nameless

中嶋西瓜

nameless

ざらついたテーブルに花束を置き明け渡す心の噛みごこち


人の手で作った夜を漂う日ものがたりが照らす顔ひかる


世界のハグ宇宙のキス祝福を受けずに放るここは練馬区


薄いニルギリが揺らす湯気のそと譜面めくってはまた旅をする


ラベル付けず答え合わせも未実施だれも咎めやしないと言うに


さっきまでふたり海底に住んでた枕の波を写し取る皮膚


陽ざしの島の端で砂粒は右手から流れて円錐になる


指切りは水煙みずけむりの向こう輪郭のぼやけた今も匂い立つ


リュックから手足がにょきり生えている亀の子 改札通り抜けて


いつか老いさらばえたなら朝やけが眩ゆいくにでともに響こう

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nameless 中嶋西瓜 @hsnmeniyrdm

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