ニート、《約束守らせ券》を当てる/遺跡の探索を再開する
《デイリーガチャ・無料!》
今日もタップするだけの朝の儀式。
ピロリロリーン♪
《約束守らせ券》
「……なんだよそれ」
空中から、ぺらっと何かが舞い降りてきた。
「紙かよ……」
布団の上に落ちたのは、どう見ても子供の工作。
ざらついたクラフト紙に、太めのマジックで手書きの文字が。
《やくそく まもらせけん》
「……肩たたき券かよ……」
下には「おなまえ」の記入欄。
裏面には簡単な使い方が載っていた。
『この券をつかうと、あいてはぜったいにやくそくをまもってくれます。
つかいかた:あいてにやくそくさせたいことをいって、おなまえをかいてもらってください。』
「……いや、字ぃゆるすぎだろ。ていうか“聞かせて書かせたら守る”って、強制力あるじゃんこれ」
とんでもないアイテムな気がしないでもない。
だが――
「ま、使いどころがなきゃ意味ねーよな、今んとこ」
一応、強そうではある。でも交渉相手なんていないし、そもそも“約束させたい相手”すら存在していない。
「それより、遺跡探索の再開だな!」
切り替えは早い。もともと今日こそ進もうと思っていたのだ。
布団を出て、着替えてから、部屋の隅にあるスーツケースへと向かう。
まず《約束守らせ券》を中にそっと仕舞う。
足元には事前に用意しておいた、多少ボロくても踏破に耐えそうなスニーカー。
靴を履く。
腰のベルトに《超ウルトラDX刀》を挟んで装備。
左手には《盾》。スイッチを押すと、ピッという音と共に小型バリアが展開され、目の前に浮かぶ。
そしてポケットには《鍵》。
「よし、完璧だろ」
武器も防御も揃った。もうただのニートじゃない。
少なくとも、昨日までの“見るだけ”の探索者とは違う。
「じゃ、行ってきますか――」
スーツケースの中にある、隠し扉を開けて、
そして例の“遺跡の扉”の前に立ち、そっと手を添えた。
ここからまた、新しい何かが始まるかもしれない。
だが今の俺には、“装備”がある。
少しだけ、心強さを感じながら――
俺は、遺跡へと歩き出した。
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