Day2

トラック2:雨のバス停で好き

 //SE 雨音(ずっと流れている)

 //SE 金属の屋根に雨が当たる音(以降ときどき鳴る)


 //SE 雨の中を走る音(近づいてくる)


(少し離れたところから)

「やっとバス停ついた……てか、なんで駅から離れてるんだろ、ここ。そのせいで一緒に帰る友達もいないし」


(悲しげに)

「みーんなあっちの駅かこっちの駅かで、バス使う人いないのなんでなんだろ……孤独のバス停……よよよ……」


 //SE 傘をたたむ音


(嫌々な雰囲気で)

「——うげ、君がいるのは想定外だった……なんでいるのさ?」


(不服そうに)

「ふーん。部活ねぇ。何してるか分かんないけど、早いんだ、終わるの」


「私はほら、文芸部だから。やること済んだら終わりなの。最終下校時間になることは絶対ないんだよ」


「……」//会話に困ったように


「……ねぇ。隣、いいよね?」


(主人公の右側で)

「ふぅ……やっと座れた。徒歩15分とはいえ坂がなぁ」


「ね。だよね、夏とか地獄すぎるもん。教室入るまで灼熱と滝汗とで大変」


「冬も汗ばむ坂とか、ほんといらないよね。だから私はちょっと遠回りして平坦な方で行くことも多いよ」


(高圧的に)

「ん? そうだよ。君と会わないのはあっちの道使ってるから。そのために遠回りしてるまである」


「はぁ……なんでか、って今更でしょ? 君のことが嫌いだから。そんだけ」


(右の耳元で)

「早く消えちゃえ。好き23


「ぷっ、あははっ! なにその顔、びっくりしすぎでしょ!」


「それでこそ君だよねぇ。私の嫌いな君だ」


(からかうように)

「最近の私は、その顔を見るために生きてるような気がするんだよね」


「むぅ。昨日からだろ、なんて面白くないこと言わないでよ。まったく」


「……」//落ち着くように


「ねぇ。君はさ、雨好き?」


「私は好き24、だよ」


「聞いてると落ち着くし、自然の中に生きてるんだな~って感じるから」


「そりゃ、女子としては嫌な部分はあるよ? 髪が湿って髪型崩れたり、髪がうねったり、靴下が濡れたり。あとは、そもそも傘を持たなきゃだったり」


「『そーゆーのがなければなー』って思うときもあるけど——」


(含みを持たせて、ささやき声で)

「やっぱり、嫌いになれないんだよね」


「それで、君はどう?」


(相槌を打ちながら)

「……ふむふむ」


「ふ~ん。そうだよね。君も好きだよね。あんまり家から出ないもんね」


「『雨音があると寝やすい』……うんうん。気持ち、分かるよ。そういう動画もあるもんね。あんま見たことはないけど」


「でも、確かに雨の音っていいよね。なんであんなに落ち着けるんだろ」


「……ピンクノイズ? 雨音はそれに類するもの……? なにそれ、えっちなのじゃないよね……?」


(恥ずかしがって)

「いやっ、ちがっ——! 君がピンクとか言うから変に深読みというか、ねっ!?」


「いつも私の知らない話とかしてたじゃん! 難しかったり、すごかったり、そんな話!」


「うぅ……笑わないでよぉ……! だって私たち、誠に残念ながら幼馴染なんだもん!」


「旧友とすら言える付き合いの長さじゃんね? ま、君のことは嫌いなんだけどっ」


「はぁ……」//疲れたように


「なんか疲れちゃった。話題ちょーだい?」


「え、勉強……? パス! 私は人様に言えたような成績してないから!」


「ちょっ、そんな詰め寄らないでよ!? 近い近いっ……!」


「そ、そんなに聞きたいのっ……? 私の成績」


「だったら、特別に、教えてあげないこともない、よ」


「えっと、論理国語は学年3位! えっへん!」


 //演技依頼 作ったような笑い声


「……ちぇっ、気づかれたかぁ。そうだよ、私は文系だよ!」


「理系科目は君のが得意じゃん? だから言いたくなかったのに……分かった、分かったからそんな目で見ないで! 近いし気持ち悪いって……」


(いじけた感じでボソボソと)

「数学は……どっちも300位台」


「えっ、なにその反応。目パチパチさせて、拍子抜けみたいな顔して……」


「ふんっ! どうせ君みたいな頭も良くていい性格してる人には分かんないでしょうね! 好き25っ!」


(耳元にぐいっと近づいて)

好き26好き27好き28っ! もうっ、腹立つなぁ……! 好き29!!!」


(至近距離で見つめ合う)

「それともぉ、耳に息、吹きかけてやろーかぁ?」


 //演技依頼 大きく息を吸う


(照れながら)

「や、やっぱダメっ……君の顔見てると、い、嫌気が差してくるっ。好き30


「……なに、照れてるの? 恥ずかしいのはこっちだってのに」


「なんかそっちも恥ずかしいこと言ってよっ。せめて、お互いに傷を負いたいの」


(怒ったように)

「意味わかんないって言われても困る。私もよくわかってない」


「——『文化祭一緒に回ろう』……?」


(拍子抜けしたように)

「そ、それが恥ずかしいこと?」


 //演技依頼 安心したように息を吐く


「べ、別にいいけど……っ」


(からかうように)

「あ、でも、文化祭に参加することもできないんじゃない?」


「だってさ、私が好きって100回言ったら死ぬんでしょ? 文化祭まで時間あるし、100回言うほうが早いじゃん。つまり、不可能ってわけ」


(耳元で囁く)

「ふふっ、残念だねぇ~♡ 可哀想っ♡」


 //SE バスが近づく音


「あ、バス来た。ほら、さっさと並ぶよ。2人きりだから別に焦んなくていいけどさ」


 //SE 立ち上がって少し歩く音


 //演技依頼 伸びをする声


「明日は土曜日、帰ってゴロゴロしたいなぁ~」


「はっ——! そうだった、明日はパパとママいないんだった」


「……なに、その目。なんで『良いこと聞いた』みたいな顔してんの」


「遊びに来たいんなら、別にいいよ。君を死なせるタイムリミット、一週間しかないから一日も無駄にできないし」


「だから……バス乗ってる間は、顔合わせないでね」


「——恥ずかしい、から」


 =====

 新幹線の車内で書いてました。作者でもニヤニヤが止まらんです。

 ちなみに国語も数学も作者の順位です。

 文系高校生です……。


 さて、次回はなんと、瑠奈ちゃんのお家で二人きり。

 何も起こらないどころか色々起こりすぎて……!?!?


 フォローと星を入れてお待ちください!

 今日も19時更新です!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る