薬の作り方と2日目

せっかく集まったので、デモンストレーションをしようと思う


「エイル、今日はどんな感じだった?」


「きょ、今日は受付について勉強して、実際に昼から実際に受付業務をしてきました……」


「なるほどな……明日の予定は?」


「わ……わかりません」


俺たちも明日何をやるのか知らないしな……

それは、全生徒がそうなのだろうか?イルマに聞いてみようかな……


「じゃあ、明日何をするのかわからないけど、今からイルマに練習してほしいことを伝えるぞ」


「ぼ……僕に練習してほしいこと?」


「そうだ。まだレベルアップしてからステータスは何も振って無かっただろ?今からやるぞ」


「私たちはいいんですの?」


「まずはエイルからな」


現在、俺とセシーリアはレベル7、リンドウはレベル5、エイルはレベル3になったばかりだ

実際はこれでもだいぶ早い。なぜならゲームでは1日に1回、土日と自由週間で1日2回までしかダンジョンに潜ることは出来ないからだ

ただチームの集まりは遅い。リアルではキャラメイクが出来ず、スカウト以外で8人まで仲間に出来るのが出来ていないからだ


「エイルに覚えて欲しいのは次の3つで、分解(低)、抽出(低)、再構築(低)だ。」


「ぶ……分解と再構築はわかるけど抽出って?」


「私も初めて知りましたの」


「セシーも初めて知るのか……なぜ知っている?」


「論ずるより試せだ。やってみよう」


エイルがスキルを振るのを待っている間、魔石(小)と破れた薬草を準備する

実際に作ってみるのがいいだろう


「ふ……振り終わりました」


「OK!じゃあセシーリアに聞くんだけど、回復薬を作る時お母さんはどのようにしてた?」


「えっと、薬草と魔石を分解して、時間をかけて必要な部分だけ残して、再構築してましたの」


やはりそうだ。時間をかけて魔力で抽出しているが、余計に素材が必要になるし、不純物が入りやすくなるので質の良いものが出来にくい

膨大な魔力と素材を使い、精神をすり減らして出来たものが通常の品質ということらしい


「エイルも同じ認識?」


「そ……そうです……」


「そこで時間と魔力をかけてやっていた、必要な部分とそれ以外に分けるのをスキルにやってもらおうってことだ」


そういうと、セシーリアとエイルはすっごい驚いている

リンドウも何言ってるんだこいつみたいな目で見てるよ

なんで俺はこんな目で見られているのだろうか……何かいけないことをしてるみたい///


「じゃ……じゃあやってみます。【分解(低)】」


エイルがスキルを使い始めると、破れた薬草と魔石が反応を始めた

魔石が黒い色の液体状の球体になり、破れた薬草は緑色の液状の球体になる


「この状態で抽出(低)を使ってみて」


「わ……わかりました……【抽出(低)】」


破れた薬草と魔石の球状の液体が2つに分かれて、全部で4つになる

魔石だったものは、透明な少し小さくなった球体と、黒い小さい球体に分離した

破れた薬草だったものは、深緑な少し小さくなった球体と、薄緑の小さい球体に分離した


「凄いですの……」


「この小さい方の球体は回復薬にならない部分だ。その部分は無視して、大きい2つを混ぜ合わせよう」


「わ……わかりました……」


小さい方の球体2つは地面にビシャっと音を立てて地面を濡らした

大きい方の球体は上手く混ざり、緑の球体が出来上がっていた

濡れた地面?リンドウがキレイに拭いてくれたよ


「その状態で再構築(低)を使って」


「さ……【再構築(低)】」


球体が光った後に、ガラスの瓶に入ったMP回復薬(微)が出来上がっていた

ガラスの瓶に入っているのはマジでファンタジーだよね

微かにビンが光っているのも含めて、ゲームの世界だな……って改めて思うよ


「確認させてほしいですの!」


セシーリアが出来た回復薬に飛びつこうとして、リンドウに襟首を掴まれている

狂犬かよ…… 絶対に言えないと言ったら……止そう

エイルの方は……呆然としている


「せっかくだから、鑑定してみようか」


「私やりたいですの!」


今にも暴れだしそうなセシーリアにモノクル(片眼鏡)を渡す


「それは!?」


「これは〈よく見〉と言って簡易な鑑定が出来る物だ。アイテムの名前と品質だけわかるものだ」


「さすがですの!早速見てみますの!」


そういうとセシーリアが〈よく見〉を通して作成したアイテムを確認する

一度外して、目をこすって、再度見る……

目をパチクリさせた後、上を向いて目をつぶり、〈よく見〉をエイルに渡した


「み……見てみろってことですか?」


セシーリアが無言で頷いたのを見て、エイルが確認する

あれ?エイルも3度見してるぞ……


「ぼ……僕の作った回復薬が高品質……」


「高品質!?」


リンドウの大声が部屋中に響く。反響した音に耳がキィーンと嫌なものが残る

初めての回復薬作成で高品質が出来るのは正直凄いな……というか奇跡だ

ステータスによって高品質の割合が増えるようになっているので、初期ステの段階で高品質が出るとは思わなかった


「世界初ではないですの?」


「せ……世界で最初の高品質を作った?ぼ……僕が?」


「凄いな……エイルにはこれを毎日練習して欲しいんだ」


エイルは無言で頷き、再度回復薬を見る

凄い緊張した顔しているのはプレッシャーを感じているのだろうか?


「大丈夫だ。毎回高品質を作って欲しい訳じゃない。生産棟に持っていくより素材が少なく回復薬が出来るようにということだ」


「ぼ……僕に出来るかな?」


「大丈夫。出来ようになるための練習だ」


さて、エイルに御願いすることに関してはここまでにして、明日の内容について話しようと思う

ただセシーリアと、エイルが放心状態のような落ち着いてなかったのでリンドウと話をする


「リンドウ。明日も武器の扱いについて学習して、もし早かったら対人戦をするだろう。その時に……」


「その人の戦いを見て評価して欲しいということか、承知した」


「話が早くて助かるよ。そういえば武器はなんだった?」


「ナックルだ」


ナックル!?拳で勝負ってこと!?

中々の変人そうだな……ファンタジーの世界と言ったら武器と魔法でしょう

という価値観は現代人だからだろうか……


「ナックルということは男か?」


「いいや、女だ」


「女……?」


ナックルと聞いて格闘ゲームに出てくる男キャラみたいなの想像していたのは俺だけではないだろう

というか女性ときいて脳が理解を拒否しているのだが!?

その後少し、話をして解散する



「今日もまたこれですの……?」


自由習慣2日目のセシーリアが両手メイスを振り回しながらつぶやく

その両手メイスは気に入ったのであろうか? 選択する方向性間違えたか?

2日目も武器の扱いを練習している。今日は俺も色々な武器を一通り試そうと思っている


午前中は、短剣や片手剣などの剣系の武器を一通り試してみた

やはり剣道と趣味で短剣道をやっていたこともあって、そんなに苦労はしなかった

そして、お昼はイルマと時間が合ったので一緒に食事をするため”トラットリア”へ向かった


「こっち、こっち! おーい!」


店前で待っていたイルマが軽くジャンプしながら大きく手を振ってアピールする

正直、気が付いてなかったが違う所も揺れが…… そんなこと言ってる場合ではない

軽く右手を振り、イルマの方へ向かい店内に入った


「今日は付き合ってくれてありがとう。それで聞きたいことがあって……」


時間があまり多くはないが、色々な話を聞くことが出来た

まず、シード組以外は自由週間にはいるまでは、武器についての授業をメインに行った

しかも、トップ探索者の方を招致して、武器の扱い方を直接レクチャーしてもらったらしい……羨ましいな


「それで双剣の扱いは上手くなった?」


「そうだね!おとぎ話に出てくる双剣使い様みたいになれそうな勢いだよ」


それは良かったですわ。というか弱職業の双剣使いがおとぎ話になってるなんて逆に凄いな……

自由週間に俺たちがやっていることを事前に時間をかけて行ってきたって感じだな

自由週間は何をやっているのか聞いてみよう


「俺たちは自由週間で武器の扱いを勉強してるけど、そっちは何をやってるの?」


「順番で初心者ダンジョンに入ってるよー!1日目にキング組から入って受付の方法を実際に使いながら勉強させてもらってるよ」


「イルマはもうダンジョン入ったの?」


「午前中に行ってきたよー 初心者ダンジョンもクリアしてきたし。ほらこれ!」


見せてくれたのは初心者ダンジョンの攻略バッチだ。

ゲームでは何度も見たが、実際に見るとなんか感動するな……

早くダンジョンに潜りたいな


「凄いじゃん!次のダンジョンはすぐ入るの?」


「色んな人とパーティを組んでみたいから本パーティが決まったら次に進むよ!それに、明後日からじゃないとダンジョンに入れないし……」


「なんでダンジョンに入れないの?」


「ほら初めてダンジョンに潜るし、一応大丈夫だろうけど、もしも戦闘不能になった時のために予備日として明日まで他の人は立ち入り禁止なんだって」


なるほど……つまりは、俺たちも明後日以降じゃないとダンジョンに入れないわけだ

俺たちのつまらない授業は最低でも明日くらいまでは続くってことだな

気が遠くなりそうだったが、イルマと他愛のない話をしていたら時間が来たので、その場はお礼をして別れた


午後からの授業も頑張ろう

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