに助けてくれと言われて助けに言っただけなのだが。
だが、自分はこの世界ではかなり強い方だと自覚がある。
実は当時大陸最強の剣士だったのだが彼は知る由もなかった。
なのでこの観衆の中アッシュに負ける訳にはいかない。
しかし、おかしい。アッシュの攻撃が速いし、重すぎる。
身体強化をしているのか?いや、しかしそれはあり得ない。
アッシュは6歳だ。
普通魔力の操作など貴族でも10歳前後くらいから出来るようになるはず。
アッシュが踏み込んできた。斜め上に構えられた剣が振り下ろされようとした時私はアッシュの腕に意識してみた。
──ッ
身体強化をしているッ!
アッシュの剣を受ける。私が連撃を食らわないように後ろに少し下がった時アッシュの腕に込められた魔力が消えていた。
模擬戦が開始されてから30秒くらいでアッシュの魔力が尽きたようだ。
中々良かった身体強化だが、魔力は少ないようだ。
私とステラの魔力量はとんでもなく多いのに。
魔力量は遺伝でほぼ決まるはず。
可哀想に。魔力量が多く生んでやれなくてすまない。
いや、だが問題ないだろう。「アルベールが活動可能なうちは他国から戦争を仕掛けてはこない」と親友でかなり頭のキレるアインハルトが言っていたし。
なので、アッシュが公爵になる頃も今と同じで平和だろう。公爵の仕事ならばよっぽど要領が悪くなければちゃんとやっていけると思う。
アッシュは魔力を使い切ったみたいなので後は簡単に終わらすか。
お!アッシュが速く私の元へ来ようとして地面を蹴ろうとしている。
私の元へ来た時にアッシュの剣を落とそう。この戦いはアッシュの自信を砕くために用意したものでもある。
貴族の子は階級が高ければ高いほどそれを鼻にかけ自分より下の者に理不尽に振る舞ったりする者が少しいる。
そういう性格を矯正するのが親の役目なのだが、高位な貴族であるほど仕事が忙しく自分の屋敷を暫く出ていることが多くなっているため自分より下のものに高圧的な態度で接する貴族が少しいる。
アッシュが生まれてから1年で妻のステラが未だ患って治ったことがないと言われる病気にかかってしまったから、大陸中の名のある医者や魔法で傷や病気を治すあまりいない治癒士に雇っていたせいで最近まで家にほぼいなかった。病気にかかっていたのでステラもだ。
なので、ちゃんといい子に育つのだろうか?と思っていたのだが久しぶりに帰ってきて知った。
とても良い子に育っているということに。
母親とは接した覚えはないだろうにこの前母親と会った時に「母様と会えて嬉しい」と言っていた。
そして、「今までお前とあまり会ってやれなくてすまないな」と私がアッシュに言ったら「母様のために何年も頑張れる父様は素敵だ」とアッシュは言った。
事により当初の目的であるアッシュの性格矯正はもう達成されていた。
でも、世界で最強の一角だった威厳と父親としての威厳を見せるために全然余裕じゃないのだがさも余裕だったように見せて剣を落とそう。
来た!よし。
アッシュが来たら剣を落として…………
なッ!!
馬………鹿………な……?
身体強化だと!?
あり得ん。さっき魔力がなくなって切れたはず。
ん?
というか一部分しか身体強化してなくない?
え?そんなこと可能なの?
今まで自分が悪事が嫌いだということと親友が王子だということもあってかなりの強敵と戦ってきたのだがこんな魔力の使い方は初めてみた。
おそらく、アッシュは魔力節約のために使うその瞬間しか身体強化をしていない。しかも身体強化をしても使う部位しかしない。
もしこれでちゃんと親の遺伝子を受け継いで居たらもう身体強化だけで戦闘の化け物になってしまうのではないだろうか。
少し恐ろしくもあるがまだアッシュは6歳だ。これから謙虚かつ堅実に強くなる努力家をすればいったい将来はどうな化け物になるのやら。
どうやら化け物、化け物と言われている私が真の化け物をこの目で見ているとは……
ハハ。
やはりこの世界は面白いな!何が起こるか予想できん。
そしてアッシュ──自分の息子のさらなる成長を願って相手の剣を落とした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます