チームを作ってやることは?
4人で事務局へ行き、新規のチームを作成するために登録してもらった
「無事に登録終わりました【ソイルガーデン】に幸あれ」
そう言うと受付の業務をしている方から銅色のオンボロなカギと小冊子を持ってきた
「それはなんですの?」
「説明させていただきます。こちらはチームルームのカギとなっております」
そういうと、古いカギと薄い冊子を渡された
薄い冊子には『チームルームの取り扱いと規則』と書いてある
「内容の詳細について説明いたしますか?」
「お願いします!」
取り扱いと規則に関して、小冊子を見ながら教えてもらった
簡潔に言うと、改築などしてリフォームをしてもよいが、元に戻して返すことみたいな感じだった
まあ当たり前のことだな。ただ防音とかはしっかりしているから、周りへの配慮は気にしなくていいのが救いだ
「では以上になります。 またわからないことがあれば、こちらにいらしてください」
「ありがとうございます。 じゃあ行ってみようか」
全員で受付の方にお礼を言い事務局を後にした。
説明の際に教えてもらっていた場所へ全員で移動するが、事務局がチームハウスエリアの入口にあるから時間はかからない
チームハウスが集合しているエリアの端にポーンランクのチームルームの集まっているデザイナーズマンションのような建物がある
「その建物であっているのか? そのカギのぼろさと建物の新しさがあってないというか……」
「そのカギだと、ポーン寮のような感じに思ったんですの」
入口にはロビーがあってオートロックの機械がある
その機械に付いている四角の突起部分へカギをかざす
鍵の持ち手の部分にガラス球のが嵌っており、その部分が光る
「な、なんですの!?」
俺たちの足元に青い輪が現れ頭の上まで通過する。それから、足元まで体のギリギリを通りながら再度通過した
説明では聞いていたが、実際体験すると不思議なものだった
周りを見渡すと全員目がまん丸になっていて面白かったよ
『スキャンが完了しました ようこそ【ソイルガーデン】様』
無機質なアナウンスが流れるとオートロックの扉が開いた
先ほどの余韻か全員が動こうとしなかったので最初に動いて部屋まで歩いた
また部屋の前で指紋認証をし、入室した
「凄かったですの……」
「は、初めてです」
「衝撃的だった」
3人ともがリビングにて椅子に座り感想を漏らして、天井を見上げている
この学校に来てポーン組のボロボロを見ている状態で、最新設備を見たからショックを受けているのだろう
20分程、3人ともが放心状態であった
「さて、ここに来たのは他に理由がある」
「そう……だったな。話をしよう」
このチームルームは3LDKになっている。食堂で食事をせずダンジョンに潜ることがあるのでキッチンも完備なのだ
食堂には時間制限があるからな……自分で食材を集めて調理できるようになればもっと時間を無視してダンジョンへ行けるようになる
「まずこの中に料理出来る人はいるか?」
「何を言っておりますの? 指を切りますの」
セシーリアはダメと……
リンドウの方を見てみる
「私も覚えが無くてな…… 裁縫は出来るのだが……」
リンドウも難しいらしい
さて最後の頼みの綱は……
「ちょ……ちょっとで良ければ……」
「エイルお願い出来るとありがたい……」
「が……頑張る」
料理出来る人も探すか……
それとは別に話をせねば……
「さてこのチームルームの使い方について話をしよう。俺の考え方では……」
この3LDKは生産3種のために使う予定だ
生産3種とは、薬系を作成する【薬師】系、防具などの大部分を担う【服飾師】系、武器等の金属系を担う【鍛冶師】系の3つだ
この3つの職業がいれば、だいたいの生産は出来る。アクセサリーなんかは作れない物などもあるが……
「この3種類の人たちが揃うまでは、基本的には倉庫みたいな感じで使おうかなと思っているがどうだ?」
「私はいいですの! 大賛成ですの」
「私もそれでいいと思う そもそもチームの運営なんて知らぬからな」
「わ……わたしもそれで大丈夫です。 私なんかの為に一部屋……良いのでしょうか?」
「大丈夫だ! 2人も同意してくれてるからな! 明日には改装手続き出しておくな」
明日も大変になりそうだ……
ふくろの中を整理しているとセシーリアが暴れだした
「ダンジョンが私を待ってますのー!」
ダンジョン禁断症状出てきた!?
ダンジョンって依存症なの!?
「仕方ないな…… じゃあ皆行くか」
「み……皆ですか? 僕も?」
「行かないとレベル上がらないだろ 行くぞ」
エイルは戦闘には参加しないが、レベルが上がらないことにはスキルを覚えられないので
ダンジョンへ一緒に行くのは決まってたんだよ
そんなこんなで早々に袋の整理を終わらせて、ダンジョンへ向かった
「ダンジョンですの!」
「ちょっと待て! 新人もいるから」
セシーリアがはしゃいで前に出ようとするが、全力で制止する
新人もいる事だし、役割を明確化していかないといけない
「なんで止めるんですの?」
「これからは、サブのメンバーを含めた運用方法について提案がある」
「サブメンバーを含めるとは、まだ早くないか?」
「一応、知識として知っておくべきという話だ。説明するぞ」
この世界のダンジョンではメインパーティの4人・サブパーティに4人まで連れていける
メインのパーティは盾役(タンク)・物理攻撃役(アタッカー)・魔法攻撃役(魔法アタッカー)・回復役(ヒーラー)の4人になることが多い
物理のみ・魔法のみだけで攻略できるダンジョンは無いと言ってもいい
また、サブメンバーには攻略を支えるメンバーとして攻撃役の予備メンバーが1人
それから、採集をするメンバーが1人・斥候や罠を探知や解除をするメンバーが1人・あとは自由枠で1人という配置をすることが多い
俺はよく自由枠に【薬師】系の職業を連れていくことが多かった。薬が無くなって身動きが取れなくなることは探索失敗と一緒だからな
「という配置になる予定だ」
「これはよく考えられているな…… それで誰がどの役割を?」
「このメンバーでは俺がタンク、セシーリアはヒーラー、リンドウがアタッカー、エイルはサブメンバーの【薬師】系統ということになる」
「なるほどですの でもなんでエイルは防具等でガチガチに固められておりますの?」
セシーリアの言う通り、エイルは防具でガチガチに固められている
理由は簡単なものだ
「メインパーティが埋まらないとサブパーティは登録出来ないからな。それに強くなるのにステータスやスキルを余計に消費させることは出来ない。しかしダンジョンに行かないとレベルが上がらないということから防具で補強して付いてきてもらっている」
そういうと3人とも納得したのか首が上下に動いている
納得したのなら、後はダンジョンを進むだけだ
「他に疑問とかなかったらこのままダンジョンを進もう」
「私はいつも通りでいいんですの?」
「いつも通り前に出たらダメだぞ。後ろで俺たちについてくること」
「それはつまらないですの!」
そういいつつセシーリアが駄々を言い始める
「魔法使っちゃダメとは言ってないから! 後ろからぶっ放していいから!」
「後ろからですと、当たらないことが増えますの!」
いやそれは練習しようよ……とは思ったが口にはしない
陰で努力しているのは知っているからな
変なことは言わない主義なのだよ
「俺が当たりやすくなるように努力するから一緒に行くぞ。役割が決まったからこそ動きやすくもなるもんだ」
「キセロがそこまで言うなら仕方ありませんの。出発ですの!」
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