第15話 ラドグリフは入国する

 俺達【雷鳴団】は【殲滅の拳】の双子にあっさり負け、奴等の下に付く事になった。


 どうやら、あの双子は何処かの国に所属していて、盗賊を犯罪奴隷にして国に送っているらしい。


 中には困窮した村人を盗賊に見立てて一緒に国に連れて行ってる様だ。


 犯罪を犯していない村人達を犯罪奴隷に仕立て上げるのは如何なものと思っていたが、元盗賊と違い、扱いは保護している様子だったので、一先ず安心した。


 聞く所によると、一種の移民活動の様だ。


 圧政により困窮していた村人達も今のままでは遠からず、村全体て渇殺しの目に会う事になっていたので、一か八かの気持ちで移民を決意している様だ。


 双子の所属している国に到着した……。


 ヴァンフォルスト公国……噂に聞く『狂人の国』だ……。


 国を興した初代公王から歴代の公王が狂人で、その配下の者達も狂っていて、戦鬼が跋扈する修羅の国と噂される悪名高い国だ。


 実際、傭兵仲間の中では、ヴァンフォルストとの戦争には参加するなと言われている程だ。 


 その噂を真に受けず、雇われていった奴等を再び見る事が無いので、噂通り皆、殺されているのだろう。


 実際双子の異常な強さを目の当たりにしてそれらの噂は間違いでない事がよく解った。 


 つくづく、命の奪い合いの戦いをしなくて本当に良かったと心の底から思っている。

 

 それに考えて様によるが、ここに来れたのは俺達がより強くなれる可能性が出て来たと思うと嬉しく思っている自分がいるのに気付き、思わず笑ってしまった程だ。


 聞く所によると双子は公王の長男、次男らしい。

 それでは将来国を継ぐ立場の者かと尋ねた所、二人は庶子らしく既に王籍は抜けており、他の国民と同じ立場との事だった。


 不満はないのかと思わず尋ねてしまったが、更に二人曰く、嫡男の弟が化物、いや神の如く強く、聡明な為、不満を抱くどころか弟を支える為に日々、必死に鍛えているとまで言っていた。


 弟である殿下の年齢を聞いた所、もうすぐ八歳と聞き、正直、身内贔屓なのだろうと、たかを括っていた俺達はこの後、震撼する事になる。

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