第2話 ロドニーは別れを告げる

「まあ、ヴァンフォルストに行くにしてもよ。


 暫く隠れて熱が冷める迄、どっかで身を潜める必要があるな。


 いつもヴィクターの家じゃヤツに悪いしな。かといってお前のダチん所じゃ、見付けてくれって言ってるも同じだしな。


 しょうがねぇな、どっちにしても行かなきゃいけねぇし、彼処にすっか。

 お前ら取り敢えずこれ着とけ」


 ロドニーは二人に憲兵の制服を渡す。

 そして各所に隠していた金や食品、武器等をかき集めて目的地に向かう。


「お疲れ様です。

 ロドニー・ロックウェルと申します。


 閣下に取り急ぎお知らせしなければならない案件があり参上したしました。

 お取り次ぎください」


「これはこれはロドニー様。

 ようこそお越しになりました。

 こちらでお掛けになってお待ちください。


 どうぞお連れの方もご一緒にお掛けください。


 只今旦那様のご予定をお聞きして参ります。 少々お待ちください」


 三人は勧められたソファーに腰掛け特に何を話す訳でもなく。

 黙って知らせが来るのを待っている。


 初めて来るのに落ち着いているサミュエル。


 初めて来たので最初は落ち着かない様子だったが、次第に所在なさげにボーッとするエミーナ。


 何度も来ているのに落ち着かない様子で空のカップを上げたり下げたりするロドニー。


 三者三様に時間は過ぎて行く。

 どれだけ待ったか分からないが唐突にそれは訪れる。


 ダッダッダッダ  バァーーン!!


「おう!ロドニーてめぇ!

 やっと来やがったか、コノヤロー!」


「ご無沙汰しております閣下。

 ご健勝で何よりでございます」


 トットットットッ


「お父様!先に行ってしまうなんてズルいですわ! 私が先にお会いすると申し上げましたのに!」


「ひさし 「いやぁーすまんすまん!

 もう先に行ったと勘違いしててな!

 来たらお前がいなくて驚いてた所だ!

 ハッハッハッハ!」


「本当に仕方ないお父様ですこと。

 あら、失礼しましたロドニー様お久しゅうごさいます。

 ご健勝の様でなりより。


 あら、今日はご友人もご一緒の様子。

 ご紹介いただけますかしら?」


「ああ、こ 「それよりもロドニー!

 てめぇワシに用があって来たんじゃろ!

 用件を先に言えや!

 話はまずはそれからだ!」


「じつは「一寸、お父様! 私に会いに来たのですから私の話しが先ですわよ!


 最近お手紙のご返事が随分少ないですわね? そんなに憲兵のお仕事は大変なのかしら?私とても心配ですのよ!? やっぱり早く此方にお越しになればいいのですわ! 其れがいいですわ!! 式は来週くらいでいいでしょうか? でも、あちらの会場来週なんて空いてるかしら。 急いで確認しないといけませんね、誰か!誰かいませんか!?」


「い、いやちょっ 「つーかてめぇワシに用があって来たんだろ! だったら先にワシと話しせんか! 取り敢えずメシが先だ! メシにするぞコノヤロー! おう! メシだ! メシの用意しろ!」


「てめぇら、話を聞け! バカヤロー!!」


「お、おう?」

「は、はい、なんでしょう?」


「はぁはぁはぁ……

 今日は大事なお話しがあって来ました。

 シャロン嬢との婚約を解消させていただきます」


「「ヱ゛?」」

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