その時、彼等は何想う ~気付いたら弱小国の公子に転生したけど、モブの意地を見せたいと思います!SS集~

ナナシ(仮)

第1話 ロドニーは面倒臭い

こちらからは暫くの間、拙作


気付いたら弱小国の公子に転生したけど、モブの意地を見せたいと思います!


の五十話までお読みいただいてからお読みいただけますと幸いです。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


「おい!聞いているのか!?

 聞いているのかと聞いている!?

 ロックウェル!!」


「はあ、聞いておりますとも上官殿?

 なんでもお偉いさんの通達で不正を働いた官吏の捕縛の手伝いしにいくんでしょ?


 態々、俺等なんて引っ張りださなくたって宮廷の衛兵に任せておけばいいじゃないですか?


 なのにどうせ、上官殿が手を上げたんでしょ? なら上官殿の隊だけで行けばいいんじゃないんですかねぇ?」


「き、貴様ぁ! 名門ロックウェル家の出で

スピナール家の後ろ盾があるからって調子に乗りおって!


 いい気になるなよ、そのうちお前なんぞ前線送りにしてやるからな!

 覚えておけ!」


「前線って、俺等憲兵隊ですよ?

 前線で戦う師団とは管轄が違うでしょうに。


 それに上官殿にそんな力なんてないでしょう?


 嗚呼、だから今回の件でお偉いさんどもに胡麻擂りしたいんですか?


 飛ばしたい奴がいるから胡麻擂りをしたいけど、自分に能力がないからその飛ばしたい奴の力を使おうとする。


 おー流石、上官殿はやる事が一味も二味も違いますな! 素晴らしい道化ぶりですな!


 良いものを見せていただきましたので、ご協力させていただきますよ?


 何でも今回捕まえたい奴は相当頭が切れる奴で不正の証拠を一切残さないと?


 で、尋問しようとしても此方が論破されて尋問もままならないって事でいいですかね?」


「そうだ! 先日私が直々出向いたが散々な目にあったのだ!

 これを許しておけるか!?」


「それは職務でなくて私怨では?

 まあ、良いでしょう。


 で、そいつが不正をやったと言う確証ぐらいはあるんでしょうね?」


「あの方々がそう仰られたのだ! それ以上の確証はない!」

 

「それを確証と断じる事が出来る上官殿を心からスゴイ方だと思いますよ。


 私にさせたいのは証拠を事ですか? それとも捕縛する事ですか?」


「両方に決まってるだろうが!」


「ハイハイ、わかりましたよ。

 一々興奮して……頭の血管切れちゃいますよ?


 嗚呼、既に何本か切れてらっしゃるから脳に血が巡ってない訳ですか?


 それはお労しい。


 ではこの件は俺が言い様に解決しますよ。

 それは既に決定事項ですんで。


でも、仕込みもあるんで時間を貰いますよ」


 ちっ、サムの奴、またやりやがったな。

 いよいよ不味いな。此処等が潮時か。


 嗚呼、面倒臭ぇな。


――――――――――


「おい、サム?

 今どう言う状況かわかってるよな?」


「勿論ですよ、ロッド。

 少々目立ち過ぎましたかね?」


「それもそうなんだがそんな時に俺の前でイチャコラしてんだよ!

 エミも時と場合考えろ! ったく!」


「おっと此れは失礼。

 何とかこの国を良く出来ればと思ったのですが大元から腐ってしまっては最早無理な様ですね。


 仕方ない、暫く身を隠すか何処かに身を預けるかするしか無さそうですね」


「チッ こうなる前にそうしとけや!

 まあ、いい。


 俺もこんな腐れた国も家もどうでもいいからな。

 いっそどっかで一旗あげるか?

 奴らも俺等が声かけりゃ協力すんだろ?」


「私達だけならまだしも他の皆を巻き込むのは偲びないですね。


 そう言えば知ってますか?

 ある国が文官が出来る人材を集めてるって噂を?」


「チッ、お前の中では俺を巻き込むのだけは

既に決定事項なのな!


 まあ、それもいいか。


 あれだろ【狂人の国】ヴァンフォルスト。


 あの脳筋共の国にしちゃ珍しいよな。

 力こそ正義。

 頭なんぞ頭突きをする為にあるって国だろ?」


「酷い言い様ですね。

 そのヴァンフォルストです。

 私はそこに行こうと思ってます」


「マジか? あんな所行った所で宝の持ち腐れになるだけだろうが?」


「そうとも限りませんよ?

 それに行って駄目なら出奔すれはいいだけの話ですし。


 かの国は国民と距離も近く、少なくともこの国の様に腐っていない様ですし。


 文官を増やしたいと言う事は何かを変えたいのでしょう?

 面白いと思いませんか?」


「まあ、そうだな。


 行ってクソどもばかりだったらいっその事、俺らが乗っ取っちまえばいいだけか。


 所詮は脳筋どもだろ? どうとでもなるな。

 良し! 面白そうだ。やってやるよ!」

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