第25話 目指せナンバー1彼女
「そろそろ誰の彼氏が一番なのか決めよう!」
いつものように食堂で昼食をしていると、ひなわが提案してくる。
「その話、まだ続いていたのか……」
僕はわずかに眉をひそめる。
「当たり前じゃん。ナンバーワンが決定するまで終わらないよ。というわけで今度の土曜日でいい?」
ひなわは僕の意見を無視して、日程調整を切り出してくる。
待て、何もかも早いぞ。
「具体的には何をするの?」
「
「…………さすがに意味がわからない。仮にも彼氏のいる女子が、ひとりの男と合同で個別デートって」
「気乗りしない?」
「常識的に考えればね」
「そっか、そうなのかぁ。玻璃ちゃんはこの勝負から逃げるんだぁ」
ひなわはこれ見よがしに鼻で笑った。
「どうして
「へぇ玻璃は憩とデートするのが嫌なんだ。じゃあ不戦敗ってことで、今回は憩とアタシら三人だけで行こう」
「はぁ? そんなわけないし! むしろ基月とはふたりで食事したことあるから!」
「「「え⁉⁉⁉」」」
え、散々機密扱いだの、黙っておくようにと言っていただろうに自分からバラすの?
「玻璃、いつの間に⁉」
「玻璃ちゃん、抜け駆けはよくないよ!」
「つまらない見栄を張ってどうする、玻璃?」
ひなわ、美悠、
特に先日の一件もあったせいで、白金の視線がやたらと痛い。
なんで僕が悪者みたいにされているんだ。
「中間テストが終わった日よ。たまたま基月と会って、嫌なことがあったから相談に乗ってもらったの。みんなはそれぞれ用事あったんだし、問題ないでしょう」
玻璃はそう言い張るが、どうも三人の反応は芳しくない。
「基月氏、本当か?」
わざわざ僕に事実確認される。
「まぁ、本人がバラしたなら僕が否定する理由もない。答えはYESだ」
全員の食事をする手が止まる。
なぜかこのテーブルの空気が重くなった気がした。
その沈黙をぶち破ったのは頭の回転ならファイヴスでナンバーワンの白金だった。
「いいじゃないか、ひなわの提案に乗ろう。恋人のスペックで決着がつかないなら彼女である我々の方で競えばいい。男性目線で最高のデートをできた彼女はイコール一番の彼氏と付き合えている魅力的な彼女ということさ」
かなり強引な論理展開だが、筋は通っており勝利条件は明快だ。
相変わらず僕の判断で勝ち負けが決まることを除けば完璧だ。畜生。
四人はそれぞれ覚悟を決めた顔になっていた。
「だから玻璃も基月氏だからと気負わず、自分なりの楽しいデートプランを用意して参加してくれれば問題ない。まぁ無理にとは言わないさ」
「別に余裕ですけど! いい加減この話題も飽きていたところよ! 受けて立つ! 決着をつけましょう!」
売り言葉に買い言葉で了承してしまう。
少しは落ち着いて考えるようにしてくれ。悪い大人に騙されても知らんぞ。
白金は感情と論理の二段構えで、鮮やかに玻璃の首を縦に振らせた。
もちろん僕に拒否権はない。
「一日で四人の女の子とデートできるなんて憩は幸せ者だね!」
ひなわはマジで無邪気に言ってくる。
「前代未聞だよ。どんな遊び人だ」
「大丈夫。仲良しグループとして一緒に遊びにいくんだからノープロブレム!」
果たしてひなわの励ましは意味があるのだろうか。
☆☆☆☆☆
「マジか」
そして週末の土曜日、僕は池袋駅に来ていた。
一応デートというお題目なので、自分なりのオシャレはしてきたつもりだ。
光沢感のある無地のTシャツの上から襟付きのオーバーサイズシャツを羽織り、シンプルなワイドパンツを合わせる。足元は長時間歩いても疲れないようにスニーカーを履く。カジュアルだけど、だらしなくならない小綺麗なコーディネートを心掛けた。
これならどこへ連れていかれても大丈夫だろう。
各自どこへ連れていくかは当日のお楽しみとされていた。
集合は、池袋駅構内で待ち合わせ場所として有名ないけふくろの前。
「あれ、もう全員揃っている」
念のため集合時刻より三十分ほど早めに到着したのに、僕が最後だった。
大勢の人ごみの中、遠目から見てもファイヴスは圧倒的に目立っている。
私服姿は初めて見たが、彼女らはそれぞれの個性が出たオシャレな恰好をしていた。
玻璃は綺麗めなスポーティーなコーデ。さり気ない露出のあり彼女のスタイルの良さを引き立てた、カッコいいのに女性らしい恰好だった。
ひなわはデニムにネルシャツなどアメカジ風のカジュアルながら露出多めの攻めたコーディネートでまとめていた。
美悠はふわふわした雰囲気のガーリーな装い。女の子らしさ全開の万人受けするチョイスはとてもよく似合っていた。
白金は大人っぽさを感じさせるモード系で落ち着きと色気を両立させる。いつもの伊達眼鏡もしておらず、きちんと化粧をして身なりを整えている。
四人とも方向性はまったく異なるが、甲乙つけがたい魅力を感じさせていた。
そんな彼女たちに目を奪われながら通り過ぎていく者、遠目からチェックする者、そして案の定、鼻息荒くナンパをする者もいた。
だが、四人はまったく相手にしない。
ナンパ野郎は彼女らが高校生であるからとしつこく粘る。
「あ、憩!」
近づいてくる僕を見つけるなり、ひなわが大きな声を上げて手を振る。
「すみません、彼女たちの連れです。さぁ移動しよう」
僕は男性たちに割って入り、四人をこの場から連れ出す。
何だコイツは、という視線を無視して、五人で地上に出た。
よく晴れていながら風は涼しいので非常に過ごしやすいデート日和だ。
「火渡さん、僕は時間を間違えたか?」
「ううん、約束の時間より早いよ」
「でも全員揃っている」
「みんな、憩とのデートを楽しみで待ち切れなかったんだよ」
「あくまで君らの中で一番を決めるだけだろう?」
本日の趣旨を再確認させる。
「あ、そうだったね」
ひなわはニコリと笑うばかりだった。
いよいよ五つ星ギャル四人との合同で個別デートが始まる。
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