second mission

第6話 普段と少し違う日常

東雲重工ルーメリア支部

ルーメリアの輸送軍需など一手に担う大企業

あれから1ヶ月が経ち非日常が日常になってもう長い

みんなが慣れたように罵声の声に興味を示さなくなった今日この頃

敷地内では今日も4人の集団が走る


「走れ!!貴様ら!!遅れているぞ!!それでもAAのパイロットか!!そんなんじゃ誰も守れずに海賊の慰みものになるぞ!!」

「イエッサー!!」

俺の罵声が鳴り響く

テストパイロットは3人

彼らはパイロットスーツで走る

パイロットスーツには機能的に運動サポート等が着いている。

そして俺は標準戦闘服にコンバットブーツとライフルといった完全な歩兵装備で走る。

「後10週だ!その程度で生き残れると思うな!!」

彼等はヘロヘロになりながらも走る

汗が垂れた後は道となっている

ただ俺だけは汗をたらさない。

それは今までの訓練の賜物か身体が汗腺を閉じている。

遅れそうな奴は押して走らせる

「また貴様か!前の2人をよく見ろ!まだ走っている!!貴様は仲間を殺したいのか!」

「い……いいえ……!」

「ならいけ!!」

その青年は加速していく

100週が終わる頃には全員が汗だくのまま地面にカエルのようにへばりついている。

全員に経口補水液を渡す

「お疲れ様、今日もよく走りきったな体力訓練は終わりだ」

死んだ声でみなが各々答える

それに応答する様に俺の腹の虫が大きく鳴いた

「……ふむ……そろそろご飯を食べるか……」

皆が静かな笑いを堪えている

「……1時間後…………1時間後ゲート前集合だ、ちゃんと私服に着替えてこい」

「えっ……なん……か……行くんすか……?」

「……?あぁ……飯行くぞって事だ」

俺はそう言うと彼らと共に更衣室に行くのであった…………


ルーメリア繁華街区 ブックストア「ルクス」

デバイスに通知が来た

メッセージを確認すると

Dear 東雲 マヒロ

from セイン・ブロウニング

件名

本文

飯行くぞ、場所は繁華街区のファミレス「ロイ〇ホスト」時間は1半時間後

俺の奢りだから気にするな

繁華街の中央噴水広場で合流しよう以上


食事に誘われた

というよりほぼ強制だ

えっえっ……待って今日どんな服だったっけ?

メイクしなきゃ

慌てふためきながらちょっとドタバタしていると奥から女性が出てくる

「マヒロちゃんどうしたの?」

シワも少なく40代にも見えるこの女性は御歳68のおばあちゃん落ち着きつつも若々しい言動をとる私の働く本屋の店長

謎多き人なのでよく話を聞いたりするが謎が増えるのが怖い

「えぇっとその……友達からご飯に誘われて……」

少し顔を赤らめながら言うと

「おや、デートかい?それなら今日は店閉めようか……」

へっ?何を……

おばあちゃんがそのまま表へ出ると店を畳んだ

客はちょうど居なかったのですぐに閉めることができたのか戻ってきて

「マヒロちゃんに彼氏とはね、おばあちゃん頑張っちゃうよ!」

おばあちゃんに手を引かれ2階の自宅エリアに連れてかれる。

「えっ……ええっ!!」

そのまま服を脱がされお風呂場に押し込められる

「とりあえず一旦ねお風呂で体を流しなさい」

おばあちゃんの目つきは既に鋭いものに変わっていた

「えっあっはい……」

言われるがまま体を流す

デート……デート!?

いや彼に限ってそんな事は……

彼の家でプロットを渡した時の事を思い出す

彼の優しい笑顔と優しい言葉、そして彼をモチーフに作った小説であの人に幸せになってもらいたいって……

頭の中にセインがずっと思い浮かぶ

彼のハッピーエンドを描きたい、見てみたい

あの人の隣で……

「いやいや!違う違う!そんなじゃない!」

振り払うように叫ぶ

そしてお風呂から上がりタオルで水分をとると下着が用意されていた

赤のレースだ

セインはこう言うの好き……違う違う!

頭から離れない彼の事を振り払いながら着る

今に入るとおばあちゃんは服を用意してくれた

白のレースと赤いリボンが付いたトップにコルセットスカートは黒に白のレースがあしらわれた上品なものを出された

「これを着てきなさい、それはおばあちゃんもう着ないからあげるよ」

未だ目はキマっているが優しい口調で渡される

「そんな……さすがに……」

「いいから着る!」

「は……はい!」

宜しいとだけ返されるとそのまま向き直りなにかの準備を始める

着替え終わる頃には化粧台と椅子が用意されていた

「似合ってるわァ……おばあちゃんの若い頃にそっくり、じゃあここに座りなさい」

おばあちゃんが褒めながらそのまま促してきたのでそのまま座る

これ以上なにか言い返すと私は縛り付けられるのではないだろうかと感じ抵抗を諦める

「いいかい……私が若い頃わね〜」

話をしながら慣れた手付きでメイクを施し始める

その間もやれ今の若者は等色々な愚痴を聞かされる

30分たっただろうかおばあちゃんは手を止めそのまま鏡を見せられる

「久しぶりに施したが……やれない事はないねぇ……」

「えっ……」

透き通るような綺麗な肌感に潤いが満たされたのか艶やかに輝く唇 目はまるで人形の用に大きくそしてくっきりとしている。

そして何より……もセットされた髪はツヤと輝きを保ちその赤毛も相まってまるで童話から飛び出したお姫様のようだった

「これが……私?」

「そうだよ……一応スタイリストだったからねぇ……どう?」

言わずもがなとても良い事を伝える。

なんでこのおばあちゃんはここで本屋なんて営んでるんだろうと思う。

「ほれ、待たせるなんて勿体ないじゃないか、行っておいき」

「は…はい!ありがとうございます!おばあちゃん!行ってきます!」

また気になる事が増えたけど何時でも会えるんだから聞くのは今度でいいかと思いそのまま店を後にする


足取りは軽く不格好なスキップでかける

多分人に見られているだろうけどそれ以上に私は気分がとても良い

10分早くついてしまった…

セインには連絡を入れると了解だけ帰って来る

噴水の水を鏡のように見つめる

セイン喜んでくれるかな?

「ねぇ!お姉さん!1人?」

声を掛けられた…声的に知らない人だけど声の主に体を向ける

ツーブロックの短髪で適当にやったのか黒混じりの金髪は雑なセットでだらしない

顔もちゃんとケアしてないのか清潔感はまったくない

服装もだぼったくて正直セインの住んでるスラム街の人の方がマシだと思う

後ろは連れだろうか似た様な男が2人

「えーめちゃくちゃ可愛くない、何してんの〜?俺達と遊ばない?」

あぁナンパかと思いつつ

「…すみません…知り合いを待っているので…」

弱々しく断ると

「え〜もしかしてお友達も女の子?一緒にまとっか?その子の分も奢っちゃうよ?」

「いえ…男です…」

そう答えると

「えーこんな可愛い子待たせるとかそいつめちゃくちゃクズじゃんそんなやつほっておいてさ〜」

その言葉にイラッときてつい

「貴方たち見たいな人より全然彼はいいひとです!見ず知らずの人に平気でそんな言葉を吐けるような人とは!」

ちょっと大声で怒りをぶつける…

たしかに世間一般的にはクズの部類だ…でも他人がそれも初対面の人に言われるとムカつく

「は?いきなりキレんなし、おいこいつ攫っちまおうぜ?ムカつくわ黙らせれば良いしな」

その金髪の男が私を掴もうとする

「離し…ん!…ん!」

もう1人の男に口を塞がれる…やめて…

そう思ったその時私の口を塞いでた男が吹っ飛んで行った

「!…え?」

驚くとそこには人生で初めて見た人の鬼の形相だった

「…おい…誰の女に手ぇ出してんだ?」

セインが金髪の男の手を払い抱き寄せてくる

セインが普段と違う人間の様に見えた

「てめぇ良くも!」

頭に血が上ってるのか金髪の男がセインに殴りかかるがしかし私の前に出て拳を受け止めるとそのまま腰を落とすと何故か男が吹き飛んだ

そして地面に蹲る

「何勝手に吹っ飛んでんだ?」

周りをよく見ると野次馬も何故かみんな不思議な顔をしている

そして気づくもう一人居ないことに

「セイン!あと一人居な……きゃあっ!」

後ろから男に捕まった…

首筋になにか当たる目線だけを下げるとナイフがある

セインが向き直ると私の状況を見て無表情になる

「!この女がどうなってもいいのか!!来るな!」

セインにナイフを向けたり私に向けたりと大忙しの男に彼はゆっくり近づくそして

「その女がお前に取って最後の砦だ…大事にしとけよ?…それが無くなったらお前は……死ぬのがマシだと思うようにしてやるよ……」

その言葉に私も怯える…普段彼は隠してるがホントの殺気を感じたからだ

周りの野次馬も腰を抜かしていたりする

人の本気の気配が本能的に恐怖を作り出す

そして彼がゆっくり近づく

男も弱腰になりながらゆっくり下がる

「…!くっ…来るなぁ!…!うわぁ!」

そう後ろには噴水があった…そして足を取られた男は後ろにバランスを崩す

私も一緒に後ろに倒れる

セインから目を話した瞬間私は抱きとめられ

セインの手にはナイフが握られナイフの刃先を力強く持っているため血が滴る

男は噴水の中に落ちるそして

「…!軍警だ!!大人しくしろ!!」

誰かが通報したであろうか

現れた軍警がその場を治めるのであった。


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