第27話
そう言って、ケイト様の部屋を出ると、クロに乗って御山からトンネル迄の道を整備してくれている、動物達の元に向かい、食事を出して、食べて貰った。
その後、彼等との情報交換と番号と言う名の名前を付けて戻って来た。その後、仮眠を取ると、王都からの街道整備をしてくれている動物達を訪ね、食事をして貰た。
その後、昨夜同様みんなと意見交換を行い、此処でもみんなに、名前と言う番号を付けて居ると、最後に番号を付けた猪が、
「この街道整備は明日で終わるんだ。」
「え!! そんなに早く終わるの?」
「そうだよ。でも、まだまだ次の仕事が待っているんだろう?」
「そうだね、長老様達が、直ぐに次の仕事を言って来るね(苦笑)」
「楽しみだ、此処で、こうして動いて居れば、美味い飯は食えるし、みんなに感謝される。弓矢を持って追いかけられる事はないからな。」
「そうだね(汗)」
そう言うと、皆は仕事に戻って行った。
僕はそのまま、市場に向かうと、先日頼んで置いた食料品を受取り、今後売れ残った食料品は全て屋敷のコランさんに届けて貰える様に頼んだ。そして明日の分を頼むと、今後、御山付近の整備作業に伴い、数件の移住希望者と炊き出し要員の希望者を募集した。募集期限は、明日の昼迄。屋敷のコランさんに申し出る事を告げた。
そのまま屋敷に戻り、コランさんに、今後市場の店主さん達が売残った食料品を持って来たら、買取って置いて貰う様に頼んだ。
その時は、正当な価格での買取りをお願いし、万が一割増価格を付けて来た店主には、今後の取引はしないと伝えて貰う事を頼んだ。
それと、明日の昼迄に市場の店主の移住希望者と炊き出し要員希望者の取り纏めを頼んだ。
部屋に入ると、トンネル内の宿泊施設、休憩所等の設計図や施設設置図と敷地の面積をかき込んだ図面数枚が届いていた。
それと、手伝った頂ける職人達が決まったらしく、皆揃って待って居てくれた。
領地内の村々の人達も揃ったらしく、馬や荷馬車まで揃えて来てくれていた。
此れは、マジで助かる。
各職人やケイト様ご夫婦と、ケリーやコラン親子と図面を見ながら、必要な資材の数量の確保と、作業員数の書き出しを頼んだ。それと補助に動物達が着く事を告げると、皆は驚いていたが、今は猫の手も借りたい時だ、手助けしてくれるなら有難い。と職人達は笑っていた。
先ず、作業の拠点をミスリル鉱石を掘り出した後の広場にする事に決め、今から、二週間後を目途に仮宿舎を作り、その場所を作業者達の仮生活の拠点とする事に決めた。
職人達は図面をもう一度確認すると、僕は図面を持って、トンネルに向かった。
トンネルが見えて来た、掘り出した土で山が二つ出来ていた。近くの鼠に、
「この土でレンガは作れる?」
「そうだね、この土は粘度質だけど、レンガを作るのに適しているから、良い物が出来ると思うよ。」
「ありがとう。」
そう話した後、みんなに食事を出して食べて貰っている間、長老様達に集まって貰い、図面の確認をして貰った。宿泊施設は40キロ毎に作り、その中間地点に休憩所を設置したいと伝えると、馬の事を考えると、休憩所は10キロ毎の方がいいかも知れない。とアドバイスを貰った。
「では、その様にお願いします。」
「分かりました。」
「それと、外に出して居る土の山で、レンガを作っていいですか?」
「ああ、そのつもりで出して居ますじゃ。どんどん使って下さい。」
「ありがとうございます。」
食事が終わった順に、動物達に番号と言う名前を付け、屋敷に戻った。
屋敷に戻ると、荷物を纏め、仮宿舎を作るために、出発する所だった。
職人さんにレンガ作成の土が有った事を告げると、工房の職人さんは、僕と一緒に別行動する事になった、先ず工房に一旦戻り、僕は器材一式を全て仕舞って行った。
工房に残って居た数人の職人も全て連れて行く事になり、身の回り品の準備が終了すると、それもしまい込み、現地に向かった。
現地に着くと、レンガを焼く焼き窯の準備を王都で会った、工房の鼠とモグラ達が既に取り掛かって居てくれた。其処に工房の親方と職人が合流し一緒に作っていた。
僕も工房から持って来た、器材を出した。
残った工房の職人達も、鼠達に負けじと準備をテキパキレンガを作るための土をこね始めた、それを遠回しに見ていて、何にでも興味を示すサルたちが工房の職人さん達の周りに集まり始めた。土こねが終わり、型枠に流し込んでいくと、横で猿と一緒に見ていたゴリラが、残った土を型枠に流し込んで行った。
次に、職人が型枠の淵を軽く小槌で叩いて、レンガを強く、割れにくくするために、中の空気を抜く事が大事なんだ。と猿たちに教えると、猿たちは小槌を持つと、コンコンと木枠を軽く叩き、中から空気がボコボコと出てくると、手を叩いて喜んでいた。
暫くすると、土をこねる猿たち、型枠に流し込むゴリラたち、型枠を小槌で叩く猿たちと役割分担がスムーズに出来ていた。
親方は、最初に型枠に流し込んだ、土の乾き具合を見ていたが、職人さんに声を掛け、最初に流し込んだ型枠から外して行った。親方のやり方を、じいーっと見ている猿たちに向かって、
「いいか、此処で割れたり、賭けたりしたら使い物にはならないから、型枠から外すときが一番大事なんだ。分かったか?」
それを聞いていた、猿たちは一斉に頷いた。
親方が型枠の外側をコン、コン、コンと軽く叩き隙間を作ると、小槌の柄で、今迄軽く型枠を叩いた外側の方のレンガを突くと、四角レンガが綺麗に外れた。
親方は、今型枠から外したレンガを持つと、場所を移動した。
「こういう風に綺麗に外れたレンガは、此処に広げてもう少し乾かすんだ、そして乾いたら、焼き釜の近くの此処に、綺麗に積み上げて置いてくれ。明後日から釜入れをするからな。頼んだぞ。」
そう言われた猿たちは又一斉に頷いた。
猿たちは、型枠から外す者、それを運んで乾かす者に別れて作業していた。
一方、此処に来ていたゴリラ達は、親方に言われて薪となる木材集めに奔走していた。
猿達が型枠からレンガを外し終える頃には、既に土をこねる担当が、土こねを終わらせていた。
すると、何処からかゴリラが現れ、型枠に流し込み、次は小槌を持った猿が現れ型枠の周りを軽く叩いて行った。
そして、型枠全てに、こねた土が入り、一連の作業が終了すると、先程、型枠から外し、乾かしていたレンガ一個を持ち、親方の所に持って行き見て貰うと、OKが出た。猿達が焼き窯の脇に数段ずつ重ね並べて片付けた。
親方が型枠に入ったレンガの乾き具合の確認をすると、又一斉に型枠から外す作業を始めた。この後、このレンガを作る作業は動物達に全て任された。
親方と、職人さん達は明後日からの焼き窯の準備に追われた。
焼き窯は全部で十本用意された。親方の話では、今の職人の数では、これ以上になると、目が届かなくなる可能性があるらしい。
親方の話では、一日焼き窯で焼いた後そのまま冷やすので釜が約一日半~二日間は使えないだろうと言う事だった。
翌日、10本の焼き窯の横には、それぞれ乾燥させたレンガと、薪が積み上げられていた。
昼休憩の後、猿達の手によって、親方や職人さん達の指示どおり、焼き窯の中にレンガを並べて行き、後は火入れをするだけになって居た。
親方達は、全ての焼き窯に、火入れの儀式を行うと、夕方から焼き窯に火を点けて行った。
動物達は皆帰って行ったが、親方と職人さん達は交代で焼き窯の番をしてくれて居た。
グレンは、御山の街道に来た帰りに、煙が上がって居る事に気付き、窯場に寄る事にした。
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