第26話「納豆、その先へ」

昼下がりの大学キャンパス。

日向めぐるは、弁当の蓋を開けて思わず目を輝かせた。


今日の献立


ご飯


味噌汁


漬物


シーフードチリ(エビ・イカ・ホタテのピリ辛トマトソース)


かぼちゃサラダ(ほっくり甘い)


チーズ餃子(皮パリ&中とろ〜り)


納豆


「おおっ、今日は豪華!」

海鮮の香りにスパイスの刺激、さらに餃子のチーズが食欲をそそる。

だけど、めぐるが特に目を止めたのは──また添えられた“あの納豆”だった。



「それ、やっぱり工房製のやつだよ」

同席した悠木詩織がさらりと告げる。

「リコリスに納豆を卸してるのは、うちの親戚の工房。工場見学もできるんだ」


「……行ってみたい!」

めぐるは思わず声を上げた。



そこへ北山望が通りかかり、笑いながら言う。

「お、リコリスの納豆か。あれ、ホントは町田の栄養を調律してるんだぜ」


「調律……?」

めぐるは首を傾げる。


北山はそれ以上何も言わず、「ま、気になるなら行ってみろよ」とだけ残して去っていった。



めぐるはシーフードチリをご飯にのせ、一口。

ピリ辛トマトのソースが海鮮の旨味と合わさり、口の中でじわっと広がる。

甘いかぼちゃサラダでクールダウンし、チーズ餃子でまたご飯が進む。


最後に納豆をかき混ぜ、箸で口に運ぶと──

(……やっぱり、特別な味がする)



その夜、めぐるはスケジュール帳を開き、こう書き込んだ。


「今度の週末──納豆工房へ」

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