水色大好き腹黒転生者、規格外の強さで魔王と勘違いされる。

珠江

第1話:乙女ゲーに転生

「……あれ、私。死んだんじゃなかったっけ?」


私は日本で道端で絡まれていた子を庇い、命を落とした――はずだった。

目覚めたのは、天蓋付きのベッドと水色に染まった豪奢な部屋。

鏡の中には、透き通るような青い瞳。

一本の黒に近い深青のメッシュを含んだボブヘア。

そしてその姿を見て真っ先に思い浮かんだ名前が…




        ユン・セレーネ。




前世プレイしていた乙女ゲー、『君の光と三本の薔薇』の悪役令嬢。

まさかの乙女ゲー転生。しかも“悪役枠”。


「(まぁ水色だからいいけど…)」


だが問題はそれだけじゃない。この世界には謎の差別が存在した。

黒髪=“穢れ”とされる対象。前世で言う人種差別だ。

加えて「黒に近い深青」や「闇属性魔法」も根強い偏見の対象。

見た目も属性も差別対象に全乗せしてるユンには、もはや笑うしかない。


「なるほど!じゃあ逆に暴れてやろうか……悪役令嬢っぽく…!!」


こうして、私の新たな人生が幕を上げた。

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幼少期・魔力爆誕フェーズ


5歳。手に触れただけで闇魔法ダンジョンのボス討伐に成功。

7歳。実家の測定魔石に触れると石ごと爆発。


「……だから測定嫌なのよね。人騒がせになるから。」


彼女の魔力は、まさに規格外。

誰にも測らせず、誰にも言わず――隠れてひたすら地下で鍛錬。


そして10歳で既に“闇属性魔法の多重展開”をこなすほどに。

王族でも難しいとされる魔法を、ひとりぼっちで実現していた。


なのに、周囲の反応はこうだった。


「黒髪混じりは気味が悪いwww」

「魔力を隠すなんて、穢れを抱えてる証拠だわwww」


ユンはいつも、笑って答えた。


「お前らのほうが気色悪いよ?www」


腹黒さを隠す気はない。ただし、圧倒的な実力は隠し続けた。

どうせ誰も受け入れないのなら、革命の一撃は“誰も予期しない瞬間”に。


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十年後、17歳になった年…



そして、待ちに待った魔法学園【アストラ・ロゼ】入学式。


「それでは、ユン・セレーネ。魔力測定を開始します」


「(嫌な予感しかしないけど……)」


私は手を測定魔石に乗せる。

【レベル100】と表示された後、

……ピクリと震えた魔石は、盛大に爆発した。


「ッッ!?!?!?!?!?!」

「魔王!?」「復活の闇帝!?」「闇の覇者!?」


私以外、先生・生徒達構わず騒ぎ出す。


「……いやいやいやいやいや。違うし。」


あっという間に、全校生徒の視線が集中。 王族教師陣は震えながら資料をめくる。


「この魔力…分類不能……これは魔族級。いや魔王級……」


ユンはため息をひとつ。


「…いや。魔王じゃないし(泣)」


そして騒ぎが少し収まった時、

測定官がこう言った。


「…ユン・セレーネ、正直に言いなさい。」

「君、"ランク詐欺"してるでしょ?」


「…………………………は?」


こうして始まった――

《水色大好き腹黒転生者、悪役令嬢の“認識”をぶち壊す物語》。

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