第4話・涙のあとに、届いた言葉
涙のあとに、届いた言葉
それ以来、彩花は公園に行けなかった。
(私は、ただ助けられただけ…子どもっぽいって思われてるかも)
放課後、ひとり教室に残ってぼんやりしていた彩花に、
突然、学校の職員室に蓮が現れたという噂が広まった。
「佐藤彩花さんって…いますか?」
先生に案内され、教室に蓮が入ってくる。
「彩花。ちゃんと話したいことがある」
他の生徒たちがざわつく中、蓮は彩花の前に立って、静かに言った。
外の校庭で二人きり。
「この前、公園で会った子…いとこ。近くの高校でたまに来るけど、彼女じゃない」
「……え?」
「俺、勘違いさせたかもなって思って。彩花が来なくなって、ずっと気になってた」
彩花は、唇を噛んでうつむく。
「……私、蓮くんと話す時間が、すごく好きだった。でも私、中学生だし、子どもだし…」
「……彩花は子どもなんかじゃないよ」
その一言が、彩花の心にまっすぐ届いた。
「俺にとって、あの日出会った彩花は、困ってても自分で立とうとした、強い子だった。俺は…また会いたいって思ったんだ」
彩花の目から、涙がこぼれる。
でも今度は、それは温かい涙だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます