4-1
またも彼の思い出は汚された。
白い世界を睨み付けながら、彼は不満げに鼻を鳴らした。
「さっきから何なんだ?私への嫌がらせか?」
一番の友人だって、楽しんで遊びや罰ゲームに参加していたのだ。
そのようなことを思うはずがない。
「さては誰か、嫉妬しているのか?」
彼の順風満帆は人生に嫉妬し、思い出を改変しようとしているに違いない。
「それに一番の友人だったんだ。嫌だったら嫌だと言うだろう」
今までの人生で彼は、嫌なことは嫌だと全て断ってきた。
友人ならなおさら、言いやすい関係の筈なのだ。
「彼との絆をなめて貰っては困るな」
得意げに胸を張ると、彼はエスカレーターの上で大きく伸びをした。
立ちっぱなしはさすがに疲れる。
エスカレーターは平坦から上りへと変化した。
再び白い世界がきらきらと輝き崩れていく。
そこは彼が通い、妻と出会った大学だった。
たまたま同じ講義で隣の席になり、その控えめな性格に好感を持ち、彼から告白し付き合うに至った。
当時では珍しく、彼からの提案により同棲をすることにした二人の生活は穏やかで幸せな日々だった。
「そうそう。当時は料理が苦手だったよな」
焦がした目玉焼きを思い出し、彼は楽しげに笑った。
その景色がちょうど現れ、彼は少しでも楽な姿勢で見ようとエスカレーターの上に座った。
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