第16話 王家の“嘘だらけの聖女祭”
――準備段階からボロが出る、神殿と王家の化けの皮――
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王宮・会議室。
神殿長老「……聖女様の体調が“すぐれず”と書いておきましょう」
王宮官吏「いえ、“塔にこもって祈り続けておられる”の方が、それっぽいのでは?」
王太子「いや、俺の立太子の正当性にも関わる。聖女は健在と、明確に記すように」
侍従「……ですが陛下、ここ数年、実際には“姿を見た者がいない”と、民の間では──」
王太子(語気を強め)
「黙れ。聖女がいないなど、王家の“神意による継承”が否定されるに等しい。祭りは予定通りだ」
神殿側近「お布施も必要ですしね。例年並みに寄進があれば、赤字は回避できます」
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◆裏では、こんな小細工が――
• 「聖女役」は、神殿の雑用係の娘。身長と髪型が似ているというだけで抜擢。
• ローブの内側には“香”を仕込み、「神聖な香り」と演出。
• 魔力がないため、「祝福の祈り」は録音した“祈りの音声”をスピーカーで流す。
• 祭壇の“聖なる水”は、神殿裏の井戸水に「聖女の名札」を沈めてお清め済みと称す。
• 餅まき・お菓子の配布で民の目を逸らす(子どもには人気)
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◆だが、準備中に疑念は次々と
• 神官「このローブ、去年の聖女祭りで使ったのと同じ……新調は?」
• 製作係「予算削減です。 “信仰は布じゃない”と上が言ってました」
• 若手神官「そもそも、今年“聖女様の指示”って一度も聞いてませんよね?」
• 祭り係「細かいこと言わないで! 集金が第一!」
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◆民の側にも不信感
市場の老婆「……なんか、今年の聖女様、足取りがおぼつかないねえ」
若者「去年よりも背、低くなってないか?」
薬師「祈りの時間、去年よりだいぶ短いし、“祝福の光”もなかったぞ?」
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◆神殿内部でも、ひそひそ声
若神官「やっぱり……聖女様は、もういないんじゃ……?」
老神官(目を逸らして)
「……誰も“本当”を知らんのだ。知ってしまえば、祭りは終わる。祭りが終われば、お布施も絶える……」
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そして――
【森の丘では、本物の聖女とその仲間たちが、爆笑しながら観戦していた】
――見せかけの“聖女祭”が、王国を揺るがす引き金となる――
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◾️ 民の不信が爆発したのは、祭りの当日
「聖女様、こっちを見てくれました!……あれ? 目、動いてない……?」
「祝福の光……出なかったよな?」
「去年も似たような服着てなかったか?」「いや、あの聖女……声が違う」
そして決定打となったのは、祈りの終わったあとの“お布施強要”。
「福袋付きご祈祷は金貨1枚以上です」
「“特別なお守り”は、銀貨50枚以上の献金者に限り……」
\ふざけんなー!💢/
\聖女をカネで売る気かー!💥/
と、ついに野次が飛び、民の怒りが一気に爆発。
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◾️神殿の内部で「裏切り」が始まる
長年仕えてきた老神官が、小声で若者たちに言う。
「……実は本物の聖女様は、数年前に塔から姿を消されたのだ」
「それを隠して、神殿も王家も“あることないこと”ででっち上げていた」
若神官「そんな……じゃあ私たちはずっと偽物のために祈って……!」
「この国の“信仰”は、もう終わってる」
「民に謝らねばなるまい……いや、本当の聖女様を探し出すべきだ」
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◾️王家、動揺
王太子「祭りが……失敗……? なんだこの騒ぎは!」
侍従「民が“聖女詐欺”だと訴えています、すでに神殿の壁が破られ──」
王太子「黙れ!俺の即位が認められなくなるではないか!聖女が逃げたのが悪いんだ!」
側近ナルディン(冷たい目)
「……あなたの失策です。もう“聖女の加護”など誰も信じませんよ」
王太子「お前、まさか……!」
ナルディン「私は“信仰を守る”側です。王家ではなく、“神と民”のために動くことにしました」
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◾️王太子、逃走開始
即位式の数日前、
王太子は“宮廷から逃亡”。
民衆は怒号をあげて王宮を包囲し、兵の一部も蜂起。王宮は門を閉ざした。
「あの人は、“祝福された王”じゃなかった」
「神の声など、最初から届いていなかったんだ」
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◾️そして、森の奥では……
本物の聖女・マロンが、ハーブの葉を干しながらぽつり。
「……神様は、ちゃんと見てたのね」
「信じて祈る人が、ちゃんと笑っていられる場所。ここにあるものよ」
悪役令嬢マルグリットは、石けんの在庫を数えながらにっこり。
「あの男が逃げたって? じゃあ王宮の掃除、そろそろ始めましょうか」
ジニー「もうちょっとラベル貼ってからね!副団長が“森の男せっけん”増産しろってうるさいのよ!」
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