7月8日（木）

悪夢の再来。東京に四度目の緊急事態宣言。そしてオリンピックは一都三県で完全無観客での開催が決まった。もうめちゃくちゃだ。

蓮くんとはあれから恋人同士になった。でもまた自由に会えない日々が戻ってきた。私たちはまたベランダ越しに話す毎日に逆戻り。

でも前と違うのは心はもう繋がっているということ。触れ合えなくても温もりは感じられる。

7月21日（水）

尾身会長が「八月の第一週に東京で三千人感染」という見通しを示した。この状況のどこが「安全・安心」なのだろう。それでも二日後にはオリンピックが始まる。もう誰にも止められない。

私のワクチン接種券がようやく届いた。でも予約はどこもいっぱい。最速で予約できても一回目は八月二十日だという。オリンピックには全然間に合わない。

7月23日（金）

開会式。テレビで見ていると何だか不思議な気持ちになる。あんなに反対していたのに。でも選手たちの姿を見るとやっぱり応援したくなる。人間の業は深い。

蓮くんはベランダでギターを弾いている。テレビの音は消してある。私たちはただ静かに遠いスタジアムの方の空を見つめていた。

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