第17話 伝説の魔道武具師の足跡。
武闘大会から数日後、ゲオルク・バウエル捜索の任についた太陽の騎士団の一員ライが、森の関所に前にいた。
フィオナの師匠とミエルの父の証言により、伝説の魔道武具師バウエルが東の国へと旅立ったことを知ったフィオナとイザベラが、斥候任務を得意とするライに、ゲオルク探索の任を託したのだ。
ライの出発を見送る為、同僚であるフィオナとイザベラ、そして漆黒の聖女ミエルと、格闘王銀狼のルルが見送りに来ていた。
「それじゃ、頼んだよライ!!」
フィオナが、ライの背中をパンパンと叩く。
「まかせておくれよフィオナ。二週に一度、便りを送ることにするから」
「うん! 吉報をまってるね!!」
イザベラが、ライに紙束を渡しながら話しかける。
「これは、ゲオルク殿の人相画です。我がローゼンクロイツ家お抱えの画家に大急ぎで書かせましたの」
「わかった。宿場街の酒場に貼り出してもらうことにしよう」
「お願いしますわ。まずは学問の国、ブッシュタッツを訪ねるのが良いでしょう。かの都は、我がウエステッドと双璧をなす、錬金術研究が盛んな地ですから。かならずや、ゲオルク殿の足跡が残っているはずです」
「ああ」
「中央の大学を訪ねれば、わらわが留学していた時の学友も、きっと力を貸してくれることでしょう」
「中央の大学だな。わかった。イザベラ、君の名前を出してみるよ」
イザベラにつづき、今度はミエルが、ライの両手をぎゅっと握る。
「ライさん、どうかよろしくお願いいたします」
「は、はい……聖女様。このライ・バイエルンにお任せください!」
潤んだ瞳でじぃっと見つめてくるミエルに、ライは頬をあからめる。
「あれあれ? ライ、どうしたの顔を赤くして♪」
「う、うるさいなぁフィオナ!! 余計なことは言わないでくれよ!!」
「うふふ、フィオナさんとライさん、仲がよろしくて羨ましいわ」
最後に、銀狼のルルがぽつりとつぶやいた。
「おねがい……なの」
「……あ、ああ」
3人の英雄に見送られ、ライは森の奥に伸びていく細道へと消えていった。
ライを見送ったフィオナは、イザベラに質問をする。
「ねえ、イザベラ。ボクたちはこれからどうする?」
「そうですね……まずは、ゲオルク殿が所属していた工房を突き止めることにしませんこと? ゲオルク殿のような才能溢れる人物が、なぜ、このウエステッドの地を去らなければならなかったか……我々は、識る必要があると思いますの」
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