第二章 誕生日
2-1
ある日の昼休み、ルーファスが
「
「聞こえているぞ」
ルーファスが冷ややかに言えば、口を
無能者であろうが、相手は王族だ。
いち貴族の
「も、申し訳ございません……で、
「お前、名は?」
「……」
「どうした。名無しじゃないだろう」
「シ、シラー・セイラム……と申します」
「セイラム……
「殿下、お許しください……!」
「口は
ルーファスは口元に悪役王子らしい
ジェレミーは
「どうしていらっしゃったんですか?」
「早く授業が終わったから
「そうですか……」
「何だ、言いたいことでもあるのか?」
「シラーのことですが、あいつは殿下が気にするほどの人間なんかじゃありません。だから……」
(あんな
「あんな小者にいちいち何かをするつもりはない。ただの
本気じゃなくて安心したジェレミーは、胸を
「ところでクリスとの仲を深めるのにいい案があるんですが」
「言ってみろ」
クリスに友人がいないことを、その原因も
「どうにかクラスに
それだけじゃない。クラスで浮いていることが原因でトラブルに巻き込まれるというエピソードが原作にあり、それをきっかけにラインハルトとの仲が一時的にこじれてしまう。
もちろん最終的には元
カフェに
二人は今にもキスをしそうなくらい近い
(尊……っ!)
スマホがあれば
「待たせたな」
ルーファスはその空間に、
それまでの幸せな
しかしルーファスは
品が届くと、ルーファスは口を開く。
「クリス。クラスに馴染めていないと聞いた。もし良ければ手を貸そう」
ラインハルトの目つきが
「余計なことをするな。だいたい、クラスの連中は――」
「事情は分かっている。お前がクリスを守ったんだろう。それは
クリスはちらりとラインハルトを見た。
「まさか、いるのか」
「……うん」
「お前がいじめられていた時に何もせず、見て見ぬふりをしてた連中だろ。そんな奴らと仲良くなりたいのか!?」
ラインハルトの
「みんなの気持ちも分かるんだ。僕も、
クリスは今にも泣き出してしまいそうな顔で言った。
「
「教室だってそうだよ。それぞれ家のこともあるし、付き合いもある。僕をいじめていたのは
「クリス……」
「ルーファス
ラインハルトはしかめ
「あ、ライン……」
クリスは引き留めようと手を
ジェレミーは、クリスの肩を
「心配いらないよ。ラインハルト先輩は
ただ、自分の
いじめは解決できたが、そのせいでクリスがクラスで浮いてしまっているという事実に。
そしてそれをどうにもできない自分に。
「感謝してるんです。ラインはいつもそばにいて、僕を守ってくれるから」
「クリスのその気持ち、しっかり伝わってるよ」
「……そうでしょうか」
「うん、絶対に」
クリスは泣き笑いの顔をする。
「ジェレミー先輩、まるでラインの気持ちが分かるみたいですね」
「知った風な口を
クリスは首を横に
「いいえ。ラインのことを理解してくれる人が増えるのは
「あいつもいい大人だ。頭が冷えたらすぐ
ルーファスが言った。
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